【#25】材料力学の強化書 〜複雑な条件下でのはりのたわみ曲線〜
今回のトップ画像は兵庫県にある神戸メリケンパークの夜景です。独創的なトラス構造の建築物たち。日本でもお洒落な建物がたくさんありますね。
さて、材料力学の話に戻りましょう。
前回ははりのたわみ曲線について説明し、簡単な片持ちはりの問題から実際にたわみ曲線を求めてみました。
今回はこれまでより複雑な荷重条件を持つはりのたわみ曲線について求めてみることにします。これまでの総集編という位置づけです。
複雑な形状なので、途中計算もややこしいかもしれません。ひとつひとつ手計算で着実に追いかけて頂ければと思います。
今回の例題(SFDとBMD)
今回は下記のような単純支持はりについて扱います。
拘束条件は回転支点と移動支点による単純支持はりですが、集中荷重が2点で生じていること、片側が移動支点から張り出しているため、これまでより複雑な計算になります。
まずは、せん断力線図(SFD)と曲げモーメント線図(BMD)を求めます。部材をAB間とBC間とCD間の3通りに分けて、せん断力と曲げモーメントを軸線方向成分(x)の関数として表します。
集中荷重の生じる位置では、せん断力は不連続に変化しますが、曲げモーメントは連続に変化します。特に曲げモーメントについては、この後のたわみ曲線を導出するのに使うので、慎重に計算を進めていきます。
今回の例題(たわみ曲線)
AB間とBC間とCD間の3通りの区間で曲げモーメントを求めたら、たわみ曲線を求めます。下記の公式でvが軸線方向成分(x)の関数で表したたわみ曲線になります。
$${\frac{d^2v}{dx^2}=-\frac{M}{E{I_z}}}$$
上記の式で両辺をxで積分することで、たわみ角が求められます。また、たわみ角をxで積分することで、たわみ曲線が求められます。なお、たわみ角とたわみ曲線は連続的に変化するので、各点(A〜D)では一致する必要があります。
たわみ曲線も同じくAB間とBC間とCD間の3通りに分けて求めます。境界条件から、回転支点(点A)と移動支点(点C)でたわみ(大きさ)がゼロです。
ただし、これだけでは未知数(積分定数)を求めきれないので、先ほどの各点(A〜D)でたわみ角とたわみ曲線の値が一致することを利用します。
おわりに
今回はこれまでの確認と応用編として、はりのせん断力線図(SFD)と曲げモーメント線図(BMD)を求めること、そこからたわみ曲線を求めることについて、一連の流れで見て頂きました。
実際に手計算で結果の通りになるかを確かめてみてください。そうした経験が次第に実力として身についてきます。今回は1ページにまとめるために、途中計算を省略している部分もあるので、ひとつひとつを着実に進めていけば良いです。
次回は以前取り組んだ不静定問題(はりの場合)について扱います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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