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\商品開発の裏側/生活者の声を活かした商品へ

飲料市場には年間で数千種類の商品が発売されています。これほどまでにたくさんの商品の中から、皆さんに広く知ってもらえる商品に育つのはごくわずかと言われています。そのため、少しでも生活者の皆さまに愛される商品へと育てるには、徹底した市場調査が欠かせません。今回は当社の製品がどのような市場背景から生まれているのか、市場調査に携わる社員と商品開発に携わる社員へのインタビューを通して商品開発の裏側をお届けします。
 

【プロフィール】

(左から)
山本 広晃(やまもと ひろあき)
アサヒ飲料株式会社 マーケティング三部所属。
「カルピス®」の希釈用やヘルスケア商品のマーケティングを担当。
趣味は旅行とゴルフ。

外山 雄也(とやま ゆうや)
アサヒ飲料株式会社 マーケティング三部所属。
「カルピス®」の希釈用のマーケティングを担当。
趣味は簡単でおいしい男飯をつくること・ゴルフ・野球観戦。

久保 ゆか(くぼ ゆか)
アサヒ飲料株式会社 マーケティング企画部所属。
「カルピス®」や「モンスター」の調査業務を担当。
趣味はおいしいものを食べることと旅行。

外村 奈々美(とのむら ななみ)

アサヒ飲料株式会社 マーケティング企画部所属。
「三ツ矢」「ウィルキンソン」の調査、生活者起点のマーケティング推進業務を担当。
趣味はカフェ巡り??



商品開発には欠かせない、市場調査


――どのような目的で市場調査を行っているのか教えてください。

 
外村 リサーチの大きな目的は、「ビジネス課題の解決につなげること」です。リサーチを通して問題を明らかにし、課題の解決に一歩でも近づけることを目指して行います。「ビジネス課題の解決につなげること」を念頭に、各ブランドで、商品やその時の案件ごとに課題を抽出し、調査の目的を設定します。
 
久保 私たちはマーケティング企画部という部署に所属しています。商品開発をする部とは異なり、この課題を一緒に考え、最適な調査設計を組むことを業務として行っています。

――市場調査の方法を教えてください。
 
久保 大きく分けると、定量調査と定性調査の2種類があります。定量調査とは、アンケートのように量的な検証を行う調査のことで、結果が数値で明確に分かるため、事実を把握したり商品発売可否の判断をする際に判断材料として使用したりします。一方、定性調査とは、インタビューのように数字では表すことができない生活者の感情や心理を深掘りする調査のことです。新たな発見やヒントが得られることも多いため、課題がわからない時にも仮説検証に役立ちます。多様化している現在は、定性調査を重視する傾向が増えています。

――調査結果をどのような形で商品開発に活かしているのか教えてください。 

久保
 どちらの調査においても、それぞれ長所と短所があるため、必要に応じて使い分けをしています。例えば、商品の発売やリニューアルをする場合、まず定性調査で当社の既存ユーザーから商品の良い点や改善点を聞いて、商品の変えてはいけない点や不要な点を見つけ出すことで、商品改良に役立てます。その後、ある程度商品の形が決まった時点で、定量調査を行い、発売前に購入意向を数値で把握します。ここで購入意向が低い場合は、発売の見送り、あるいはさらなる改良をすることもあります。

「カルピス®」を選び続けていただくために

 
――実際に商品開発が進んだ事例があれば教えてください。
 
外山 当社で100年以上続くブランドの一つである「カルピス®」では、「カルピス®(希釈タイプ)」の認知率や購入率が減少しているという課題がありました。そこで、今の時代に適した形で「カルピス®(希釈タイプ)」を届けていくために、たくさん購入してくださる生活者が、どのようなシーンで飲用されるのかをインタビューしました。そして、その裏にある「『カルピス®』が選ばれる理由」の探索を行いました。
調査の結果、「カルピス®」は単なる甘い飲み物ではなく、親子がワクワクしながら一緒に楽しむコミュニケーションツールであることが判明しました。「カルピス®」とフルーツの組み合わせによる「ちょっとしたご褒美感」がワクワクを高め、希釈タイプの「一緒につくって飲む」という体験が親子のコミュニケーションになっていたのです。それ以降は、「親子で一緒に楽しめること」を軸に商品開発を行っています。

