2022年4月、アルスシムラは開校から10年目を迎えました。 これまでアルスシムラにお集まりくださった方々とのたくさんの出会いとご縁に深く感謝しております。 10年という節目に、「note」へブログを移転することにいたしました。 二度とない「日」と「日」がつづく毎日を、また、アルスシムラに集う方々がつむぎだす色や音が、ここちよく響いている秘密を、少しずつお伝えしていきます。 改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。 アルスシムラ 講師一同
10月に入り、朝晩急に涼しくなりました。 本科生徒さんは着物制作に向けて、本格的に動き出しています。 アルスシムラでの作品制作は、まずどんなものを作りたいか、イメージするところから始めてもらっています。 イメージは、 色や染料、風景など、見えるものから広げることもあれば、 ご自身の人生や、これまで考えてきた想いなど、抽象的な、形が見えないものからふくらませることもあり、生徒さんそれぞれです。 イメージが固まってきたら、ひな形という型にはめ込んで絵を描き、ことば化して、よ
アルスシムラ嵯峨校の庭には枇杷や梔子など染料になるたくさんの木々が植えられています。そして、その植物たちは生徒の作品の中に各々の色として活かされ息づいています。 さらに今年は、蓼藍、紫草(日本紫)、日本茜も種から育てています。 藍は葉っぱが元気な夏に生葉染をしました。 9月になっても夏を思わせる暑さでしたが、植物達は花を咲かせ種を実らせて秋の気配を私たちに伝えてくれます。 紫草は6月頃に白い可憐な花が咲きましたが、それらが白い小さなつぶつぶの種になりました。 真冬の寒い
夏の盛りの八月の初旬。 アルスシムラではワークショップを行いました。 桂川で朝取りの勢いの良い葛や嵯峨校の庭の枇杷、そして伸び盛りの桑で、それぞれ、爽やかな草色や力強いピンク色、柔らかな真珠色が染まってくれました。 夏の日差しが厳しく暑い中、参加者の皆さんは日に焼けるのも忘れて染めた色を風に当て日に透かして色を見つめます。真夏の太陽に育まれた植物から染めた色は、絹の光沢を帯びて太陽の下で一段と美しく輝きます。 小管立てにたくさん並んだ色の中から、好きな色を選び織り入れら
今年度初回の講義から一か月半余りが過ぎました。一年生の中には染織が初めての方、経験がある方と様々いらっしゃいますが、アルスシムラでは基礎からしっかりと学びを進めていきます。 植物から色をいただくお染めの実習やお蚕さんから糸を頂く糸の話などに目を輝かせていた一年生。タイトル写真は紅花染めの写真です。 そして、織りの授業に入りました。 整経、経巻を白糸で練習して、いよいよ自分の機での作業の始まりです。 経巻した千切りを機に載せて、まずは綜絖通しです。 前の綜絖、後の綜絖と、
夏を思わせる日中の日ざし。アルスシムラ嵯峨校は梔子の甘い香りに包まれています。 予科コースでは、経糸の準備が始まりました。 春の初めに生徒が桜で染めた経糸を、西陣の整経屋さんで縞立てしてもらい、経糸の機がけが始まります。桜のピンクやグレーの色が白糸と縞になって美しく映えます。 機にかけるには、経糸を一本ずつ間違いなく結んでいかなくてはなりません。1040本は果てしない数のようですが、生徒にとっては自分が取り組む経糸に一本一本向き合う時間でもあります。初めての作業に苦戦しつ
授業が始まり約1カ月。 少しずつ作業が本格化してくる中で、藍染が始まりました。 アルスシムラでの藍建ては、月の暦に従って行います。 今年は新月の関係で、本科授業の始まった翌日が、藍建ての仕込みの日でした。 昼夜の気温差が大きい春の気候をのりこえて、ちょうど満月の頃に初染めを行うことができました。 毎年継続して行っていることとはいえ、毎回藍の状態も変わり、同じ藍はひとつもありません。 初染めは生徒だけでなく、講師にも格別な思いがあります。 また、例年行っているもう一つの
5月、桜の時期が過ぎた嵐山の山並みは、木々の葉がひらき、さまざまなみどり色に彩られ、むくむくと盛り上がるような力強さを感じます。 アルスシムラの本科は、12期目、2024年度が始まりました。 1年生にとっては、初めて触れる白糸、初めての染料採集、そして初めての染め。 炊きだした染液の香り、白糸に色が吸い込まれる瞬間、陽の光にかざした糸の輝き。 期待と緊張が入り混じりながら、授業が進んでゆきます。
