問題解決から問題開発へ
戦略コンサルタントのアップルです。
戦略コンサルというと、「問題解決」というキーワードが想起されると思います。確かに戦コンは問題解決のプロフェッショナルです。プロジェクトでもクライアントの何かしらの問題に対して、解決策を提示していきます。
一方、これからの時代は、問題解決よりも問題開発の方がより重要になってくると感じています。問題開発というのは問題を定義することです。ビジネス環境が複雑化する中、一昔前に比べ、問題を定義することの難易度は高まっています。問題を定義することの難易度が高まっているからこそ、問題を定義することの重要性や価値が高まっていると言えます。
以降、
・コンサル
・事業会社
・受験勉強
の3つの観点で、問題開発の重要度が高まっていることを具体的にお話していきましょう。
コンサルにおける問題開発と問題解決
コンサルティングで言えば、問題開発はクライアントに対する提案活動に当たります。コンサルの提案というのは、「貴社はこれが課題ではないか?」「貴社はこの論点を考えるべきではないか?」と投げかけるところから始まります。クライアントと解くべき問題を握った上で、「じゃあ、その問題に答えを出すところを、プロジェクトでやっていきましょう」と提案し、プロジェクトが売れます。
そして、その問題開発を担うのは、パートナーなどのシニアです。最もコンサルティングスキルが高いパートナーが問題開発を担っているということは、問題開発が問題解決よりも(圧倒的に)難易度が高いことを意味しています。
このようにもともと難易度の高い問題開発が更に難易度が高くなってきているということは、問題開発を担う人の重要度や価値が一層高まることを示唆しています。
事業会社における問題開発と問題解決
事業会社においては、やや乱暴かもしれませんが、
・問題開発 ≒ 新規事業などの新たな取組
・問題解決 ≒ 既存事業の深化
と対応付けられると思います。
既存事業のマーケットが伸びているときは、既存事業の深化、すなわち問題解決でビジネスはうまく回りました。営業力を強化したり、オペレーションを改善したりといった営みです。問題開発をあえてしなくても、問題解決を愚直に行えばよかったのです。
しかし、現在は多くのマーケットが成熟しています。既存事業が頭打ちになりつつある会社が多く存在します。こうした局面では、問題解決をいくら頑張っても焼け石に水です。次なる成長のための問題を開発し、そこに着手していかなければなりません。
このように事業会社でも、経済の成熟を背景に、問題解決より問題開発の方が重要となりつつあります。
受験勉強における問題開発と問題解決
アップルのやや古い捉え方かもしれませんが、受験勉強の内容はほとんどが問題解決です。AO入試などでは問題開発力が問われることもあるでしょうが、それはごくごく一部で、ほとんどは「与えられた問題を解く」ことが求められるという意味で問題解決です。
みなさん受験勉強で数多くの問題を解いてきたと思いますが、問題を作成したことはあるでしょうか?ごくごく一部にはそういう方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの人は問題を作ったことはないと思います。問題開発を担うのは、河合塾などの予備校であったり、学校の先生だったりします。
例えば数学の問題一つとっても、問題を解くのと作るのとでは難易度が大きく異なることは、想像がつくでしょう。受験勉強においても問題開発は問題解決より難易度が高いのです。
では、今後の受験勉強でも学生が問題解決ばかりしていれば良いのかと言われれば、それは違うと思います。上記で書いたとおり、社会では、問題解決よりも問題開発の重要度が高まってきています。だとすれば、社会に出る前の段階で、問題開発のスキルや経験をある程度積んでおくべきと言えるでしょう。
例えば学校の授業の中で問題を作成させるのも良いかもしれません。あるいは身近な生活の中での問題や課題を発掘・発見させるようなことをさせても良いでしょう。
まとめ
以上をまとめると、次図のとおりです。
領域を問わず問題開発の重要度が高まっており、アップル自身もコンサルタントとしての問題開発力を一層高めていきたいと考えているところです。
みなさんにとっての問題開発と問題解決は何ですか?問題開発の重要度はどういう観点で高まっていますか?こんなことを少し考えてみると気づきがあるかもしれません。
今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!