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直撃を受けたら地球は消滅!米軍事衛星が発見した「宇宙イチ高エネルギー」な天文現象とは

 アメリカ、イギリス、旧ソ連は、1963年に「部分的核実験禁止条約」を締結した。これにもとづいて米国防総省は、各国が同条約を順守し、核実験を実施していないかを監視するため、「ヴェラ」と呼ばれる軍事衛星を打ち上げた。  ヴェラは、地球上のどこかで核爆発が起こると、そこから放射されるX線やガンマ線、中性子線などを軌道上で感知する。米国は1963年から1970年にかけ、AとBの2機からなるヴェラをワンセットにして、計6回、12機のヴェラを打ち上げた。  1967年4月28日に打

かつてウォークマン、ゲームボーイで世界中を驚かせた日本が失った「創造性」を取り戻すために必要なこと

 日本はかつて、ウォークマンやゲームボーイなど、世界のだれも考えつかなかった製品を生み出して世界中を驚かせていました。けれども、いつしかその創造性を失い、今では他国から製品を買って使うことが多くなっています。新しいものを生み出せない、ゼロをイチにできない国は、いつしか世界から忘れ去られるのではないかと心配になります。  かつての創造性を取り戻すには、どうすればよいでしょうか?  カギは“数式読解力”にあります。“数式読解力”は私の造語で、数式を通じて物事の本質を見抜く力の

「宇宙で最初の星」の極めて微弱な光をとらえる…観測宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブの野望

 JWSTの使命は多岐にわたるが、そのひとつに「ファーストスター」の発見がある。ファーストスターとは、宇宙で最初に生まれた星や銀河のこと。つまりJWSTはビッグバンの発生以後、宇宙空間にはじめて光を放った天体を見つけ出そうとしているのだ。  ビッグバンは138億年前に発生したことが判明している。ビッグバン直後にはまだ星はなく、宇宙は暗黒な空間でしかなかった。やがて宇宙空間を漂う水素やヘリウムがガスとなって集積し、ビッグバン発生後、1億年から2億5000万年が経過したころ、や

数学が苦手でも“数式”は読めたほうが良い理由

「数式読解力をつけて創造的な人になる」。私が数式の本を執筆した最大の理由は、数学が苦手でも数式がいかに美しくおもしろいものかを、読者のみなさんに伝えたかったという、とても純粋な理由です。が、数式の美しさやおもしろさに触れながら、“数式読解力”を身につけてもらえたら、というのがもう一つの大きな理由でした。 “数式読解力”は私の造語で、数式を通じて物事の本質を見抜く力のことを指します。  創造性は、本質を見抜く力から生まれます。本質とは、物事を動かしている隠れた法則のことです

宇宙望遠鏡が教えてくれる「地球はどのように生まれたのか」「宇宙はなぜ誕生したのか」「私たちはどこから来たのか」

 私たちが星を観ようとするとき、それは夜に限られる。夜であっても天候が悪く、雲があれば見ることができない。また、揺らぐ大気によって星は瞬くため、望遠鏡を使用しても星の姿を鮮明に観測することは難しい。こうした制約から逃れる唯一の方法が、宇宙に望遠鏡を設置することだ。宇宙空間であればつねに星が観測でき、同じ光度で輝き続けるため、精度の高い観測が可能になる。  宇宙から天体を観測するもうひとつの理由として挙げられるのは、「電磁波の性質」の活用だ。  電磁波とは、医療機器にも使用

「カロリーを把握する意外な方法」「お弁当黄金比」「残さず食べさせるコツ」管理栄養士が中高生のお弁当の悩みを解決!

◎カロリーを把握する意外な方法  必要なエネルギー量(カロリー)は、同じ中高生といっても、性別や活動量などによって異なるし、個人差もある。その前提で一般化すると、中高生の1回のお弁当に必要なエネルギーは、男子で800~900キロカロリー、女子で700~800キロカロリーと言われている。  自分が作っているお弁当が、この必要カロリーを満たしているのかどうかを知るための、意外な方法がある。お弁当箱の裏側などに書いてある「容量」を見てほしい。牧野さんは、この容量が、ご飯やおかず

「おねしょする5歳」に「あばれる小6」子どもたちのリアルな苦しみ描く、ふたりの新人作家が生み出す“新時代”の空気

 子どもはいきいきしていて明るいだけではない。ときにストレスで「気持ちとからだが別」になってしまうこともある。  今年デビュー作を上梓したふたりの新人作家が、そんな子どもたちの姿をリアルに書き上げた。  ひとりは潮井エムコさん。初めて書いた高校時代の思い出についてのエッセイをnoteにアップしたところ、SNSで拡散され、累計30万を超える「いいね」を獲得。2024年1月に初のエッセイ集、『置かれた場所であばれたい』(以下、『置かあば』)を刊行した。  そしてもうひとり。

