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#1)Luc Tuymans- 記憶の断片を検証する絵画
Luc Tuymans- 記憶の断片を検証する絵画
リュック・タイマンス(Luc Tuymans)
リュック・タイマンス(Luc Tuymans、1958- ベルギー)
アーティストであり、映画、写真、そして、画家である。アントワープ(Antwerpen-オランダ)在住。
室内、家族写真、壁紙の模様などの日常的なものから、ホロコーストなどの歴史的事象まで、幅広い対象を描く、いわゆる概念芸術だ。
淡い色彩の絵画が多い、映画撮影(80年代)からの影響で、絵画のトリミング、クローズアップ、フレーミングの重視、シークエンス化(順序)、モンタージュ、といった手法もとる。
リュック・タイマンスは、表象とは部分的であり、それは所詮、主観的であること、また、その意味というものは記憶と同じように、独立した断片の集合体として構成されると考え、表象のあり方を、絵画を通して再検証しようとした。それは、90年代半ばの閉塞感の中にある現代美術に、伝統的な手法である「絵画」を再認識させるの評価は高い。それは、当時の多くの若い画家に影響を与えた。
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略歴-Luc Tuymans
1958年、アントウェルペン州モルツェル(ベルギー)生まれ。
1976年、アントウェルペン王立芸術学院、ベルギー自由大学などで学ぶ。
1985年、ベルギーのオステンドで初個展。
1992年、*ドクメンタ9-(DocumentaIX)に参加、着目される。その流れから、グローバルな作家として著名になり、数多くの展示がされる。
2001年、ベネチア・ビエンナーレのベルギー館に出品。
2004年、テート・モダンほかで個展。
2009年、サンフランシスコ近代美術館、シカゴ現代美術館、ブリュッセル・パレ・デ・ボザールほかで回顧展巡回。
2015年、個展「Le Mépris(contempt)」ニューヨーク-子供の頃などの個人史的な展示、それはうつろぎの概念を探っているかのようだ。
そして、オランダ等の教育研究機関にも関わりを持っている、後進の画家への役割は大きい。
(註)*Documenta:カッセル(ドイツ)で、4-5年おきに行われる現代美術の国際美術展。余談だが、現在では、ベネチア・ビエンナーレと共に、現代美術の動向を紹介する大きなイベントだろう。ドクメンタは、グローバルな作品群から、審査されるが、これに対して、ベネチア・ビエンナーレは、各国の代表的な作品から、審査がなされる。是非はともかく、そういう事の違いだ。
Luc Tuymans at MCA Chicago
リュック・タイマンスのアートワーク
参考コラム
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