【欧州ひとり旅】お母さんのまなざし
旅の途中、ホームシックになることはあまりないのですが、あるとしたらそれは、「家族」を感じる時にほかなりません。
マルコポーロ国際空港へ向かうヴァポレットで、ひと組の家族と出会いました。ラブラブな夫婦と、3歳くらいの男の子。スペイン語を話していたので、旅行にでも来ていたのでしょうか。とにかく、笑顔の絶えない暖かい家族です。
奥さんのまなざしにわたしのお母さんのそれを重ねたのは、スピードを出すヴァポレットが、海面を一度跳ねた少しあとでした。少し不安げで、でも喜びと優しさに満ちた、か細いまなざし。通信電波が届かないと分かっていてもお母さんにLINEしてしまいそうなほど、突如として訪れる、ホームシック。
ああお母さん、わたしはいま、お母さんに会いたいです。会って、お母さんの作る餃子が食べたい。肉汁みたいなキラキラの涙は、頬をつたってアドリア海に消えてゆくばかり。
ありあのひとり旅日記より抜粋
in Venezia, Italy Jan.2023
CONTAX Aria × Kodak GOLD 200