【13】自分から出るエネルギー
このように、ケイに小人が見えて…
質問しようと思ったら交流ができて…
ということを、私は誰かに話したくなり、母や姉に話した。
二人は私と同じような反応で、興奮して、わくわくして聞いてくれた。
そのことをケイに
「二人とも、すごいね~♪って聞いてくれたよ」と話すと
「なんで話したの?」とあまり嬉しくない様子で答えた。
「え。ダメだったの?」と聞くと
「別にいいけど…。でも、なんで話したかったの?そこが大事なんだ。」というので
「なんでって…。面白い話だし、二人ともそういう世界があるって知って、ママみたいに視野が広がるかなって。え?ダメ?」と聞くと
(こういう時、ケイはまだ6歳なのに、とても大人びた様子で質問してくるし、とても迫力があって、私のほうが、しどろもどろになって答えることがよくあった。)
「まぁ、その二人だけで、ママが話した理由が『面白い話をしたかっただけ』ならいいよ。」
「でもね…。もうそれ以上の人に話すのはやめてね。」というので少し怖くなって
「え。あんまり話すと、小人がこの家からいなくなっちゃうの?小人にとってなんか危ないとか?」と聞くと
「ううん。危ないのは。ママと俺。」
「たくさんの人に、この話をママがしたとする。
聞いた人たちが『すごーい』ていうかもしれない。
そして、その人たちが俺のことを『特別な』男の子って認識し始めるとやっかいなんだよ。
全然『特別』じゃないのにね。『たまたま』小人が見えるだけ。
みんなおんなじなんだよ。逆を言えばみんな特別。
なのに、勝手にすごい子のように思われて…だんだん、ママも自分が気づかないうちに、もし少しでも自慢するようなエネルギーで話し出したら…
それは心の中に黒いエネルギーを出すことになる。」
「え?黒いエネルギー!?」と驚く私に
「なんて表現すればいいかなぁ。国語力(語彙力という意味)がまだないからなぁ。
外からくっつけられた、悪いエネルギーは、お風呂に入ったり、いろんな方法でとれるんだけど、自分の心の中で生み出した、えっと、いばるやつ…えっと、ごうまん?さとか、人に上下をつけるような…
うーん。まだ俺の国語力(語彙力)では、うまく説明できないけど、そういう、心の中から出た黒いエネルギーは、自分でしかとれない。自分でいつか見つけ出して取らない限り、誰も取ってあげることのできない、黒いおもりになる。」
そんな…大げさな…とまだ、きちんと理解していない私に、すごい目力でケイは言った。
「俺は、自分は人より特別だなんて勘違いしたバカなやつには絶対なりたくないよ。だから、人に話すのやめてくれる?」
もし…
いろんな人が興味本位で「すごいねすごいね」って言うようになったとき、自分の心の中に黒い何かが、絶対に生まれないと言い切れる自信もなかった。
それ以来、もう私は他の人に話すのはやめようと決めたのだった。