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武士の誇りと父娘の絆 『碁盤斬り』

週末は映画「碁盤斬り」をAmazonプライムで楽しみました。今年の5月に劇場公開された作品だったんですが、もうアマプラで楽しめるなんて嬉しい驚きです!

映画『碁盤斬り』は、2024年に公開された白石和彌監督の初めての時代劇で、主演の草彅剛さんが演じる柳田格之進の姿がとても印象に残りました。彼の演技の、穏やかな浪人から復讐に燃える武士への変貌は圧巻で、武士としての誇りと心の中の葛藤を見事に表現していました。



物語は古典落語『柳田格之進』をベースにしていて、冤罪をかけられた浪人とその娘が江戸で生き抜いていく様子を描いています。映画では、原作にはない復讐劇が盛り込まれ、柳田が過去の冤罪の真相に迫り、復讐を果たすストーリーになっています。父と娘の絆や、武士としての誇りを守る姿はとても感動的でした。

この映画の誕生秘話もとても興味深かったです。脚本家の加藤正人さんが囲碁が大好きで、周りの人から「落語の柳田格之進をやってみたら?」と言われたのがきっかけで作られたそうです。その囲碁への情熱が、作品全体にしっかりと表れています。

映画ではプロ棋士の高尾紳路九段が囲碁の監修をしており、打ち方や盤面の配置など細かい部分までこだわっているそうです。囲碁のことは詳しくありませんが、対局シーンでの打ち手の表情や心理描写が細やかで、とても感動しました。



映画全体を通して、白石監督の初めての時代劇にも関わらず、その完成度の高さには驚かされました。映像の美しさ、特に江戸の街並みや夜のシーンでのろうそくの光の使い方など、細かいところまで美術にこだわっていて、とても美しい仕上がりでした。また、豪華なキャストがそれぞれの役をしっかりと演じており、物語に深みを与えていました。


一方で、原作落語から大きく改変された復讐劇のプロットには賛否が分かれるかもしれません。私は復讐の部分が少し強引に感じて、冤罪を晴らすことよりも敵を討つことに焦点が当たっているところが、物語の焦点をぼやけさせているようにも思いました。しかし、この復讐劇によってドラマチックな展開になり、クライマックスの盛り上がりにはつながっていたことも事実です。そういった意味では、現代の観客に楽しんでもらうためのエンターテイメントとして成功していると感じました。


『碁盤斬り』は、ただの時代劇ではなく、父と娘の絆、名誉と誇り、そして人としてどう生きるべきかを問いかける作品です。時代劇ファンだけでなく、いろいろな人に観てほしい映画だと思います。特に、草彅剛さんのファンや、囲碁や、落語好きな方には必見の一作だと思います。

また、今年公開されたばかりのこの作品がAmazonプライムビデオで観られるというのも本当に嬉しいポイントですね。

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