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【#49】材料力学の強化書 〜弾塑性体の構成式〜

今回のトップ画像は、オーストラリアのメルボルンにある、フリンダースストリート駅です。日本の東京駅もそうですが、伝統を感じさせながらも、近代的な佇まいを創り上げていて、見ていてワクワクします。こういう駅をこれからも増やしていきたいですね。

さて、材料力学の話に戻りましょうか。

前回は塑性変形の発生因子となる転位という存在を説明し、原子単位という微視的な観点から、塑性変形の特徴を確認していきました。

今回は弾塑性体の構成式として有名なものをいくつか紹介していきます。これらは現実の変形解析(ソフトウェア)の中にも組み込まれているので、実用的な話でもあると思います。

 弾塑性体の構成式

代表的な構成式は下記の3つです。一番左にある弾完全塑性体が最も簡単な構成式で、右のふたつは少し複雑な形になります。それぞれ見ていきましょう。

■弾完全塑性体
応力が降伏応力に達した後、降伏応力一定の下で塑性ひずみが増加していくような物体のことを指します。$${\epsilon_e}$$は弾性ひずみです。
$${\sigma=E\epsilon_e}$$($${{0}{\leq}{\sigma}{<}{\sigma_y}}$$), $${\sigma=\sigma_y}$$($${{\sigma}{=}{\sigma_y}}$$)

■線形ひずみ硬化弾塑性体
応力が降伏応力に達した後、塑性ひずみと共に応力が線形に増加するようにひずみ硬化を考慮した物体のことを指します。$${\epsilon_p}$$は塑性ひずみです。また、Hはひずみ硬化率と呼ばれる材料定数です。
$${\sigma=E\epsilon_e}$$($${{0}{\leq}{\sigma}{<}{\sigma_y}}$$), $${\sigma=\sigma_y+H\epsilon_p}$$($${{\sigma_y}{\leq}{\sigma}}$$)

■n乗ひずみ硬化弾塑性体
応力が降伏応力に達した後、塑性ひずみと共に応力が滑らかに増加するようにひずみ硬化を考慮した物体のことを指します。nはひずみ硬化指数と呼ばれる材料定数です。
$${\sigma=E\epsilon_e}$$($${{0}{\leq}{\sigma}{<}{\sigma_y}}$$), $${\sigma=\sigma_y+H(\epsilon_p)^n}$$($${{\sigma_y}{\leq}{\sigma}}$$)

以上の3種類の他にも、全ひずみ$${\epsilon_T}$$(弾性ひずみと塑性ひずみの総和)を用いた構成式もあります。ランベルク・オズグット則と呼ばれる構成式です。Kとmは材料定数です。

$${\epsilon_T=\frac{\sigma}{E}+K(\frac{\sigma}{E})^m}$$($${\epsilon_T=\epsilon_e+\epsilon_p}$$)

どれを選択するかは、計算量と求めたい答えの精度のバランスを見ながら考えることが一般的です。

塑性現象における物理

上記で説明した構成式の他に、数式で考える際に考慮するべき特性をふたつ挙げておきます。

■体積一定則(非圧縮性)
弾性変形の場合は荷重が作用する方向に伸縮し、それと垂直な方向にはポアソン比の分だけ伸縮します(つまり体積変化を生じます)。それに対して、塑性変形する場合は体積変化は生じません。

■静水圧の非依存性
材料力学では、物体に作用する垂直応力成分の平均値として静水圧が定義されます。そして、静水圧は塑性変形に影響を及ぼさないことが知られています。

ここで、偏差応力($${\sigma'}$$)を定義します。

$${\sigma'=\sigma-p}$$

偏差応力は、垂直応力成分のうち塑性変形に寄与する応力成分を表します。なお、せん断応力は物体を滑らせるような変形であることから、既に体積一定速が成立するため、全て塑性変形に寄与します。

おわりに

今回は塑性変形に対する構成式を紹介しました。

塑性領域における応力とひずみの関係(曲線)は、材料試験で求めることが一般的ではありますが、ある程度は今回紹介した構成式で再現できます。どこまで精度を求めるかによります。

材料によっては、より現実に近い形で挙動を再現できる構成式があります。それらを調べてみるのも面白いかもしれません。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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