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【#41】材料力学の強化書 〜カスティリアノの定理(2)〜

今回のトップ画像は北海道は室蘭市にある白鳥大橋の夜景です。夕暮れの時には橋が赤く染まり、眼下には工場の保安灯も望めるスポットとしても人気だそうです。

さて、材料力学の話に戻りましょう。

前回はひずみエネルギーの応用編として、カスティリアノの定理を扱いました。トラスやはりのたわみを計算する際に便利な手法であり、簡単な例題で計算の流れを見ていきました。

今回は引き続きカスティリアノの定理を利用して、もう少し複雑な問題を解いてみます。実際にここでは「偏微分」という特殊な手法(基本的に大学レベルの数学で学習します)が登場するので、その扱い方も確認してみてください。

カスティリアノの定理(再掲)

外力のなす仕事とエネルギーの関係は弾性体においても成立します。そこで、複数の荷重が作用する場合について考えてみます。

複数の荷重に対するひずみエネルギーは、単純に各々の仕事を総和することで求まります。そこに微小荷重が追加されると、それに伴いひずみエネルギーも増加することが分かります(★で示した数式に対応)。

今度は最初に微小荷重(dPn)を加えて、P1・P2・P3…の順に作用させてみます。

この時のひずみエネルギーの総和は(★)で示した式に等しくなるので、次のようになります。

$${U+\frac{\partial U}{\partial P_n}dP_n=U+dP_n\delta_n}$$

この式を整理すると、次のようになります。

$${\delta_n=\frac{\partial U}{\partial P_n}}$$

ここで「$${\partial}$$」は偏微分を表します。多変数関数において特定の変数に対して微分する、という意味として捉えてください。

上記の式は、複数ある荷重(群)の中から特定の荷重でひずみエネルギーを偏微分すると、その荷重の作用点における作用方向の変位を求めることができる、ということを示しています。

このことを「カスティリアの定理」と言います。はりやトラスの問題では、集中荷重が作用する場合にカスティリアノの定理を利用して、集中荷重の作用点におけるたわみを求めることができます。

基本的な例題

今回は複数の集中荷重が存在するはりのたわみを求めてみます。後々の工程を踏まえて、ふたつの集中荷重をそれぞれ個別の定数としています(実質は同じ大きさの荷重に設定しています)。

ひずみエネルギーを求める際はかなり計算が複雑化しますが、カスティリアノの定理を利用する上で荷重はそれぞれ個別の定数としなくてはいけないため、避けては通れません(余力のある方は実際にひずみエネルギーの計算をしてみてください)。

偏微分が最後に登場します。今回は点Dのたわみを求めるので、点Dに作用する集中荷重(文字)でひずみエネルギーの式に対して微分します。このとき、もう一方の集中荷重(文字)は定数として扱うため、点Bの集中荷重(文字)だけの項はゼロになる点に注意します。

おわりに

今回はカスティリアノの定理を利用して、複数の集中荷重が存在する場合のはりの問題を解いてみました。

前回は集中荷重が1箇所だけでしたので、偏微分の意味が十分に理解しにくかったと思います。今回のような複数の集中荷重が存在する場合で、ようやく偏微分の意味が成します。

ちなみに、カスティリアノの定理はねじりの問題でも利用できます。気になる方は他の参考書なども見てみると良いかもしれません。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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