『奈落のマイホーム』 笑いと恐怖が同居する韓国発パニック映画
皆さん、自宅の地下がどうなっているか考えたことはありますか?
最近、世界中で話題になっているシンクホール。そう、地下の空洞が崩壊して地表に大きな穴が開く、あの現象です。今回ご紹介する『奈落のマイホーム』は、このシンクホールをテーマにした韓国発のパニック映画です。
2021年に韓国で公開されたこの映画は、その年の韓国映画興行収入で第2位を記録する大ヒットとなりました。チャ・スンウォン、キム・ソンギュンといった実力派俳優陣と、パニック映画の名手キム・ジフン監督のタッグが、この成功の鍵だったのでしょう。
平凡なサラリーマンのドンウォンが11年かけて購入したソウルのマンション。しかし、その夢のマイホームが突如出現した巨大シンクホールに飲み込まれ、地下500メートルまで落下してしまいます。そこから地上への壮絶なサバイバル劇が始まるのです。
この映画の最大の魅力は、ダイナミックな災害映像と親近感のある人間ドラマのバランスです。150億ウォン(約15億円)という大規模製作費を投じた迫力あるスリリングな映像の合間に、住宅ローンの重圧や隣人トラブルなど、誰もが経験しうる日常のちょっとしたエッセンスが絶妙に織り込まれています。
シリアスな状況下でのコメディ要素が強すぎるという批判もあったようですが、個人的にはこの要素のおかげで、ハラハラしながらも一息つきながら、安心して楽しむことができました。
ところで、シンクホールは映画の中だけの問題ではありません。日本でも2016年に福岡市博多駅前で大規模な道路陥没事故が発生し、話題になりました。韓国でも都市部でのシンクホール発生が社会問題化しています。
どんなに頑丈に建てられたマイホームでも、地盤に問題があればある日突然奈落の底で崩壊する可能性を秘めているのです。
私にとって『奈落のマイホーム』は、エンターテインメントとしての面白さだけでなく、普段は気に留めない地下インフラの問題について考えるきっかけを与えてくれました。
笑いあり、涙あり、そして社会派要素もある。そんな多層的な魅力を持つこの映画、みなさんもぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。