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ある夏の日の、田舎の美しさ。*Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラ*

今回は、山の傾斜に立つ村じゃなくて、横長の村。

参照:wikipedia 

Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラという、人口約8500人の村です。

マグラというのは、近くに流れる川の名前。マグロじゃなくてよかった。一文字違うだけで、まるで感じが変わります。マグロ川なんて、お魚の鮪が泳いでいるのを想像してしまいます。

マグラというのは「痩せた」という意味。広く大きな川ですが、常に砂利が見えるほど、水量の低い川で、リグーリア州とトスカーナ州の境を流れています。

城跡の隣に大きな駐車場がありました。人口はほかの村とあまり変わりませんが、山の傾斜にない分、アクセスしやすいです。あとで分かることですが、いろいろなイベントも行う、活気ある村です。

大きなイタリアの国旗。運動会のような、黄色と赤の三角形の旗も飾られているので、お祭りがあるのかもしれません。

平坦とはいえ、若干の階段はあります。階段を登りきったところにある玄関の作りが立派。重厚な木製の扉を囲っているのは、近郊のカッラーラ山から切り出してきた大理石かもしれません。

珍しい門構えは、この村ならではなんですね。

戦略的に重要な位置にあったこの村では、領土争いが絶えなく、広大な領地を支配するお隣の国のマラスピーナ侯爵と、カステルヌオーヴォ・マグラ村があった教皇地区とで争いが起き、このときは教皇地区が勝利。1187年から1203年にかけて、教皇地区として、カステルヌオーヴォ・マグラという名前が文献に表れます。

用事がある人しか入っちゃいかんよ。と威嚇しているような、強そうな彼はライオンかしら?

いままでの村にはなかった、地図まである!

小さなトンネルには、グラフィティ。

ネズミを狙う猫も描かれている。

現代と中世が交互に現れて、時空を旅している錯覚に陥ります。

村で一番大きな教会、立派です。

カステルヌオーヴォ・マグラ村は、教皇地区、マラスピーナ侯爵の領土、ピサ国、ジェノヴァ国と、近隣の国々に支配されてきたところ。

それぞれの国の支配下にあり文化も融合され、このような教会が建立され、壁や天井には美しい宗教画が描かれています。

マリア様と幼子キリストの絵。王冠はや宝飾物は実際に作られたものを身につけています。

足元から光を当てることで、陰影も演出の一部になっている、大理石の磔刑のシーン。磔刑の上にある天井が、台形で奥の底辺を短くすることで、奥行きをだしています。

教会の一面には船の絵や写真が飾られています。その一番上にあるイタリア国旗。白地のなかに4つの紋章がありますが、これはイタリアの海軍強国であった、ベニス、ジェノヴァ、ピサ、アマルフィの紋章で、現在のイタリア海軍旗です。

船へのご加護を求めたものや、ご加護を得て無事に帰還したことを感謝する奉納物でしょう。この村が、ピサ国とジェノヴァ国の支配にあったことを思い出させます。

この教会の文献はほとんど残されていませんが、感情に訴える作品がたくさんあり、すごいなぁ。と感心しながら見て歩いていたら、この絵に遭遇。

ピーテル・ブリューゲル。 
えっ、なぜここに? 

ピーテル・ブリューゲルって誰? ピーテル・ブリューゲルは同名で、父と子がいますが、この教会にあるのは「子」の方です。このような作品を残しています。

参照:Wikipedia

本物は修復のために保管されているとのことですが、教会では盗まれる可能性もあるので、特別な機会のときのみ、お披露目されるのでしょう。

どのような経緯で、この村の教会の所蔵になっているのかは、わかりません。絵の運命を辿ると、1つの映画になりそうです。

昔は城壁だったところに建物が建ち、迷路みたいなトンネル。

トンネルを抜けて振り返ると、トンネルのなかで見た、目の前のグレーの丸い建物が、当時の要塞であったことがわかります。

トンネルを抜けたら、芝生のある広場を発見。なにか催しものがありそうな気配。

ふふふふふふふ。


ジージーとセミが鳴く、暑い日の夕暮れ。これは涼むでしょう。遠くに海を見て、辛口の冷えたワイン。最高っ!です。

次はあそこ行きたい。向こう側に、小さな村が見えます。

夜は食事もできるらしく、二人の演奏家が準備中。

グループ予約分のテーブル設置も完了してました。夕方も気持ち良いけど、夜は、星空を見上げつつ、涼しくていいでしょうねえ。

ピンク色のブーゲンビリアが、華やかで、色のコントラストが際立ちます。

足休めを十分にしたので、路地歩きを再開。夕焼けの光が差して、ピンク色がオレンジ色に染まるとき。ここで育つ子供達は、こういう何気ない、けれど、この上なく美しい風景を、思い出として心に留めておけるのは、なんて幸せなんでしょう。

夕涼む猫ちゃん。

こちらでは、人が夕涼み。
やっと出会った、村人! 

ひとりひとりが家から出てきては、そこに置かれたままになっている椅子に座り、夕食までのつかの間のおしゃべりを楽しむのでしょう。

日が沈みはじめ、村の色にも影が落ちていきます。

カステルノーヴォ・マグラ村には、フィレンツェから追放されたダンテが逗留した地でもあるようです。隣の遊び場では子供達が元気に遊んでいます。

今夜は、城跡でイベントがあるようで、その設置中でした。白いスクリーンが置いてあるので、ナイトシアターが上映されるのかもしれません。

日中の暑いときは、室内を暗くして日陰を作り暑さをやり過ごし、夕方になると、ぞろぞろと家から出てきて、おしゃべりに興じるのがイタリアの夏の過ごし方。

腹ごなしにアペリティフをしたら、21時頃から始まるナイトシアターを星空の下で楽しみ、そのあと、ジェラートで締め。

休暇を取り、海へ山へと移動し、リフレッシュするのもいいけど、日常でも、こんな息抜きができる場所が提供されているのって、なかなか素敵だと思います。

一部だけが残されているお城は、いまは戦いではなく、憩いのために使われています。月も顔を見せ始めたので、後ろ髪を引かれますが、そろそろ村を後にします。


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最後までお読みくださり、
ありがとうございます!
今回の村シリーズは、
次回で最後になる予定。
またお会いできたら嬉しいです。
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イタリアのモノづくり | ようこ
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