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読書感想文 「羆嵐」吉村昭
「漂流」が面白かったので、同じ作者の「羆嵐」を読みました。(漂流の感想もそのうち書きます)
「羆嵐」は、北海道の三毛別の奥の六線沢で起こった日本最悪の獣害事件といわれている「三毛別羆事件」をもとにした小説です。
狂暴な人喰い羆と人間たちの戦いを描いた物語です。
この本の見所は、村人たちに容赦なく襲い掛かってくる羆の恐ろしさを迫力ある文章で書いているところです。
羆が出るかもしれない中、ふもとの集落に向かうシーンでは、まるで北海道の雪深い山道を、「次は自分かもしれない」とおびえながら歩く気持ちが伝わってきました。
今、あちこちで熊の害がでていることが報道されています。
「羆嵐」で書かれているような気持で近くの人たちは暮らしているのかな、と思いました。
「熊がかわいそう」、というのは、都会の人の勝手な感想なのかな、と思いました。
事件があった村は現在廃村になっていますが、現場近くに当時の開拓者の家の再現と熊の模型があるそうです。羆、大きすぎる・・・。
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