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小さな幸せ (詩、短歌、川柳、都々逸、折句、童話)
表紙画PhotoAC
詩 【四季に想う】
春は塗り絵のような野花と遊び
夏の木漏れ日に優しさを見て
秋の紅葉に心遊ばせ
霜の声に厳かな終始の季節の営み想う…
移り行く季節の中に幸せを感じながら
私も誰かに分ける幸せを想う…
自然の中の一部の私…
【小さな幸せ恋の短歌】
一首
「寝てるのか?」誘うあなたに知らん顔跳ねる鼓動でバレた寝たふり
二首
この想い気付いてほしくて伸ばしたのあなたの好きな長い黒髪
【家族愛の幸せ川柳】
母親のかいな安らぐ子の仕草
父親の涙を誘う高島田
【都々逸 垣間見る幸せ】
涙溢した哀しみあれど
溢す涙に幸もあり
君のえくぼに見とれて惚れて
掘れたえくぼに恋芽生え
【折句 愛】
し)しみじみ思う幸せは
あ)あなたの喜ぶ顔にあり
わ)私の幸せの源と
せ)切望するあなたの幸せ
童話
【葉っぱと木の実】
わき水でできた小さな池に 小さな葉っぱがおちました。
小さな池にうかんだ小さな葉っぱは 小さなお舟のようにゆれながら 小さな川のながれにのりました。
小さな葉っぱが 小さな川の ゆっくりしたながれにのりながら
いわにぶつかってとまってしまいました。
小さな葉っぱは 川のながれにのれず さみしそうにしていたら 葉っぱの上に小さな木の実が おちてきました。
「葉っぱくん ぼくが川のなかに おちないようにたすけてくれて ありがとう」
「ぼくは下にいただけだよ。 でも木の実くんが川におちなくて よかった」
ひとりでさみしかった葉っぱは ともだちができて おおよろこび。
「ねぇ、木の実くん。ぼく この大きな いわに ひっかかっちゃって さきにすすめないんだ」
葉っぱはざんねんそうに いいました。
「わかったよ、葉っぱくん。ぼくが川におちそうになったのを 葉っぱくんがたすけてくれたからね。こんどはぼくが葉っぱくんをたすけてあげるよ」
そう言った木の実は 葉っぱの上をころころ転がり 葉っぱをゆらゆらゆらしました。
すると、ゆれた葉っぱは ひっかかっていた いわからぬけだして 小川のながれに のりました。
そして葉っぱと木の実は おしゃべりをしながら 何日も川を下っていきました。
ながれのつよいところでは 葉っぱは木の実がおちないようにして
葉っぱがどこかにひっかかったら 木の実がころころ葉っぱの上をころがり 葉っぱをゆらして 川のながれにもどしていました。
やがて葉っぱは 大きないわにぶつかって いきおいあまって 川のよこの土に のり上げてしまったのです。
そのときも たいせつなともだちの 木の実が川におちないように 葉っぱは木の実をまもっていました。
「葉っぱくん、おちないようにしてくれてありがとう」
「いいんだよ 木の実くんがだいじょうぶなら それだけでぼくはうれしいよ」
木の実が葉っぱを見ると、葉っぱはボロボロになっていました。
「木の実くん ありがとう いままできみといっしょにいられて たのしかったよ」
葉っぱはそう言って そのあとは なにもしゃべらなくなってしまいました。
木の実は なにもいわなくなってしまった 葉っぱのそばで いつまでもいつまでも ないていました。
やがて木の実は そのばしょにねっこをはり 川のすぐよこで 小さなめを出しました。
そして木の実のめと ねっこは大きくなり やがて大きな木になりました。
はるがすぎて なつがすぎて あきがきて またふゆがすぎて あたたかい はるになりました。
大きな木には きれいなみどりいろの葉っぱが たくさんつきました。
そして あついなつがすぎて あきになり 木には小さな木の実がつきました。
「やぁ 木の実くん」
「やぁ 葉っぱくん」
葉っぱと木の実は また たのしく おしゃべりをするのでした。
川の上に はりだした 木の上で。
おしまい
著作 安桜芙美乃
このお話は、協調性と立場の違うもの同士の友情における信頼関係を表現しました。
その中で、再び再会できた小さな幸せを入れてみました(*^^*)
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
安桜芙美乃