マルセル・デュシャン「大ガラス」私的解釈
マルセル・デュシャン「大ガラス」
「彼女の独身者によって裸にされた花嫁さえも」(いわゆる:大ガラス)は、1915年-1923年の8年の制作期間にわたって制作されたマルセル・デュシャンの未完成のオブジェである。
この作品は、鉛の箔、ヒューズ線、埃などの素材と2つのガラスパネルを使って制作されたものであり、偶然の要素(ヒビや塵)、透視図法、繊細なまでの職人芸的な技術や物理学、言語学的な要素が集約された非常に複雑な作品と言われる。大ガラス-未完のまま、チェスに転向したといわれるデュシャンだが、彼にとって、そのチェスは*造形的理論問題の原点であったといわれる。
そして、
それには、多様な解釈がある。
デュシャンは、私たちが「男」または「女」として、社会から記号化された存在と考えた。
そして、「大ガラス」は、私たちが「男」または「女」といういずれかの性の記号を背負うことによって、相互に疎外される存在であることを表現している。
デュシャンの「大ガラス」は、「男」「女」の欲望のメカニズムを、永遠に隔てられ、交わることのない位相の運動体化されているといわれる。
*造形的理論問題の原点:従来の絵画や造形のそれとは異なり、脳内で展開される無数のチェスの手のパターンのような、数学や幾何学も駆使した作品分析をおこなう、高次元な造形に対する形態を表す。
ということは、大ガラス-未完のまま、放置されたわけではないのではないか・・・
#ショートエッセイ #イメージと文化
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