【#28】材料力学の強化書 〜複雑な形状の不静定はりの問題を解く〜
今回のトップ画像は、オランダのヒートホールンという街の一軒家です。普通に想像する家とは違い、変わった形をしていますね。これも各土地の文化のひとつなのでしょうか。
さて、材料力学の話に戻りましょう。
前回は引き続き不静定問題を扱いました。主に「重ね合わせの原理」を利用することで、不静定問題をより簡単に解く方法について見ていきました(重ね合わせの原理は他の工学分野でも使うので、頭の片隅に置いてもらえたらと思います)。
今回ははりの問題の最終回ということで、少し難易度の高い問題(連続はり)について解いていきます。
これまでの総復習になる場面です。ここで取りこぼしの無いようにして頂けたらと思います。
基本的な例題
今回は移動支点が複数あるはり(連続はりと呼ばれています)について解いてみます。詳しくは下記のノートを参照してください(分量の関係上、途中式を所々で省いていますが、ここで解説を入れます)。
たわみ曲線を求めるのが最終的なゴールですが、そのためには曲げモーメントを求める必要があります。前に説明した曲げモーメント線図(BMD)の話ですね。
$${\frac{d^2v}{dx^2}=-\frac{M}{EI}}$$
曲げモーメントを求めるには、はりから一部の部材を取り出して考えることが重要です。ノートではCD間のはりの状態を書いていますが、これをAB間とBC間でも考えます(詳しいやり方はこちらの記事が参考になると思います)。
ポイントのひとつは、切り出した断面において、反時計回りをモーメントの正として考えることでした。切り出した部材の範囲内でモーメントのつり合いを考えるのです。
微分方程式を解く
はりのたわみを求める方程式を見ると、微分方程式の形になっていることが分かります。微分方程式の説明については、以前こちらで扱いました。
形こそ微分方程式ではあるものの、対処はそんなに難しくはありません。両辺を軸線方向(x軸方向)に向けて積分すれば良いだけです。ただし、積分定数が付いてくるので、そこを忘れないようにします。
主にこの積分定数は、境界条件(支点の拘束状態により決まる)を用いて求めていくので、まずは一般解(積分定数まで残した状態で求まる解のこと)を求めることに集中します。
最後に、はりのたわみ曲線(v)は基本的に下向きを正にします。たわみ曲線の概形を描くときに方向を間違えないように注意します。
はりの不静定問題
不静定問題とは、支点反力などの未知数がはり全体の力とモーメントのつり合いだけでは求められない場合のことを言います。
はりの問題において、支点反力や固定モーメントは未知数となります。基本的には冒頭にはり全体の力のつり合いとモーメントのつり合いで2式を立てることで、求めることが可能でした(静定問題)。
ところが、未知数が3つ以上ある場合は、従来の静定問題のやり方で解くことができません。そこで、境界条件を駆使しながら、未知数を連立して解いていくことになります。
以上が今回の問題を解く上での主なポイントです。あとは計算量が多いですが、回数をこなしていけば次第に慣れてくるところでもあるので、今回の記事を参考に沢山の問題に取り組んでみてください。
おわりに
今回は複雑な形状をしたはり(不静定問題)に対するたわみ曲線を求めていきました。ここまで式を追うのに大変な思いをした方もいるかと思います。
前にも書いた通り、量をこなすことがだいじだと考えます。たわみ曲線を求めるためにはいくつかのルールを理解する必要があります。それらを自然に取り込めるようになるには、量をこなすことが一番の近道です。
今回ではりの問題は終わりになりますが、本稿(材料力学の強化書)としての記事はマガジンを通して続けていくので、過去の基本例題を見返しながら、各自のペースで進んで頂ければと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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