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水耕田の風景に佇む 群馬県立館林美術館×いちごワッフルを堪能【群馬県館林】

私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私 やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。

今回訪れたのは、群馬県の館林市に2001年につくられた美術館だ。
古くは豊かな自然と水資源を擁する城下町として栄え、明治以降は自然と産業が共存する街として発展してきたこの街に、とっておきの建築と甘いものスポットがある。

1.群馬県館林市に建つ素敵な美術館で頂く絶品ワッフル

今回はやってきたのは、群馬県館林市ののどかな風景の中に建つ群馬県立館林市美術館だ。

館林市といえば、利根川や渡良瀬川といった大きな河川に挟まれ、豊かな水資源を擁する城下町として栄えてきた都市だった。
その後明治時代にに鉄道が整備されると、都心からのアクセスのよさもあり、様々な産業が発展し、自然と産業の両方が共存する街として群馬県の中核都市となった。

館林駅の西口ロータリーからバスに乗って約20分ほど移動すると、元々は水耕田だった広大な土地の中に佇む美術館が姿を現す。

建物は敷地の北西側にエントランスや展示室、講堂といった機能がまとめられていて、広場に面してはギャラリーと呼ばれる通路が建物と広場の間に弧を描くように配置されているのが特徴だ。

バスを降りると、展示室や講堂のある建物と、そこから弧に沿うように広がるギャラリーの間を進んでエントランスに向かう。

エントランスまでのアプローチには水盤があり、流れる水の音や水面に反射する美しい光に導かれるように美術館に誘われていく。

美術館は北に多々良川、南東に湿地帯、南西に水田というように、豊かな水資源の風景の中にある。

こうした水景は、エントランスだけでなく、広場を取り囲むように敷地の外周部にも巡っている。
館林の発展の歴史がそうであったように、豊かな水資源の上に人々の営みがあるこということを建築自体が表しているような計画となっているのが素敵だ。

また、緩やかにカーブする壁面や屋根は、土地全体と一体となるように連なっていて、館林の水耕田の背景の中に建築全体が溶け込んでいるように見えるのも魅力的だ。

今回頂くのは、館林美術館の名物であるワッフルだ。
広場に面したギャラリーの先端は、エミール 水辺のワッフルカフェという名の飲食店舗となっていて、地元の食材を使ったワッフルプレートや季節限定のワッフルを楽しむことができる。

水盤側からみると、スリット窓からカフェ越しに中央の芝生広場がみえるが、広場に開いた開放的なデザインとなっているのが特徴だ。

そんなカフェで今回頂いたのは、季節限定のたっぷりスカイベリーのワッフルセット。

自家製のワッフルと、豪華に盛り付けられたスカイベリーの相性はピッタリだ。

また、せっかくなので一緒に頂いたいちごスカッシュも、苺の酸味とちょっと強めの炭酸が合わさってとても美味しく頂いた。

爽やかなスカッシュは、甘いベリーのワッフルともよく合って、優雅なワッフルタイ厶を演出してくれた。

メニューはワッフルを中心としたスイーツメニューの他に、お昼にはランチメニューもあるので、美術館を訪れた際には是非立ち寄ってみてほしい。

2.シンプルだけれど工夫の詰まった素敵な空間を堪能

ワッフルを堪能した後は再び、美術館を散策した。

まずはギャラリーとも呼ばれる中庭に開いた通路を進んでいくが、徐々に変化する風景を楽しんだり、芝生広場で遊ぶ子供や歩く人影を眺めたりと、この通路自体の体験がとても魅力的だ。

このギャラリーは、単なる移動の為の動線としてだけでなく、一度通った後も引き返したり、佇んだりしたくなる設えとなっている。

メインの展示室はこのギャラリー(通路)沿いに設けられているのだが、最端部で振り返ってみると、右手には壁だけがあるようなデザインになっているのが面白い。

右手奥には展示室の大きなボリュームがあるのだけれど、そうしたボリュームはうまくセットバックしているのだ。
結果的に広場と展示室の中間領域であるギャラリーの弧を描く美しいラインが、印象的に浮かび上がってくる。
また、美術館の動線はシンプルなので、自分が広い敷地の中のどこにいるのか、直感的に把握できるのも嬉しいポイントだ。

