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色彩の役割を本を通じて考えてみる -2-

自分は色に関しては専門外ですが、個人的に昔から興味がありました。

色彩に関する資格試験(色彩検定)もあり、カラーコーディネーターと呼ばれる仕事もあるので、実用性や認知度は高いと思います。

色彩に関しては工学的な知見も相応にあり、下記の本を手に取りながら、様々な視点から学んでいけたらと思います。

前回は色を物理(実験)という観点からどのように捉えてきたかについて、主たる話題として取り上げました。代表例として「三原色」を説明して、その辺の仕組みを例示しました。

出典:https://webnaut.jp/design/640.html

今回は色の定量化の話についてです。前回も示した通り、色は「心理物理量」と称されており、一般的な物理量に比べて規定が難しいとされています。赤の中にも「紅色」「朱色」「鴇色」など判断の難しい表現もあります。

こうした時に定量化する手法があると、理解する上で何かと便利です。今回はこの辺について3種類の手法を挙げて書きたいと思います。


表色の基本原理 〜顕色系〜

色を定量的に表示することを「表色」と言い、一定のルールに従って体系化されたものを「表色系」と言います。

表色系には「顕色系」「混色系」があり、顕色系は色見本と呼ばれる道具を用いて色を分類する手法です。これに代表されるのは「マンセル表色系」であり、色の三属性(色相・彩度・明度)を利用して色を判断します。

出典:https://www.fujifilm.com/fb/support/colorprint/howto/design/seminar_02.html

まずは色相について。赤と黄と緑と青と紫の5色を基本として、5個の基本色の間に5個の混色を設けた合計10色の色相円で表現します。5色の基本色は英語の頭文字で記号化することが多いです。

色相円では外側に向くほど鮮やかな色とされています。中心からの距離を彩度で表現します。なお、各色で彩度の等級(数)は異なります。この色相円を3次元の球状のような形にして、その上下関係で明度を規定します。

  • 紅色:6R5.5/14

  • 朱色:3R4/14

  • 鴇色:8R3/2

冒頭で挙げた3色をこのルールで定量化すると、上記の通りです。表記は「色相・明度・彩度」の順番で数値を並べています。

表色の基本原理 〜混色系〜

混色系で定量化する際の基礎となるのは、人間の感覚器官に刺激を与えて色を判断させる光です。加法混色を土台として赤(R)と緑(G)と青(B)の値を空間座標上にプロットして判断します。

この手法で一般的なものに「CIE表色系」があります。顕色系とはまた別の切り口です。

出典:http://yamagishi-2bit.blogspot.com/2019/08/vfx-wokflow-scene-linear.html

これは同時加法混色(三原色の色光を組み合わせて1箇所に同時照射する方法)に従います。三原色を同強度で照射すると白色光になります。

三原色から構成される色(光)を原刺激と呼びますが、三原色に対応する3刺激値を調整して、重ね合わせの要領で等色関数(F=R+G+B)として表現します。

加法混色による光と素の単色光は物理的には別物です。しかし、色としては同様と言えます。被験者が前述の2種類の光(色)を「等色」と感じるか否かを見る実験を「等色実験」と言い、心理実験に用いられています。

直感的な色の定量化

表色系を用いた色の定量化を見てきましたが、温度を利用して色を測る方法もあります。これは前述の方法に比べて精度は多少犠牲している一方で、より直感的なものとされています。

黒体と呼ばれる物質があります。外部から入射する光を波長に関わらず全て完全に吸収する架空の物体のことです。この黒体を加熱すると、その温度に応じて熱エネルギーを電磁波として放出します。

放出される電磁波の分光分布は黒体の温度(絶対温度)の上昇と共に変化します。このとき、黒体の色は、赤・黄・白・青のように変化します。これを色度図と合わせて「黒体軌跡」を描画します。

黒体軌跡は黒体の絶対温度(値)を指定することで一義的に決まります。つまり、温度というスカラー量(1次元的な数量)のみで黒体の色が容易に決まるのです。

これを応用した形として、温度と色を紐付ける手法が開発されました。これは先述の2種類とは別の視点ではありますが、直感的で利便性の良い考え方でもあります。

おわりに

今回は色の定量化について、3種類の手法を見てきました。表色系は主に工業系の場面でも使われるため、解析学的な見方になります。一方で、直感的な見方も用意されているのが、なかなか魅力的に感じました。

色彩の考え方は心理的なアプローチにも応用されています。次回はその辺の話を深掘りとして展開できればと思います。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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