2024年3月8日、啓蟄を過ぎること数日。 アルスシムラ 2023年度 卒業制作展と、第1回同窓展を開催しました。 アルスシムラ 2023年度 卒業制作展は、本科・予科・通信科生徒の制作した着物・帯・裂が一堂に会する、この1年間の集大成です。 また、2023年にアルスシムラが創設10周年を迎えたことを記念し、卒業生による同窓展を、設立以来初めて開催いたしました。 第1回となる今回の同窓展には、全国各地で制作を続けているアルスシムラ卒業生から力作が集い、場をいっそう華やか
遠い山並みが白く雪をかぶった朝、 嵯峨野には梅の香とともに、うぐいすの鳴き声が響いていました。 厳しい冬の寒さの中にも、春の気配が見え隠れしています。 年間授業の残り日数が少なくなる中、 生徒さんはそれぞれに、 次の制作のデザインに想いを巡らせたり、 季節の染めを楽しんだり。 思い思いに過ごしています。 アルスシムラ2023年度卒業制作展・第1回同窓展を、 2024年3月8日(金曜日)から10日(日曜日)まで、 京都文化博物館 6階にて開催いたします。 詳細は以下お知らせ
3月に入り、アルスシムラ嵯峨校では卒業制作展に向けての準備が進んでいます。 年明け以降に始まっていた裂を着物に仕立てていく作業もやっと終わり、生徒の皆さんはホッと一息です。 志村洋子先生の指導のもと、織りあげた反物を裾や肩(切るところ切らないところ)で慎重に折り畳み、必要な長さがあるかなど確認します。 そして鋏を入れます。 この時は鋏を入れる本人はもちろん、仲間たちも息をのんで見守ります。教室全体に張り詰めた空気が流れます。 切った裂は衣桁にかけられ、全体の柄や色合いを
彩り豊かな嵐山の山並みから少しずつ葉が落ちてゆき、 嵯峨野は冬を迎えようとしています。 嵯峨校では、本科の年間の集大成、 着物の制作が進行中です。 着物を織るためには、 まず生徒さん各々がイメージをふくらませ、 デザインをします。 デザインに添うように、糸に色を染めて、 着物が織れるように、経糸・緯糸の準備をしていきます。 染めている時、 糸を準備している時、 織り始める時。 想像以上のものが現れて感激したり、 想定外のことが起きて驚いたり、 全てが一期一会です。
秋を味わう間もなく急にやって来た寒さの中、嵯峨校では卒業制作の準備で熱気の漂う日々が続いています。 気持ちは早く織り始めたいと先を急ぎますが、そこまでの準備の大切さを理解してひとつひとつ丁寧に作業を進めています。 今回はその作業内容をご紹介したいと思います。 染めた経糸は毛羽立ちを抑えるために糊付けをします。ふのりとしょうふを溶かして混ぜた糊液の中に綛を浸漬して糊付けします。 この時期は大量に使うので糊づくりも皆で行います。 糊をつけた経糸は木枠にあげます。五光を使う方法
ナンキンハゼや銀杏、ケヤキなどが少し色鮮やかになってきて、暖かい中にも秋の気配を感じます。 気持ちの良い青空が広がり、染め日和。 予科の授業前、清凉寺で待ち合わせてドングリ拾いをしました。 鈴なりの樫の木の下で拾っていると、あちこちからドングリの降る音がします。夢中で拾った大小さまざまなドングリからどんな色が出るのかと、教室で早速炊き出しました。 「親子染め」なんて言いながら、ドングリのなる白樫の枝葉も炊き出して、 隣り合わせで見比べながら染めてみます。親の白樫より少しし
秋とは名ばかりの蒸し暑い日々が続いていますが、嵯峨校では1年生も2年生も暑さに負けず各々の作業に熱気を増しています。 秋の訪れで行った裏庭の剪定で刈り取られた植物の一部は、色として新たなプレゼントとなってくれます。 1年生が初めて織った白生地を洋子先生や昌司先生、宏先生、そして仲間に披露する会が開かれました。 一本の糸が裂になっていくことを実感する最初の一歩となった裂です。 白の経糸に色に導かれて色糸を入れていくことで自らのイメージが表出する経験をされた生徒さんもいました。
8月。 アルスシムラの本科の授業は夏休み。 授業がお休みの間、嵯峨校では染めと織りのワークショップを開催しました。 夏の時期のワークショップは久しぶり。陽ざしに負けず華やかに咲いている百日紅で、織り入れる糸を染めました。 どんな色も受け入れてくれる百日紅の穏やかなベージュと、赤味のあるグレー。その色をベースに様々な色を一本一本響かせるように織り入れる方。イランの砂漠やモスク等、物語のように織り入れる方。織が初めての方も何回目かの方も、その人の人柄が機の上に色やリズムとなっ