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コンサルティングファーム各社のコロナレポートの紹介と考察①
戦略コンサルタントのアップルです。
アフターコロナに社会、経済、ビジネスはどう変わるかということを、アップルなりの見立てをもとにいくつかの記事にしてきました。
直近では、5月21日にアフターコロナで鉄道会社にどのような変革が求められるかを3つのポイントにまとめて書かせていただきました(こちらの記事)。この記事も多くのPVを集めており、コロナの収束が見えつつある中で世の中の関心はアフターコロナに向いているのだなと実感しています。
ということで、今回もアフターコロナをテーマに記事を書きます。これまでと少し切り口を変えて、アップルの知見に基づく論考ではなく、コンサルファーム各社が出しているコロナレポートをいくつかご紹介します。
アップルの所属するファームでもアフターコロナに関する調査分析を進めています。また、クライアントとの間でも、アフターコロナの変化にどう対応するか、生まれてくる新たなビジネスチャンスをどうものにするかということをディスカッションし始めています。
コンサル各社ともかなりのリソースを投下して調査分析をしレポートにまとめて公表しているので、それを読んで自分なりに咀嚼することは頭の整理の近道です(下手な本より整理されています)。そういう観点で、いくつかのレポートをアップルの感想や考察も添えながらご紹介していきます。
今回紹介するのは3社です。
・マッキンゼー
・ローランドベルガー
・ドリームインキュベータ
どのレポートも各社の色が良く出ていて、そういう意味でも面白いです。
ぜひご覧ください!
マッキンゼー
業界でいち早く4月13日に日本語版のコロナレポートを公表しています。90枚にもわたる大作です。
ちなみに、マッキンゼーは、トップファームだけあって、McKinsey Global Institute.という研究機関(シンクタンク機能)を持っています。ここが経済、産業、ビジネスなどの様々な観点で定常的に調査分析を行い、そこで得られたインサイトをレポートで公表しています。こういう強力なシンクタンク機能を持っているところがさすがマッキンゼーです。
今回のコロナレポートをいち早く、かつふんだんなコンテンツで公表できたのも、おそらくこういう強みがあるからだと推察します。
レポートの内容は多岐にわたります。マクロ経済のシナリオを、感染がどれくらい拡大するかや感染に対してどれだけ効果的な対策が打てるかによって複数設定しています。
また、リーダーは5つのR(Resolve、Resilience、Return、Reimagination、Reform)に沿って行動すべきということを提言しています。企業経営者や政治リーダーにとっては参考になる分類だと思います。
また、企業経営の関連では、不確実性のある中で適切な意思決定・アクションをとっていくために情報中枢機能(Nerve Center)を構築し、この機能を中核としてシナリオプランニングや戦略的アクションを策定していくべきということを説いています。また、最後の方で、コロナによるセクター別のマイナスインパクトを定量的に評価しています。
【アップルの感想】
網羅的な内容なので、メッセージ性はあまりないです。もれなくダブりなく(MECE)に整理するDNAが強いいかにもマッキンゼーらしいレポートという印象です。レポート内容がマクロ寄りなのも特徴です。
ローランドベルガー
ローランドベルガーは消費財セクターに強いファームです。5月12日に発表されたレポートも、消費者や生活者の目線でどう変わるかということが分かりやすくまとめられており、ローランドベルガーの色がしっかりと出た良いレポートです。
個々のスライドもわかりやすく構造化されており、作成陣の気合を感じます(最後のページの執筆メンバーをみる限り、7名のリソースを投下して作成されているようです)。
エグゼクティブサマリーが冒頭3枚にまとめられているのでここを読むだけで概観はつかめます。特に、生活者の価値観の変化を6つにまとめている(イエナカ充実志向、家族志向、安全・安定志向、など)ところは参考になります。生活者の6つの価値観の変化の結果、消費行動や働き方がどう変わるかということを論じています。
【アップルの感想】
とてもきれいに構造化されており、生活者がどのように変化するかを概観したい方には超お勧めです。BtoCのビジネスに従事されている方はぜひ読んでみるとよいと思います。自社にとっての機会と脅威を両面で考える格好の材料になりそうです。
ただ、生活者目線で書かれているため、「想定外」のことは書かれていません。自分の消費行動や働き方の変化でわかってはいることだけど、、ということが整理されて書かれている印象です。また、BtoBビジネスがどう変わるかは書かれていないため、その点については別のレポートで補う必要があります。
ドリームインキュベータ
ドリームインキュベータは、外資が強い戦略コンサルティング業界において数少ない日系のファームです。戦略コンサルティング以外にもベンチャー投資や事業を手掛けているという意味で、純粋な戦略コンサルティングファームではありません。5月20日レポートを発表していますが、ドリームインキュベータらしく、成長や事業創造にフォーカスしている点が特徴です。
冒頭でマクロの構造変化が1枚で整理されていますが、アフターコロナでは「オンライン&リアル×分散・分解×自動化」の世界になると主張しています。リアル×集中というこれまでの社会や産業の前提条件が大きく変わるということです。
以降は、業界別にどういう新たな価値が生まれるか、経営や組織機能(研究開発、人事、営業など)はどう変わるか、ということが端的にまとめられています。最後に社長のメッセージが掲載されているのも特徴です。
【アップルの感想】
マッキンゼーがマクロの視点、ローランドベルガーが生活者というミクロの視点でレポートをまとめているのに対し、ドリームインキュベータはその中間の「産業/業界」というレイヤーでまとめているのが印象的です。
自分が所属する産業や業界はどうなるんだ?ということを考えたい人にはうってつけのレポートだと思います。
ファームの色が出ている点も面白い
以上、3つの戦略ファームのレポートを紹介しました。
実際にレポートをご覧いただいて見比べるとよくわかりますが、ファームによって全然色が違います。レポートの視点・観点も違えば、主張するメッセージの強弱も大きく違います。
コンサル業界志望者にとっては、各ファームの「文化」や「色」の違いを推察する上でも面白いと思いますので、ぜひここで紹介しなかったファームのレポートも目を通してもらうとよいのではないかと思います。
第二弾(BCG、デロイト、経営共創基盤)も書きましたので、続編としてこちらの記事もご覧ください!(計6社のレポートのポジショニングマップも作ってみました)
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