石畳のアーチが連なる、田舎の美しさ。*Vezzano Ligure ヴェツァーノ・リーグレ*
アルコラ村でおまわりさんから教えてもらった、貴重な地元情報。
人口約7000人が住む村。やはり小高い丘の上に立っています。
村の一番高いところに建つ塔を目指して行ってみましょう。
村の入口の広場に描かれたフレスコ画。これはなんでしょう?
RIONEは「地区」という意味。ヴェツァーノ・リーグレ村は、広場地区を中心に、9つの地区に分かれていることを示しています。
場所によっては、地区対抗のレースが繰り広げられます。代表的な例では、フィレンツェから日帰り旅行できる古都シエナ。騾馬が広場を駆け回る、地区対抗のレースが夏に行われます。
絵を見終えて、散策に入ろうかと方向転換したら、絵と同じ風景が目の前に現れました。絵のまんまです。
奥に車の標識が見えます。ということは、この狭い道を車が通るんですね。ひぃ。。馬車が通っていたのと同じ車幅。
目の前の道に誘導されて、奥へ奥へと入って行きます。黄色の道ではないけれど、オズの魔法使いのドロシーになった気分。小さな電光は、夜になると照らされるんでしょう。幻想的でしょうね。
今日は白もののお洗濯日なんですね。こんな日差しだから、すぐに乾きそう。ロープの両脇には丸い滑車がついていて、ロープを手繰り寄せ、一枚づつ干して行きます。
わたしも、こんな物干しロープのついたアパートに住んだことがありますが、洗濯物が落ちやしないかヒヤヒヤしながら、何度も洗濯バサミを確かめて干したのを思い出します。
風で飛んでしまったときは、アパートの階段の手すりや、親切な人だと、玄関の取っ手に掛けてくれたりします。
そんなことを思い出しながら歩いていて目に止まった紙。
LipuはLega Italiana Protezione Uccelliの略でイタリア鳥類保護協会という意味になります。
初夏のフィレンツェの風物詩のひとつが、ツバメがキーキー鳴きながら飛び交う姿。手厚く保護されていたんですね。
ここでは棚が設けられていませんが、人が通らないところだから設置されていないのでしょう。
道がずっと続いています。バイクがトンネルのなかに駐輪されているのは、天然のガレージでしょうか。村を歩いていると、結構な確率でイタリアの国旗を目にします。石畳とよく合う配色。
石を積み上げアーチを建造物に応用した古代ローマ人は偉大なり。アーチがあるから、小高い山の傾斜にも、居住を形成することができます。
風を通し、明かりを取り、景観も楽しめる、石積みの通路。
アルコラ村、トレビアーノ村、ヴェツァーノ・リーグレ村。どれも古代ローマ人の手が入っています。この村に至っては、Vectius(ヴェクティウス)というローマ時代の貴族の領地だったところから村名がついています。
そして、いまもそこに住む人たち。
ドラゴン退治をする聖ゲオルギオスが、なぜここに? 普通のお家の壁にありました。
聖ゲオルギオスって、すごく発音しづらいけど、イタリア語ではジョルジョ。聖ジョルジョのドラゴン退治のシーン。
先が見えないからわからないけど、村の一番上までもう少しかしら。
植木を置くためなのか、石の台座が備え付けられています。ちょっとした工夫から、自分たちの住まいを美しく整える気持ちが伝わってきます。
アーチを通り抜けようとするときに風が吹きぬけ、玄関前の白いカーテンがふわっとなびき、人の気配を感じた瞬間。
風を通して室内を涼しく、同時に、外から室内を見えないようにしています。
アーチ&アーチ。時間が積み重なり表れた、シンプルな趣のある美しさ。
おや?
先ほど通ってきたアーチ&アーチと同じオブジェを発見。カロビ(Carobi)地区にはいったらしいです。
「カロビ地区のかまど」って書いてある。昔はここで地区のパンを焼いていたのかもしれません。
木戸はボロボロだけど、鍵は新しいから、なにかには使われているんでしょう。
午後の昼下がりは、暑いよね。大きな鉢の日陰で涼む白猫さん、お顔が素敵です。
ボクも日陰に入りたいな。彼の目先には白猫が涼んでいます。お友達のようで、このあと仲良く遊んでいました。
玄関の隣にベンチが置いてあるから、涼しくなる夕方から、ここで雑誌を読んだり、近所の人達とおしゃべりを楽しむんでしょう。
思ったより、大きな村でした。頂上までまだ歩きます。登りますよ、そこに階段があるから。
ようやく到着。日陰の多い路地を歩いてきたから、太陽が眩しい。意外に広い。いまは塔が残されているのみ。
ヴェッツァーノ・リーグレ村が歴史に残す最初の日付は、963年5月19日。神聖ローマ帝国の初代皇帝で、イタリア王としても即位したオットーネ1世が、この地方の司教でもあったルーニ伯爵へ、当時存在していた城と城塞を割り当てた年です。
村のなかは連続アーチの路地でいっぱいだけど、外からはそんな様子はまるで想像できません。これが村歩きの楽しみ。こういう小さな村は、イタリア語ではボルゴ(Borgo)と呼びます。
いままで白昼夢のような村ばかりでしたが、次回は、少し村人が登場する小さな村でお会いしましょう。
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次回お会いしましょう!
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