見出し画像

「そんなことで泣くなんて、
 最近の若者は弱いな」と
彼等は嘲笑う

30分後には 彼女の涙を忘れ
「時代が変わったな」程度の感想だけが
彼等の記憶に残る

彼等は 決して無学ではないが
彼等の言動は
ニューロサイエンスに関する自身の無知を 
吐露している

涙というのは
理性とは関係なく
危険を回避するための反応として
出るものである

「これだから 女はすぐ泣く」と
彼等は内心呆れている

しかしながら
ニューロサイエンスを学べば
全く同じ脳神経の反応を
彼等自身も常々経験していることを
知ることが出来る筈だ

扁桃体が身の危険や立場の危うさを
察知したとき
人はカテコールアミンという
ホルモンを即座に分泌する

理性を司る 脳神経皮質に
その刺激が届くよりも先に
当該ホルモンが動情をジャックする

カテコールアミンには
2つの働きがある

一つは「戦闘」
もう一つは「回避」

カテコールアミンが「戦闘」の指示を
出してしまう人には
アンガーマネジメントが必要だ

他方で 当該ホルモンが「回避」の指示を
出してしまう人は
怒りよりも先に 涙が出るのだ

心が「回避」を必要としていることを
周囲に伝えるためだ

即ち 涙とは
心が本能的に救済を求めているという
赤信号なのだ

学と権力のある 大の大人なら
自分よりも「弱い」人を嘲笑うなんて
恥ずかしいと思ってほしい

人の脳神経の仕組みくらいは
当たり前の教養として
理解していて然りではないか

自分が相対的に「強い」理由を学び
人が相対的に「弱い」理由を理解する
それを諦めてしまったら
多様性の実現なんて 夢のまた夢だ

他人を 特に自分よりも「弱い」人のことを
理解する努力を放棄しない
そんな人こそ 権力を有するに相応しい

少なくとも私は
理解することを諦めないと 決めている

次の世代を 守るために必要なこと

其れは
「強さ」を有する人が
理解することを放棄しないことだ

いいなと思ったら応援しよう!