お弁当の2大困った「汁漏れ」「痛み」の救世主!管理栄養士が紹介する便利グッズ3選

 お弁当箱売り場には、密閉性の高いものや抗菌効果のあるものなど、さまざまな特徴のものが並ぶ。お弁当箱だけでなく、保冷バッグやおかずカップにも、多くのバリエーションがある。そんな中でも牧野さんが注目した、機能付きお弁当グッズ3選はこちら。 ◎お弁当箱の2大困った「汁漏れ」と「痛み」に対応したお弁当箱  お弁当に関する「困った」で大きいのは、「汁漏れ」と「傷み」。ふたにパッキンがついているタイプはもちろん、最近はかばんやバッグの中に縦向きに入れても汁漏れしないお弁当箱が登場し

「誰にも奪えない」「自分にしか書けない」自分だけの言葉を大切にした新人作家ふたりの眼差し

「心がふっと軽くなった」「共感しかない」「清々しい気持ちになった」といった感想がSNSやnoteに寄せられたふたつの作品。  2024年1月に初のエッセイ集『置かれた場所であばれたい』(以下、『置かあば』)を刊行した潮井エムコさんは、書くことが苦手だったという。  4月にデビュー小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(以下、『クリキャベ』)を刊行したせやま南天さんが、初めて書く中編小説のテーマに選んだのは、家事だった。  そんなふたりが、書くことに込めた思いや

お弁当にNGの食材は? 傷まないお弁当作り6つのコツ

 牧野さんが挙げる「傷まないお弁当作りのコツ」は6つある。 ①中までしっかり火を通す  おかずは中心までしっかり火を通すことが大切。中心温度が75度以上で1分加熱すれば、食中毒が予防できると言われている。特に肉や魚、卵は、中までしっかり火を通しておきたい。お弁当に限って言えば、肉は薄く切るほうが火の通りが早く、むらなく焼けて、時間の短縮にもなる。 ②汁けや水けは飛ばす  調味料の汁けや食材から出る水けは、しっかり煮詰めたりいためてとばしたりしておくこと。水分の多い食材

「自分を癒やす」「人生のちょっとしたおもしろさを楽しむ」ふたりの新人作家が読者に届けるエール

「読者の圧倒的支持を得る」。どこかで耳にしたことがある言葉だと思う方も多いだろう。しかし、実際にはそんなに当たり前のことでも、簡単なことでもない。  今年相次いでデビュー作を上梓したふたりの新人作家、潮井エムコさんとせやま南天さん。  潮井さんはエッセイストとして、せやまさんは小説家としてデビューした。ふたりの作品は多くの読者に支持され、ネット上には共感の声や応援する声が届けられている。  まずはふたりのデビュー作について紹介したい。 新人作家ふたりが、お互いや読者か

\ノーベル文学賞受賞/ハン・ガンさんの2作を「ケアの倫理」で読む/『世界文学をケアで読み解く』(小川公代著)から特別公開

弱者の視点から見る――暴力と共生の物語憎悪から赦しへ――ハン・ガン『少年が来る』  韓国の作家ハン・ガン(한강, 1970-)による全六章で構成される長編小説『少年が来る』(소년이 온다, 2014)も、軍による無残な暴力や暴行が権力を持たない「アウトサイダー」である弱者の視点から描かれている。一九八〇年五月十八日に韓国全羅南道の道庁所在地だった光州で戒厳軍による武力鎮圧が行われたときの犠牲者たちをめぐる六つの物語が語られている。この光州事件は、軍事独裁政権下にあった当時の

【試し読み】「女の生き方まとめ」漫画家・コラムニストのカレー沢薫さん『女って何だ? コミュ障の私が考えてみた』<第6回>

▼第5回「女にとっての年齢問題」はこちら 女の生き方まとめ <何しても怒られるんじゃねえの?>せめて自分だけでも、 自分が納得できる生き方を選ぶしかないだろう  今回のテーマは、「女と仕事」である。  しかし、その前にあることに気づいてしまった。 「女って何しても怒られるんじゃねえの?」ということに。  早速、「爆笑! 女の怒られ集」を紹介していこう。  ちなみにこの「爆笑」というのは、これから先、笑える話は一切出てこないので、今のうちに爆笑しておいてくれという意

管理栄養士が教える「詰めないコンテナ弁当」 保存容器のコンテナでレンチン調理しそのまま持参

 牧野さん提唱の「詰めないコンテナ弁当」は、コンテナに切った材料と調味料を入れてレンチンし、冷ましてそのままお弁当として持っていく、というもの。コンテナを調理器具としてもお弁当箱としても使う、目からウロコのアイデアだ。言われてみれば、コンテナは密閉性も高く、一般的なお弁当箱よりも軽くて持ち運びやすい。ほかの調理器具をほとんど使わないので、洗いものも減る。レンチンしている間にほかのことができるので、時短にもなりそうだ。  ここからは、具体的にコンテナでできるお弁当を見ていこう