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【地中海ひとり旅】カルタゴの活気
これまでのひとり旅において、これほどまでに「危険」とか「物騒」という言葉の似合う瞬間には、なかなか出くわさなかったと思います。"瞬間"というには、1時間ちょっとの鉄路は長く遠いものではあるのですが、"あっという間"という表現を書く際のペンが気持ちよく旅日記帳をすべるにつけ、やはりそれは、瞬間の出来事でした。
空調の効かない蒸し暑い車内からわたしを救おうとせんのは、皮肉にも、ガラスの割れた窓と
【地中海ひとり旅】きみとはもう二度と
「じゃあ、きみとはもう二度と会わないかもしれないわけだ」
キッチンカーのおじさんは、たしかにそんなことを言った気がします。あまり寂しいことは言いたくなかったのですが、わたしは「そうかもしれませんね」と答えるしかありませんでした。
せっかく時間もあったので、地図を見ずにこの島を歩いてみようと決めたことを、後悔はしていません。マルタに来てからというものの、食べているものは、カロリーの高いもの
【地中海ひとり旅】カルタゴの待ちぼうけ
カルタゴから2, 3駅過ぎたところの名も知らない駅に着いてからというものの、この列車は、20分くらい動きません。それにも関わらず、乗客たちはみな穏やかで、雑談をする人もいれば、外でタバコを吸い始める人もいました。たしかこの列車は15時過ぎには目的の駅に着くはずですから、もう15時はとうに過ぎていることを考えると、やはり遅れていることは間違いないようです。
わたしがあまり焦っていなかったのは、
【地中海ひとり旅】チュニジアの青年たち
混ぜてほしいなんて、これっぽっちも思いませんでした。だって暑いですし、それほどお洒落をしているわけではないとはいえ、服を汚したくありませんから。あとへたっぴですもの。
それでもわたしが彼らチュニジアの青年たちをしばらく見つめていたのは、ビーチサッカーをする姿が、本当に楽しそうだったからにほかなりません。顔から足先まで砂だらけなのはお構いなしに、彼らは笑いながら、ひたすらボールを追いかけていま
【地中海ひとり旅】わたしはなぜ、旅をするのでしょう。
ひとり旅をしていると、「わたしはなぜ、旅をするのでしょう」と考えてしまうことがよくあります。特に移動中、長距離列車なんかに揺られてしまえば。やることは、およそ読書か車窓を眺めるか、あるいはもの思いに耽るか。これはきっとひとり旅あるあるだと信じてやみませんが、ほかの旅人さんは、どうなのかなあ。ねえ、向かいに座るお兄さん。あなたもきっとひとり旅をしているようにみえるから、教えて欲しいな。なんて声をか
もっとみる【地中海ひとり旅】それっぽい道
丘の上から地中海が見えたので、うん、ここからはそれほど遠くなさそうだと、海岸まで降りてみることにしました。
ここチュニジアでは、Googleマップはそれほど役に立ちませんから、それっぽい道を選んで歩くしかありません。どうせ時間はあるからと、わたしは迷うことなく、ひたすら小道を進みました。
そう、これは地獄のはじまり。あんなに近く感じていた地中海にたどり着くまで、およそ1時間近く歩いたと思
【地中海ひとり旅】騙しメディナのマフラー巻き
旧市街メディナの入口あたり、フランス門の下を歩いていたら、ひとりのおじさんに話しかけられました。「あなた、韓国人?日本人?」お決まりのあいさつは、まあ良しとして、「よかったら、この街を案内するよ。俺はここに数十年住んでいるから、なんでも知ってるんだ。大丈夫、騙したりしない、もちろんタダだよ。」なんて、怪しい誘い文句を受けたもので。怪しいなあ、でも、ちょっと気になるなあ。
この街のことを色々と
【地中海ひとり旅】彷徨いカプチーノ
「暑い、暑い・・・」と呟きながら通りを彷徨っていたら、ひとつのカフェに行き着きました。相変わらずの、白と青。狭い入口の奥からは日が差し込んでいて、開けた奥行きを感じます。特に喉が渇いているわけでもなかったし、疲れているわけでもなかったのですが、導かれたように、わたしはそのカフェに入りました。
残りひとつだった日陰の席に腰掛けて、カプチーノと、甘いお菓子を注文しました。左耳から聞こえてくるフラ
【地中海ひとり旅】フロリアナにあるホテル
バレッタから少し外れたところにあるフロリアナという地区には、昔ながらの集合住宅がいまでもたくさん残っていて、目を瞑って通りで深呼吸をしてみると、建物に反響する微かな声や朝ご飯の匂い、地中海の潮の香りなんかが全身に入ってくるように感じます。
昨日の深夜に船で入国したわたしは、船着場からなるべく近い宿をと思い、このフロリアナにあるホテルを選びました。結果として、それはそれは良い選択だったのでしょう
【地中海ひとり旅】赤い服を着た少年
「ねえ、どこから来たの?」
赤い服を着た少年は、少し訛りのあるフランス語で、わたしに話しかけてきました。首を傾げるわたしを見て、「ああ、このアジア人はフランス語をそれほど理解できないのだろう」と悟ったのか、これまた訛りのある英語で、「どこから来たのってば?」と再度わたしに尋ねます。
「日本、日本っていう、東アジアにある国だよ。」
少年がわたしの言ったことを理解したのかはわかりませんが、い