自分を守るための「もう一人の自分」と、初めて話してみた
『わたしが「わたし」を助けに行こうー自分を救う心理学ー』
著者:橋本翔太
発行所:株式会社サンマーク出版
実はもともと、私の中にも「ナイトくん」のような「もう一人の自分」という考え方がありました。
だから、この本を見つけたときの衝撃はすごかったです。
「これだ!」
と思い、Amazonで見つけるなり即購入しました。
今回は、本書の内容を紹介しつつ、ワークを通して自分にどんな変化があったのか、感想を交えながらお伝えしていきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
人生がうまく行かない原因
やりたいことがあるのに、なぜか手が進まないことはありませんか?
・叶えたい夢があるのに今の仕事が忙しくて時間が作れない。
・旅行に行きたいのに何故かお金が貯められない。
・部屋をきれいにしたいのに何故か片付けられない。
実はこれらの「解決したい問題」は、あなた自身(=ナイトくん)があなたを守るために生み出したものかもしれません。
ナイトくんとは?
ナイトくんとは、自分を守るための「心の防衛隊」。
その目的はたった一つ。
「あなたをこれ以上傷つけないようにすること」です。
不思議に感じますよね。
どうして傷つかないことが問題を生み出すのでしょうか?
筆者によると、問題には「隠されたメリット」があるからだといいます。
たとえば、
叶えたい夢があるのに、今の仕事が忙しくて時間が作れない場合。
この問題に隠されているメリットとは何でしょうか?
一つ考えられるのは、「辛い現実を見なくて済むこと」です。
その夢を実現するために全力を尽くしてしまうと、成功する可能性もあれば、失敗する可能性もあります。
失敗するかもしれないという不安を避けるために、ナイトくんが忙しさを作り出しているのです。
問題の解決方法
ナイトくんが生み出した問題を解決するにはどうしたら良いのか。
筆者は、その方法として「ナイトくんワーク」を紹介しています。
ナイトくんワークとは?
ナイトくんワークでやることは、主に2つです。
1.ナイトくんを見つけ出す。
ナイトくんは一人ではなく、あなたの中にたくさんのナイトくんがいるとイメージしてください。
それぞれの場面やテーマごとに、専門のナイトくんが存在しているのです。
ナイトくんは、心や体が不快な感情や感覚を覚えた時に顔を出します。
たとえば、怒りや悲しみ、羞恥、モヤモヤ、ソワソワ、無気力など。
そんな気持ちの奥に、ナイトくんがいるのです。
2.ナイトくんと対話をする。
今回は対話方法の一部をここで紹介します。
もっと深く対話方法を知りたい方はぜひ本書を手にとってみてくださいね。
ナイトくんを見つけた後は、ナイトくんに3つの質問をします。
質問1●「ナイトくん(あなたがつけた名前)、どうして○○なの?」
質問2●「ナイトくん(あなたがつけた名前)、あなたの『ミッション』はなんですか?」
質問3●「ナイトくん(あなたがつけた名前)、あなたがその『ミッション』をやめたら、私はどうなると思っているの?」
この3つの質問を通じて、
ナイトくんがどんな働きによってあなたを守ろうとしているのか、
そして何を心配しているのかを知ることができるでしょう。
問題との向き合い方
ナイトくんワークの目的は、
決して「問題をゼロにすること」や「悩みのない完璧な人生」を目指すことではありません。
むしろ、問題との正しい向き合い方は、
「悩みや問題を抱えていてもいい」と自分に許可を出すことにあります。
なぜなら、あなたが問題を抱えているのは、心がしっかりと機能している証拠であり、ナイトくんがあなたを守ろうとしているからです。
問題があることで、心があなたに大切なメッセージを伝えようとしているのです。
感想
『「わたし」が「わたし」を助けに行こう。』いかがでしたでしょうか?
筆者の言葉遣いがとても優しくてわかりやすく、個人的にもとても好みの本でした。
冒頭にも書いたように、私にも「ナイトくん」のような、もう一人の自分がいます。
私はその存在を「リトルArdan」と呼んでいます。
イメージとしては、陰と陽の陰の部分。薄暗い部屋に閉じこもり、滅多にその扉を開けようとしない存在です。
話しかけても返事がなく、たまった負の感情が爆発すると、突然表に出てきては、無気力やネガティブな感情で私を押し流してしまう。そんなイメージです。
人は誰しも陰の要素を持っていると思いますが、私の陰は、まさにそんな存在として心にありました。
だから私は、ずっと彼を「助けたい」「救いたい」と思っていました。
でも、彼は話しかけても答えてくれないし、表に出てきてもすぐに消えてしまう。
そのため、どう助ければいいのかもわからずに困っていました。
(少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、私にとってはまさにそんな感覚なんです……)
そんなときに出会ったのが本書です。
「私が私を助けに行く。」
この言葉が今の私にピッタリと当てはまり、迷わず即購入しました。
本書を通して、私はリトルArdanの本当の目的を知り、
ワークを通じて初めて自分の意志で彼とコミュニケーションをとることができました。
彼の役割は、無理して頑張りすぎている私を止めることだったのです。
正直、私は自分が頑張っていると認めるのが恥ずかしかったのかもしれません。
「もっと頑張っている人がいる」「自分の努力はそれには及ばない」と自分に言い聞かせていたからです。
もっとやらなきゃと常に自分に鞭打っていました。
でも、この1年は自分でも認めざるを得ないくらい頑張ってきました。
彼が私に伝えたかったのは、「君は十分に頑張っている。そんな自分を認めてあげて」ということだったのです。
リトルArdanとの対話を終えると、心のざわめきが少し収まり、肩の力も自然と抜け、呼吸もしやすくなりました。
自分が一生懸命に生きてきたことを認め、今の自分を少し受け入れられるようになった気がします。
心と体に目を向けることで、今の自分に何が必要かが見えてきて、自分自身をコントロールする術を手に入れたような感覚です。
本書は、生きづらさを感じている人や、もっと自分を理解したいと感じている方におすすめの一冊です。ぜひ手に取ってみてください。