日本の匠と、イタリアと。*Homo Faber n.3*
Homo Faber(ホモ・ファーベル)は、2年おきにベニスのサン・ジョルジョ・マッジョーレ島で開催される、高級工芸品の国際展示会です。
アートじゃないアート。*Homo Faber n.1*
未来の創造者たち。*Homo Faber n.2*
上のロゴを見ると、扇子や、花挿しや、「HOMO」の「O」に至っては習字体。
なぜか?
今期開催の主賓(Guest of Honor)として、日本の伝統工芸品が、大きくクローズアップされているんです。
12名の重要無形文化財保持者(人間国宝)の秀逸な作品が一同に展示されました。
「重要無形文化財」という認定は、日本ならではのもの。日本の美意識と、卓越した技術でモノを造形することは、文化を継承し、歴史を紡いでいくこと。形のない文化を財産として、国が認定する。
「重要無形文化財」という制度を知り、文化に対する日本の意識の高さを感じた海外の方も多かったことでしょう。
キュレーターを担当されたのは、日本を代用するプロダクトデザイナーの深澤直人氏、そして、MOA美術館・箱根美術館館長を務められる内田篤呉氏。会場のモニターで映し出される「日本の技」は、川内倫子氏の映像作品です。
12 Stone Garden
日本セクションが設けられたのは、アンドレア・パッラーディオが設計した修道院の旧食堂。「12 Stone Garden」と名付けられ、人間国宝12名の作品を展示。
食堂の奥にある絵は、ルネッサンス期のベニスを代表する画家のひとり、ヴェロネーゼの作品。
ナポレオンがフランスに持っていってしまい、いまはルーブル美術館所蔵ですが、かつては、ここにあったんだなぁ。と、感慨深い。
修道院の食堂には「最後の晩餐」が描かれることが多く、この食堂に描かれる作品も、本来なら「最後の晩餐」のはずでした。
しかし、お披露目された作品は、あまりにも豪華で華やかで、楽しそうなシーン。けしからん!と苦情がきて、「カナの婚礼」と名前を変えざるを得ななかった。という話しが残されています。
このような素敵な空間に、日本から海を渡ってきた作品が展示されています。
国宝級の作品を発送することは、ただでさえ大変なのに、この状況下で、ベニスの展示会に搬入するまでのご苦労やご心労、さぞ大変だったことと、お察しします。
しかも、なんて大胆で、勇気のある、展示法。
写真からも分かるように、ガラス張りのショーケースに入れたりせずに、日本の至高の芸と技を、手で触れられる至近距離で堪能できます。
なんという贅沢!!
Italy and Japan : Marvellous Liaisons
「12 Stone Garden」は、人間国宝12名の作品を展示するセクション。ほかにも、日本をテーマにした作品が紹介されており、こちらは、イタリア人が日本の美を解釈すると「こうなる」作品展示。
木製の格子の棚。桂離宮からインスピレーションを得て作らたそうです。
南イタリアのリゾート地といえばアマルフィやポジターノですが、同じ海岸沿いに、ヴィエトリという磁器の街があるのをご存知ですか?
こちらは、そのヴィエトリにアトリエを持つアーティストが製作した大皿。太陽の日差しと紺碧の海が眩しい南イタリアらしい、大胆で鮮やかな作品。
下のオブジェ。これ、なにを連想しますか?
タイトルはなんだと思いますか?
タイトル「ガラスの盆栽」ですって!
すごいですねー。
発想もすごいけど、作る技術があるのが、またすごい。ランプ職人の手によるもの。
これはまさに、日本とイタリアの融合。2面マスク。
仮面といえばベニス。地元ベニスのアーティストによる作品です。
イタリア人が連想する「日本の美」は、静かで洗練されたもの。水面がしんと静まり返るような、静謐で凛と張り詰めた空気。
それをイタリア人が表現しようとすると、大胆で動的で華やかになるのは、国民性なのか。生まれ持った血なのか、遺伝子なのか。
日本とイタリアのハーフで、日本で育つと日本の美に、イタリアで育つとイタリアの美に、偏るのかしら。ということは、血よりも、環境によるところが大きいかしら。
ホモ・ファーベルの楽しさは、展示作品を鑑賞するだけじゃなく、デモンストレーションもあり、作り手から直接に話しを聞けるところ。
Homo Faber(ホモ・ファーベル)シリーズ。
次回もつづく。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございます!