【#44】材料力学の強化書 〜長柱の座屈現象(2)〜
今回のトップ画像は奈良県にある東大寺です。修学旅行で訪れた方も多いのではないでしょうか。
奈良時代に聖武天皇の勅願により建立されたのはご存知かと思います。過去2回も被災したものの復興されて現在の形に至るというのは、それほど貴重な存在であったという証拠ですね。奈良の大仏もまたお目にかかりたいです。
さて、材料力学の話に戻りましょうか。
前回は座屈現象についての説明と、両端回転支持の場合についての座屈発生の条件について見ていきました。長柱を用いた設計においては、通常の材料の降伏応力の他に、座屈応力を考慮する必要があるということを理解しました。
今回も引き続き座屈について見ていきます。今回は一端固定支持の場合の座屈応力について、前回と同様に数式を追いかけます。
座屈について 〜再掲〜
長い柱に軸圧縮荷重を加えると、軸線に垂直な方向に変形する(たわみが生じる)ような現象が生じます。これを「座屈」と呼んでいます。また、座屈の生じるときの荷重を「座屈荷重」と呼びます。
座屈荷重は主に柱の長さ、横断面の形状、材料のヤング率に依存しますが、柱の支持条件にも左右されます。今回は一端固定支持の場合について追います。
一般的に座屈応力は降伏応力よりも小さいことが知られているため、長柱を設計で用いる場合は座屈応力を基準に行うことが多いようです。
基本的な例題(一端固定支持)
実際に一端固定支持の条件での長柱の座屈について、数式を用いて追いかけてみます。たわみの基礎方程式を利用して、実際に微分方程式を解く作業になります。微分方程式の具体的な解き方は参考書などを当たって頂ければと思います。
今回の微分方程式は「非斉次」と言いまして、右辺がゼロではないケースです(前回の両端回転支持のときは右辺はゼロでした)。
非斉次の場合は、右辺がゼロのときの微分方程式の一般解に加えて、今回の微分方程式の解をひとつ決めて足し合わせます。
今回の場合は先端の変位(δ)が解になるので、それを足し合わせます。
実際に求めた解から先の手順は前回と同様です。座屈荷重を求める際に、任意の整数(n)の最小値を用いて次のように導かれます。
$${P_c=\frac{{\pi^2}EI_z}{4l^2}}$$
前回も書いてますが、この式から求められる荷重のことを「オイラーの座屈荷重」と言います。
座屈荷重が曲げ剛性($${EI_z}$$)に比例することも前回と同様です。
座屈応力は単純に座屈荷重を断面積で除することで求まります。この値は通常の降伏応力を下回ることが一般的なので、柱を使う際には座屈応力を基準に設計することもあります。
おわりに
今回は座屈現象についての説明と、一端固定支持の場合についての座屈発生の条件について見ていきました。
長柱の場合は通常の降伏応力の他に、座屈荷重による応力を考慮する必要がある、ということを定性的に理解するかとがだいじです。
次回は両端固定支持の場合について見ていきます。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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