【エッセイ】大人になるって
甘じょっぱい味付けのものが許せない子どもだった。目の前に並べば食べるが、好んで食べるわけではなかった。
たとえば、照り焼き。つくだ煮。桜でんぶの入った太巻き。アメリカンドック。卵焼き。みたらし団子。
すぐには思いつかないものもたくさんあるが、とにかく甘辛いものが苦手だった。甘いものは甘い、しょっぱいものはしょっぱいほうがいいし、ごはんのお供はしょっぱい味でなければならなかった。
それが大人になって、なんとなく甘じょっぱい味のものに抵抗がなくなった。これはこれでいいよね、と納得して味わえるし、甘みのある味で白ごはんも食べる。時には甘辛さが恋しくなることさえある。
大人になるって実は、甘じょっぱいものが食べられるようになることなのかもしれない。
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