谷中のレトロ喫茶 カヤバ珈琲×珈琲かき氷を堪能【東京谷中】
私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私 やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。
今回訪れたのは、古い町並みが残る東京谷中。
昭和の面影が色濃く残る谷中エリアには、とっておきの建築と甘いものスポットがある。
1.町屋建築を改装したレトロな珈琲店を訪問
今回紹介するカヤバ珈琲は、日暮里駅から歩いて約10分ほど、いわゆる谷中と呼ばれるエリアの南端に建つ喫茶店だ。
この建物が建てられたのは今から100年以上前の大正5年だ。
寛永寺や東京藝術大学からもほど近い、谷中の入口に建てられた建物は、2つの前面道路に深く軒を出した出桁造のレトロな外観が特徴となっている。
ミルクホールや喫茶室などを経て、現在のカヤバ珈琲の原型となる店舗がオープンしたのは昭和13年。
元々典型的な町屋造りだった建物を活かしつつ、洋風扉や煉瓦の花壇などを追加した建物は大正から昭和初期の香りが色濃く反映されている。
実はこのカヤバ珈琲は2006年に一度閉店している。
しかし、閉店を惜しむ声や関係者の働き掛けもあって2008年に復活、再オープンとなったのだ。
再オープンに当たっては、新宿の歌舞伎町タワーのをデザインしたことでも知られる永山祐子氏が改修設計を手掛けていて、これまで受け継がれてきた建物を活かした、新たな喫茶店空間つくられている。
店内に足を踏み入れると珈琲の香りが漂い、明暗のコントラストが際立つ素敵な空間がお出迎えしてくれる。
照明は最小限に抑えられ、代わりに2つの前面道路に面した開口から自然光が降り注ぐ。
古い家具や建築当初から建物を支える柱など、建物が持つ風格や雰囲気が陰影によってより際立っているのが素敵な空間だ。
入口付近にあるカウンターも面白い。
凹凸のある煉瓦の質感を活かしつつ、それと対比するようなスタイリッシュなグレーの壁のコントラストが際立っている。
永山祐子氏による当初の改修デザインでは、ミラー状の天井や光壁などもデザインされていた。現在は再び改修されてなくなっていたのが少し気になるが、店内の新旧の素材が対比するような空間は健在だ。
単なるレトロ趣味ではない、これからの時代の建築としてデザインされているように感じて嬉しくなる。
2.珈琲店でいただく珈琲かき氷を堪能
陰影豊かな1階の喫茶店も素敵だが、2階の座敷席も魅力的だ。
急勾配の階段を上がった2階席は、すべて畳敷きの明るく広々とした空間となっている。
席につくと木の小鉢に入ったおしぼりとメニューが運ばれてきた。
小さな心遣いだが、お洒落なおしぼりに思わずテンションが上がる。
カヤバ珈琲といえばたまごサンドが人気メニューだが、まだ残暑厳しい季節ということで、かき氷をチョイス。
かき氷といえばいちごやメロンが人気だが、珈琲店で頂くのであれば、やはり珈琲のかき氷だ。
大きなアイスクリームがのった珈琲かき氷は甘さ控えめで、まさに珈琲店のかき氷といった味わい。
上に乗るアイスと氷で冷えた珈琲がよくマッチして、絶品であった。
夏季限定メニューのかき氷は、他にも谷中ジンジャーや、季節を感じる夏みかんの甘夏など、いろいろなラインナップが用意されている。
2階の座敷席は、使われている素材も、色つかいもとても簡素たが、ほっと一息つける懐かしくも優しい空間となっている。
こちらはバルコニーに出る扉の手前の踏み台だが、シンプルな瓶に添えられた緑がポイントになって、空間の魅力をグッと引きたてている。
歴史を感じる空間からは、よく手入れされてきたことや、この建物を永きにわたって使ってきた人の愛着を随所に感じることができた。
【カヤバ珈琲 店舗情報】
改修設計:永山祐子/永山祐子建築設計
住所:東京都台東区谷中6-1-29
行き方:鶯谷駅から歩いて約8分、根津駅・日暮里駅から歩いて約10分
竣工:大正5年(平成20年改修)
営業時間:8:00~18:00
3.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築
せっかくなので、カヤバ珈琲とあわせて訪れたい谷中のグルメ建築についても少し紹介したい。(谷中には素敵な近代建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)
まず初めに紹介する花重谷中茶屋は、明治のはじめの1870年に谷中霊園の目の前に創業した老舗の花屋 花重を改修してつくられた店舗兼カフェだ。
元々この建物は登録有形文化財にも指定され、道路際に建つ明治棟と江戸長屋、戦前に増築された戦前棟、更に奥には昭和中期に増築された住居棟や社員寮が建てられていたが、令和に入って行われた大規模な改修工事によりカフェ併設の花屋に生まれ変わった。
江戸長屋を改築したアプローチをくぐると、鉄骨のフレームと回遊性を持たせたテラスが建物内外を繋げる新旧一体のカフェ空間が広がる。
過去と現在が交錯し、積み重ねた時がレイヤのように折り重なった空間では、浅草の名店ペリカンの食パンをつかった絶品フレンチトーストや人気店とコラボした特別メニューなどが堪能できる、谷中きっての注目カフェとなっている。
【花重谷中茶屋 店舗情報】
住所:MARU。architecture
所在地:東京都台東区谷中7-5-27
行き方:日暮里駅から歩いて約5分
竣工:令和5年(改修)
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日、第4水曜日
その他:登録有形文化財
続いて紹介するHAGISOは、木造2階建ての賃貸アパート萩荘を改修してつくられたカフェ、ギャラリー、ショップ、サロン等の複合施設だ。
建物の外観は黒い外装と年季の入った木材が印象的だが、内部にはいると印象が一変。明るい内装と開放的な吹き抜け、降り注ぐ自然光による気持ちの良い空間が広がっている。
こちらも古い要素と新しい要素がお互いを引き立たせる空間つくりが特徴で、1階に設けられたカフェでは、そんな空間を堪能しながらほっとひと息つくことができる。
【HAGISO(HAGI CAFE) 店舗情報】
設計:HAGISO
住所:東京都台東区谷中3-10-25
行き方:日暮里駅から歩いて約10分、千駄木駅から歩いて約5分
竣工:平成25年(改修)
営業時間:8:00〜10:30 、平日12:00〜17:00 、 土曜日・日曜日・祝日 12:00〜20:00
その他:第1回台東区景観まちづくり賞
今回は再び東京に戻り、谷中の建築と甘いものを紹介した。
どの建築も、素晴らしい体験と味を楽しめる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
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