浅田さん

マジシャン&作家。ここでは気ままにエッセイを投稿します。KADOKAWAより恋愛小説「わたしは愛される実験をはじめた(同タイトルでコミカライズも)」「宇宙が終わるまでに恋したい」出版。マガジンハウスより恋愛本「ラブスペル 恋を叶える魔法のフレーズ」出版。いずれもAmazon1位。

浅田さん

マジシャン&作家。ここでは気ままにエッセイを投稿します。KADOKAWAより恋愛小説「わたしは愛される実験をはじめた(同タイトルでコミカライズも)」「宇宙が終わるまでに恋したい」出版。マガジンハウスより恋愛本「ラブスペル 恋を叶える魔法のフレーズ」出版。いずれもAmazon1位。

最近の記事

ブルーバイブル①「人生の運転席には君が座らなくてはいけない」

序文 最近、青い顔をした少年少女の相談を受けます。 二十代そこそこ、といったところでしょうか。みな「人生をどうすればいいかわからない」といった顔をしています。まだ何者にもなれていないことに葛藤している様子です。 ・自分の力を証明したい ・何者かになりたい ・独立したい ・才能があるはずなのに ・まわりが社会になじんでいることに焦る ・有名になりたい ・普通の人生をおくりたくない ・なにかを成しとげたい ・なにをすればいいかはわからない ・このままじゃダメな気がしている ・

    • 生きている過去

      疲れていた。いや、疲れきっていた。 3冊目の本を出版したあと、脳の奥で、赤い信号がうっすら灯るのを感じた。そもそも人間は書くように作られていないのだ。休息が必要だった。 海の底の泥のように眠ったし、キーボードの前に立とうとする己を制したし、あえて動かない時間を作った。 面白いもので、休息さえ取れば、人は、机の上の片づけをはじめるし、部屋の隅に積んだ本のページをめくりはじめるし、お気に入りのカップに紅茶を淹れて、部屋のインテリアのことを考えはじめるらしい。 私たちには、

      • クリエイターは死ぬのが仕事なんだ

        「ベトナム戦争のとき」と、アメリカの偉大なる作家カート・ヴォネガットは語っている。「この国のまともなアーティストは全て戦争に反対だった。レーザービームのように一致して、みんな同じ方向をみていた。しかしその力は6フィートの脚立からカスタードパイを落としたくらいだった」 先日、後輩と飲みにいった。 たぶん僕は後輩に気前よく奢る方で、ひとつにお金の使い道なんて、突きつめると誰かを食わしてやること以外にないからで、ふたつ目には迷える青春の話を聞くのが好きだから。 僕は注意深く聞

        • 聖なるものについての授業

          今をさかのぼること、革靴にして3足前、読んだ小説にして968冊前、ビールにして1743リットル前、僕は大学生だった。 そのころ「宗教学」の講義をとっていた。ものすごく熱中していた。古今東西のあらゆる宗教や哲学を、わかりやすく解説してくれて「こんな面白くていいんですか?」という謎のテンションでのめりこんでいた。 教授は、ちょっと背の低い四十くらいの男性だった。ダボついた背広を着ていた印象がある。エレベーターで乗りあわせたときに、沈黙の後に「えっと、浅田君だよね?」と名前をお

          東京という怪物よ

          関西に住んでいるのだけれど、最近、どういうわけか月に一度くらい呼ばれて東京に向かうことになっている。いつのまにかそうなった。 出版社や書店への挨拶まわり、作家としての講演会、知人のYoutuberとのコラボ企画など、いろいろだ。正直、東京にいくのが楽しくて、わざと予定を入れている節もなくはない。 新幹線の青いシートに二時間半ゆられて──アイマスクをつけて泥のように眠るか執筆している──品川駅でおりて、緑色の山手線に乗って、たとえば渋谷駅の改札をぬけた先に広がっている人の群

          東京という怪物よ

          マジシャンになった経緯を語ってみようと思う。

          最近「何年くらいマジシャンをやってるんですか?」といわれて「十年くらいですかねえ」と答えた。そのあと「わお、もうそんなになるのかよ」と驚いた。せっかくなので、はじめて舞台に立ったときのことを書きたくなった。 いまから十年くらい前の話になる。 そもそも、僕にはマジックの世界に入るために、ひとつだけ大きなアドバンテージがあった。それは近所に〝フレンチドロップ〟があったことだ。いわずと知れた「マジシックショップ(奇術道具の専門店)+マジックバー」の老舗である。 いつも通販で商

          マジシャンになった経緯を語ってみようと思う。