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築120年の知の殿堂 大阪府立中之島図書館×コーヒーゼリーを堪能【大阪中之島】
私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私 やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。
今回訪れたのは大阪の梅田駅から程なく歩いたところにある中之島エリア。
大阪を代表するビジネス街であり、多くの行政施設や文化施設が建ち並ぶこの地に、とっておきの建築と甘いものスポットがある。
1.明治の終わりに建てられた歴史ある図書館を探訪
今回訪れたのは中之島の中洲に1904年に建てられた大阪府立中之島図書館だ。
すぐ近くには1903年に建てられた日本銀行大阪支店が建つなど今も多くの近代建築が残る中之島エリアであるが、市民も利用できる図書館における本格的な西洋建築は全国的にみてもかなり先端的な施設であった。
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この図書館施主となったのは江戸時代初期から続く名家である住友家の第15代住友吉左衛門であった。
住友吉左衛門は1895年に住友銀行を創設したり、後に大阪市立美術館も寄付するなど、経済界だけでなく文化や教育面の発展にも大きな功績を残した人物として知られている。
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そして大阪府立中之島図書館の設計の中心を担ったのが、逓信省を経て1900年に住友本店臨時建築部に入った野口孫市氏だ。
この住友本店臨時建築部は、その後日建設計工務となり、最終的には日本最大の組織設計事務所である日建設計になるのだけれど、日建設計の源流にこの大阪府立中之島図書館があるのいうのはとても面白い。
建物の外観はルネッサンス様式を踏襲した堂々たるデザインが特徴。正面のコリント式の柱と、その柱に支えられた三角形のペディメントは、ローマのパンテオンを思わせ、人類の知の集積を象徴しているようだ。
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実は両翼部は1922年に増築されたもので、1915年に野口孫市氏が亡くなった後に、住友営繕の指揮をとっていた日高胖(ひだかゆたか)氏がその設計を手掛けている。
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まるではじめから一つの建物だったかのような自然な外観には、ある種の普遍性を感じることができる。
2.息をのむ圧巻のドーム空間を堪能
図書館の入口は正面の大階段の両脇にもあるのだけれど、やはり最初は大階段を登って2階の中央ホールからアクセスしたい。
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階段を登り建物の中に入ると、圧巻のドーム空間がお出迎えしてくれる。
このホールはアメリカ古典主義建築を思わせる外観のデザインから大きく印象が変わり、バロック調のデザインとなっているのも面白い。
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頂上のガラスのドームからは自然光が溢れ、優しい光が空間全体を満たしている。石のイメージを基調にした外装に対して、内部は木材が多く使われているのも印象的だった。
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内装のデザインは、バロックだけでなく、世界各国の建築要素が集積しているのも注目ポイントだ。
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中央の回廊には菅原道真、孔子、ソクラテス、アリストテレス、シェイクスピア、カント、ゲーテ、ダーウィンの8人の賢者の名が刻まれているのだが、この8人のセレクトも絶妙だ。
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明治期に入って世界各国の様々な文化や哲学、建築様式が輸入された日本らしい設えともいえるが、それらの要素が不思議と破綻なく1つの空間にまとめられているのはさずがとしかいいようがない。
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中央ホールには「知性」と「野性」を表す2体の銅製彫刻も置かれていて、例えばこちらの像は知性を表す「文神像」で、書物を手にしている。
世界に広がる人類の壮大な知に対するリスペクトを、空間全体から感じ取るとこができる幸せな空間だった。
3.併設されたカフェで頂くとっておきの甘いもの
そんな中之島図書館を訪れた際にぜひ立ち寄りたいのが、2階に併設されたカフェレストラン スモーブローキッチン中之島だ。
こちらのお店はスモーブロー(北欧のオープンサンド)の専門店なのだけれど、スイーツメニューも人気となっている。
