映画「関心領域」が描くナチスのアメとムチ:現代日本と重なる影
映画「関心領域」を観ました。
時代は第2次世界大戦、場所はアウシュビッツ強制収容所。
アウシュビッツ強制収容所の場所はポーランドですが、ポーランドはドイツとソ連で分割済み。
ポーランド政府は外国に亡命しています。
ナチスドイツで優遇されていたのは「ナチスドイツ政権が認めていたドイツ人たち」だけ。
ポーランド人達もひどい目に遭います。
一番ひどい差別を受けたのがユダヤ人で、差別の結果どのようなことが起こったのかを象徴する施設がアウシュビッツ強制収容所です。
ナチスドイツ政権は「ナチスドイツ政権が認めていたドイツ人たち」にはかなり気を使っています。
共産主義者とかナチス政権に反対する人たちは別ですが、「ナチスドイツ政権が認めていたドイツ人たち」の人気を気にしています。
ナチスドイツ政権は国民に飴と鞭を使い分けていた・・・とも言えますが、実は飴の方が多かったんじゃないか?
そんな気すらします。
映画「限界領域」の主人公はアウシュビッツ強制収容所の所長です。
そして映画には所長の妻も出てきます。
この妻がかなり強烈。
所長が転勤する際も妻は自宅が気に入っているため、ブチ切れまくり。
夫は1人寂しく単身赴任です。
妻が気に入っている自宅はアウシュビッツ強制収容所のすぐ近く。
アウシュビッツ強制収容所は大きな壁で囲まれています。
アウシュビッツ強制収容所の煙突からは煙がモクモクと出まくりっています。
そして壁の内側からユダヤ人たちのうめき声が聞こえてきます。
しかし妻は自宅がものすごく気に入って絶対に引越ししたくありません。
かなり不気味です。
そして妻はユダヤ人たちから没収した衣服をもらっています。
家の人たち(家政婦みたいな人たち?)もユダヤ人からの没収品をGETしています。
ナチスドイツに近い人たちがユダヤ人たちから奪い取った金品をもらっていることが分かります。
しかし恐ろしいのはこれから。
妻のお母さんがこの自宅に来ます。
しかしこのお母さんは数日でこの自宅から逃げ出します。
はっきりと理由は示されないけど煙やうめき声が不気味すぎたようです。
妻に比べるとお母さんはマトモに見えます。
しかしこのお母さんは恐ろしいことに「カーテン」の話をします。
なにが恐ろしいか。
それは「近所にいたユダヤ人のカーテンが欲しかったのに取りそこねた」なんて話をしているからです。
「狙っていたユダヤ人のカーテンを先にとられちゃった」と。
この母親はユダヤ人に対する差別意識はあったのでしょう。
その差別意識は許されませんが、アウシュビッツ強制収容所の隣で生活するには耐えられないマトモさを持っていました。
そのくらいのマトモさを持っていた母親でも「ユダヤ人のカーテン」は欲しかったのです。
アウシュビッツ強制収容所から遠く離れた場所でも「ナチスドイツ政権が認めていたドイツ人たち」には飴があったようです。
ユダヤ人の財産を分け与えられていたドイツ国民がたくさんいた。
ユダヤ人のカーテンなどをもらったドイツ国民はいたわけです。
ユダヤ人たちがいなくなった。
いなくなったという事はそのユダヤ人たちは・・・という想像はできたはずです。
しかし多くの国民はいなくなったユダヤ人の財産をもらっています。
これが多くの国民の実態だと思います。
ナチスドイツは独裁政権だったから。
本当ですか?
今の日本は民主主義国家です。
2024年、日本国民の政治的レベルはナチスドイツ政権下のドイツ国民よりレベルは高いのでしょうか?
まともな政策論争なんて行われていますか?
選挙でマニフェストなんて言葉が流行ったのはいつだったのかすら覚えていません。
現在、東京都知事選挙が行われています。
私は東京都民ではないので身勝手に言わせてもらいますが「クソひどい選挙」としか思えません。
小池都知事のやったことがバラマキに当たるのかわかりません。
しかし多くの政治家が「バラマキは国民に効く」ことを知っています。
岸田政権は定額減税をやりました。
そして「定額減税の額を給与明細に記載しろ」と言ってひんしゅくを買っています。
定額減税だって一種のバラマキな。
政権が与える飴を知って欲しかったのでしょう。
定額減税だって結局、国民の4割は支持しているようです。
また慌ててなのか「電気料金の補助」が復活するそうです。
これもバラマキの一例でしょう。
ただ8月からの3か月間。
6月の時点でクソ暑いのだが、、、。
日本でもバラマキは批判されます。
批判はされますが、喜びまくる国民もたくさんいると思います。
マイナポイント?なんでももらえれば良い。
とにかく減税されればうれしい。
電気代が安くなるのならいいじゃん。
私は個別的にこれらの政策が悪いとは思いません。
しかし、バラマキ政策をなにも考えずに「ラッキー」としか思っていない今の日本国民は「ユダヤ人の衣服・カーテンがもらえてラッキー」と思っていた当時のドイツ国民と変わらないと思うのです。
大切なことをもう1度書いておきます。
前回のnote記事も映画「関心領域」を取り上げました。
前回のnote記事は
映画「関心領域」の主人公は私たちと同じなのではないか?
という話でした。
アウシュビッツ強制収容所の所長と私たちが同じとはどういうこと!?
前回は有料記事ですが、もし興味があればお読みください。
途中までは無料で読めます。
「関心領域」には原作小説があるそうです。
興味があります。
note記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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