 
山本 最近の実例でいうと、2024年11月に発売された「カルピス® 甘熟いちご」や2025年1月に発売された「カルピス® 温州みかん」などがあります。先ほどお伝えした「カルピス®(希釈タイプ)」の独自価値をもとに、子どもが興味を示してくれるようなオリジナルレシピを裏面に掲載し、親子で楽しみながら一緒につくってもらえることを意識しました。また、手軽につくれるレシピにすることで、忙しい親御さんへの負担が大きくなりすぎないようにすることも大切にしています。2025年は他にも「親子で一緒に楽しめること」を軸にした様々な商品を発売する予定です。また商品だけに留まらず、プロモーションもしっかりと「カルピス®(希釈タイプ)」のコミュニケーションツールとしての役割を生活者へお伝えするとともに、もっと親子で楽しんでいただけるような仕掛けをお届けしていきたいと思っています。

生活者の声に寄り添った商品開発を目指して


――当社独自の面白い取り組みがあれば、教えてください。
 
外村 当社独自の取り組みであるかは定かではありませんが、商品開発に携わる社員に向けて、生活者へインタビューする機会を提供する、生活者1on1という企画を実施しています。(※)
マーケティング本部では、「生活者起点のマーケティングを推進する」ことを大切にしていますが、実際にはインタビュー結果の使い方がイメージしにくかったり、インタビューする人のスキルも必要だったりするため、実施のハードルが高く、生活者のリアルな声があまり聞けていないという問題がありました。そこで、実際に生活者の方にインタビューする機会をマーケティング企画部から商品開発に携わる社員へ提供することで、「生活者起点」の風土を醸成することや、インタビュー経験の少ない人へ実践の機会を設け、実施のハードルを下げることを目指しました。ありがたいことに、年々参加者が増えており、2024年は15テーマで計75人の生活者にインタビューすることができました。今後も継続して取り組みたいと考えています。
(※)通常、生活者へのインタビューは、調査会社が実施することが多いです。
 
山本 私は商品開発に携わっていますが、毎年この企画には参加しています。自分自身で生活者の方にインタビューをさせていただくことは簡単ではありませんが、会話のキャッチボールをしながら、気になったところをどんどんお伺いすることができるので非常に参考になる部分が多いです。

 

――生活者の声を実際に聞く時に大切にしていることを教えてください。

外村 自分たちのバイアスがかからないようにすることです。生活者の発言に対して無意識のうちに、自分の考えで整理してしまったり、自分が理解できない、興味が湧きにくい発言を聞き流してしまったりすることがあるので、広い視野を持って客観的に捉えられるように意識しています。自分がバイアスを持っている可能性があることを理解しておくことで、それに固執せず、新しい発見がしやすくなると考えています。

山本 商品を愛してくれている方にしっかりと意見を聞けるように、対象者の選定を非常に大切にしています。一見、既存ユーザーに話を聞いても間口は広がらないような気がするかもしれません。しかし、商品を本当に愛している理由を聴き、その理由から価値を見出し言語化することで、その価値が他の人(新規ユーザー)にも伝わりやすくなると考えています。

――100年後をどんな未来にしたいと思いますか。
 
外山 元々、この会社に入ったきっかけは、当時のマーケティングの先輩から「アサヒ飲料のマーケティングは、100円で人の思い出をつくる仕事だ」と言われたことです。それを聞いて、この会社を受けようと思ったんです。そのため、100年後をどうしていくかというよりも、目の前のお客様の驚きや喜びをつなぎながら、より笑顔があふれるような社会に少しでも貢献できたらうれしいなという思いを持ちつつ、日々マーケティング活動をしていきたいです。
 
久保 生活者の声によく耳を傾け、「こういうのが欲しかった!」と思ってもらえるような商品開発に貢献し、驚きと喜びがあふれる未来にしたいと思います!


──ありがとうございました!
 

いかがだったでしょうか。
今回は、商品開発には欠かせない市場調査について、ご紹介しました!
生活者の方に寄り添い、1品でも多く、皆さまに愛される商品を世の中に届けられるよう努めて参ります。


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