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この日頂いたのは、こちらの定番デザートセット。
甘味と苦味が程よくマッチし、シンプルだけど品がある味わいは、レトロな建物で頂くのにピッタリの一品だ。
やわらかいコーヒーゼリーとカカオのチップの歯応えのギャップもあって、あっという間に完食してしまった。
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合わせて頼んだ本日のフルーツソーダも、果肉たっぷりのパインと、すっきりとした炭酸がベストマッチでとても美味しい。
メニューは時期によって様々に変化するので、何度訪れても飽きない、とっておきのスイーツスポットとなっている。
お腹を満たした後はしばし館内を散策。
建物の各室は長きに渡って図書館や会議室として使われているのだけれど、正面エントランスの真上にある記念室は特別な存在だ。
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この部屋は大阪の実業家達の議論の場として使われたり、海外からの要人をもてなす貴賓室としても使われていたもの。木製のサッシやガラスも当時のものがそのまま残っていて、時代の重みを感じることができる。
内部をひと巡りして外に出ると、そこには現代の大阪の風景が広がっていた。
まるでタイムトリップしてきたような不思議な感覚と高揚感が体に残る素敵な建築体験だった。
【大阪府立中之島図書館 施設情報】
設計:野口孫市+日高胖
住所:大阪府大阪市北区中之島1-2-10
行き方:大江橋駅・淀屋橋駅から歩いて約3分、なにわ橋駅から歩いて約2分
竣工:明治37年(大正11年増築)
その他:重要文化財
公式Webサイト:https://www.library.pref.osaka.jp/site/nakato/
4.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築
せっかくなので、中之島図書館とあわせて訪れたい梅田・中之島エリアのグルメ建築についても少し紹介したい。(梅田・中之島エリアには素敵な建築が多くあるが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)
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中之島図書館のすぐ東隣に建つ大阪市中央公会堂は、大正時代の1918年に建てられた公会堂だ。
コンペによって選ばれた建物のデザインは、後に明治生命館や歌舞伎座といった数々の名建築を生み出した30歳最手前の岡田信一郎によるもの。
その後、岡田氏の案に基づいて、辰野金吾や片岡安が設計を行って完成した豪華な建築だ。 ネオルネッサンス様式をベースにしたデザインは、華やかさと楽しさがにじみ出ていて、100年以上に渡って大阪の芸術・文化の拠点として多くの人々に愛されてきた。
内部は展示室や貸会議室としても現役で活用されているのもすごいが、1階にはいるレストラン中之島 SOCIAL EAT AWAKEでは100年の歴史に思いを馳せながら絶品料理を堪能できるイチオシスポットとなっている。
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【大阪市中央公会堂 施設情報】
設計:岡田信一郎+辰野金吾+片岡安
住所:大阪府大阪市北区中之島1-1-27
行き方:大江橋駅・淀屋橋駅から歩いて約4分、なにわ橋駅から歩いて約1分
竣工:大正7年
その他:国重要文化財
公式Webサイト:https://osaka-chuokokaido.jp/
続いて紹介する梅田スカイビルは、バブルの終わり近い1993年に建てられた地上40階、高さ役170mの連結超高層建築だ。
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建物の設計を手掛けたのは、京都駅ビルなどの設計でも知られる建築家の原広司氏。空中で建物を繋ぐという一見単純なアイデアは、実際にその空間を体験してみると他のどの超高層建築とも違った浮遊感と浮世離れした世界観を味わうことができる。
飲食店も多くあり、上空からの景色を堪能できるレストランから昭和レトロな雰囲気を醸し出す滝見小路、気軽に立ち寄れるカフェまで様々なグルメスポットを楽しめるのも嬉しいポイント。
竣工から30年近く前の建物だが、いつまでも未来の建築像を見せてくれる、不思議な魅力をもった名建築だ。
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【梅田スカイビル 施設情報】
設計:原広司/アトリエ・ファイ建築研究所+竹中工務店
住所:大阪府大阪市北区大淀中1-1-88
行き方:大阪駅から歩いて約8分
竣工:平成5年
公式Webサイト:https://www.skybldg.co.jp/
今回は、ちょっと離れて大阪の建築と甘いものを紹介しました。
どの建築も、素晴らしい体験と味を楽しめる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。