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子供の偏食の真相:好き嫌いをするのはなぜ?

「うちの子、野菜が嫌いで困ってます」「好きなものしか食べなくて偏食気味…」そんな悩みを抱える親御さんは多いですよね。

子供の好き嫌いは成長過程の自然な一部ですが、栄養バランスの問題や家族の食事時間がストレスになることも少なくありません。

今回は、子どもの好き嫌いの背景にある原因を考察も交えて解き明かしていきたいと思います。

子供が好き嫌いをするのはなぜ?

まず、子供が特定の食べ物を嫌がる理由は、単なる「わがまま」ではなく、大きく分けて3つの要因が絡んでいます。

1.生物学的な理由

子供が特定の味に敏感であるのは、生物学的な特性と進化的な背景が大きく関係しています。この章では、子供の味覚の鋭敏さを生物学的視点と進化的視点から掘り下げていきます。

• 味覚の敏感さ
子供の味覚は大人よりも鋭敏です。苦味や酸味に敏感なのは、進化的に毒性のある食べ物を避けるための本能とも言われています。

一方で、甘味や脂肪分が多い食べ物を好むのは、エネルギー源として重要だったからです。

• 発達段階の影響
味覚の好みは発達とともに変わります。幼児期には新しい味に抵抗を感じることが多いですが、成長するにつれ徐々に受け入れる力が育ちます

新生児期〜乳児期(0〜1歳)
• 味蕾の数:10,000個程度
生まれたばかりの赤ちゃんは味蕾が非常に多く、舌だけでなく、口腔内全体(歯茎や上あご、喉の周辺)にも分布しています。

• 味覚は敏感で、特に甘味を好む一方、苦味や酸味に対して強い拒否反応を示すことがあります。

幼児期(1〜3歳)
• 味蕾の数:減少し始めるが、まだ高い状態(約8,000〜10,000個)

• 離乳食や日々の食事を通して新しい味に触れる機会が増えます。

• 味蕾の分布が舌に集中し始め、口腔内全体の味蕾数が減少します。

学童期(4〜10歳)
• 味蕾の数:さらに減少(約7,000〜8,000個)

• 味覚が発達し、苦味や酸味を徐々に受け入れられるようになる場合が多いです。

• 社会的・文化的な食習慣の影響も大きく、食べられる味の幅が広がります。

4. 思春期以降(11〜18歳)
• 味蕾の数:大人と同程度(約5,000〜8,000個)

• 味蕾の数が減少し、感覚が少し鈍くなることで苦味や酸味が気になりにくくなります。

• 味覚の成熟が進み、より複雑な味の組み合わせ(例:スパイスや発酵食品)を好むようになる傾向があります。

5. 成人期(19歳〜59歳)
味蕾の数:約5,000〜8,000個
子供の約50%〜80%(0.5〜0.8倍)


• 食経験や文化的な要因が味覚の好みに影響を与える段階です。

6. 高齢期(60歳〜)
• 味蕾の数:約3,000〜5,000個(子供の40%)

• 味蕾の減少や再生能力の低下により、味覚の感度が鈍り、味の濃い食品を好む傾向が強くなることがあります。

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