アプロプリエーション・アートとその周辺
序-アプロプリエーション・アート
アプロプリエーション(appropriation)、または、シミュレーショニズム(simulationism)は、1980年代のニューヨークを中心に広まった美術運動だ。
複製技術時代における芸術作品-ヴァルター・ベンヤミン
それらのアートは、アプロプリエーション・アート(appropriation art)、シミュレーション・アート(simulation art)とも呼ばれる。
アプロプリエーション・アートの例-Sherrie Levine
アプロプリエーション・アートの例として、挙げられるのが、代表的なシェリー・レヴィーン(Sherrie Levine,1947- /アメリカの写真家・アーティスト・コンセプター)の作品の構成だろう。表象とその後の事例は・・・・
1980年代にはニューヨークのイーストビレッジにおいて、アプロプリエーションを用いた芸術家があつまり、シェリー・レヴィーンは、際立った存在となる。
シェリー・レヴィーンは 、1981年に”After Walker Evans”という作品を、ニューヨークの Metro Pictures Gallery での個展で発表した。その個展では、世間で知られたウォーカー・エバンス(Walker Evans, 1903-1975/アメリカの写真家-作品は、記録性を重視したストレートフォトグラフィ)の写真を、ウォーカー・エバンスのカタログを撮影することで複写し、レヴィーン自身の作品として何の手を加えることなく発表した。
それは、従来からの視点からは乖離(かいり)しており注目を集めるが、それは、良しも悪しきも、どちらの意味合いでも興味のある表象だろう。
ウォーカー・エバンスは、 ジェームズ・エイジー(James Agee,1909-1955/アメリカの小説家、ジャーナリスト-ピューリッツァー賞受賞)と共作の” Let Us Now Praise Famous Men” という大恐慌の頃の田舎に住む、貧困なアメリカの人たちの写真集で著名だ。
シェリー・レヴィーンの作品は、この写真集からアプロプリエーションを行った・・・
ポストモダンの象徴的作品
そして、この作品はポストモダンの象徴的作品となっているのだ。再撮影で、被写体の女性によるイメージの占有によってイメージの持つメッセージを(註)に文言を入れ 、本来のイメージを所有する権利性について省察(かえりみて、そのよしあしを考える)している。
(註)現行のNFT(non-fungible token/非代替性トークン/所有証明付き・偽造不可なデジタルデータ)の考え方とは異なる。
その時代の「イメージと文化」を掘り下げる
Fig.Cassidy Oquinn - Appropriation Art #ENGL1301
(追記)ソビエトの写真から消えた人々
・このコラムの関連項目
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?