芝生の広場に佇む三日月型の第1展示室も面白い。

この展示室は展示室内から広場を、広場から展示室を見渡せるデザインとなっている。
自然光が降り注ぐ展示室は、主に彫刻が展示されていて、水田の中心に鎮座する展示室は、大地に根を張っているようでもあり、或いは天から球体で抉られるようでもある。

また、この展示室は建築と、建築よりももっとスケールアップした風景とを繋ぐ装置の役割も果たしている。

北部エリアには森のような木々の生い茂るゾーンがあり、アトリエやワークショップスペースがはいる建物がある。

美術館本体とは離れた場所にある小屋のような建物は、現代的でスタイリッシュなデザインと対照的なアットホーム感がある。
明るく開放的な本館に対して、こちらのゾーンは木々がつくり出す木漏れ日の中にあり、少し湿り気を含んだ空気感となっていて面白い。

それぞれに特色のある空間は、館林の雰囲気にも良く合っているように感じ、穏やかで充実した美術館体験ができた。

【群馬県立館林美術館 施設情報】
設計:高橋靗一/第一工房
外構設計:オンサイト計画設計事務所
住所:群馬県館林市日向町2003
行き方:館林駅からバスで約20分
竣工:平成13年
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日、年末年始
その他:第43回BCS賞
第17回 村野藤吾賞
公式Webサイト:http://www.gmat.pref.gunma.jp/

3.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築

せっかくなので、群馬県立館林美術館とあわせて訪れたい館林の建築についても少し紹介したい。(館林には素敵な建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)

ひとつ目に紹介する館林駅前商店は、館林駅の東口の階段を降りてすぐのところに建つ飲食店だ。

大正ロマンをコンセプトにデザインされた建物は、実は令和5年にオープンした最新の店舗でもある。
店内は木調の内装にを基調にレトロなデザインのタイルや家具、間接照明が散りばめられているのが特徴。
昔懐かしのメニューを中心にランチからスイーツまで様々な料理を味わうことができる館林市の新たな注目スポットだ。

【館林駅前商店 施設情報】
設計:&SPICE.
住所:群馬県館林市本町2-1-1
行き方:館林駅から歩いて約1分
竣工:令和5年
営業時間:10:00~23:00
公式Webサイト:https://www.tatebayashi-ekimae.com/

続いて紹介する館林市民センター(旧館林市庁舎)は、群馬県館林市に建つ地上5階地下1階の市民センターだ。

この建物は4隅に塔状の階段やエレベーター、トイレなどを納めたコアが聳え立ち、中央に市民のための機能が積層されているのが特徴だ。
これらを四隅にまとめることで、中の庁舎部分を使い勝手の良い大空間にでき、フレキシブルで拡張性のある建物とすることが目指されている。

建物の設計を手掛けた菊竹清訓(きくたけきよのり)氏は、社会の変化や成長に合わせて有機的に成長する都市や建築を提唱した建築運動「メタボリズム」の主要メンバーでもあったが、この建物は建設から60年以上経っても現役で使われ続ける貴重なメタボリズム建築だ。
2023年には1階にカフェ FUIGO TATEBAYASHIとギャラリーがオープンし、再び注目を浴びる館林の名建築だ。

【館林市民センター FUIGO TATEBAYASHI 施設情報】
建築設計:菊竹清訓/菊竹清訓建築設計事務所
住所:群馬県館林市仲町14-1
行き方:館林駅から歩いて約7分
竣工:昭和38年
営業時間:10:00~17:00
定休日:月曜日、火曜日

今回は館林の建築と甘いものを紹介しました。
どの建築も素晴らしい体験と味を楽しめる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

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