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【読書感想文】恋できみが死なない理由


本屋さんでふらふら見て回って気になったものをいくつか買うのが好きだ。
だから、作者さんで選ぶことなんてほとんどない。
だけど私はこの本と出会い、この言葉に出会って、最果タヒさんが書く言葉の羅列がとても好きになった。

出来ればこの本を汚くしてやりたい。
読んで読んで読んで。
たくさん書き込んで。
折り込んで。
昔使っていた英単語帳みたいにしたい。
それくらいに離したくない本だ。

まだまだ読んでいない本があるのにまたこの本を読みたい。
そして私の言葉で書きたくなった。
とても不思議な力がある。


「一生じゃない好き。」
この本の1ページ目の言葉たち。
どうしてこんなにも的確に、私の思っていることを否定せずに包み込んでくれるのだろうか。
解決するのではなく、「うんうん、そうだよね」って許してくれるような文章。

たくさん考える。
一生ってなんだろう。
この不安は悪なのだろうか。
たどり着く答えと、感情、行動は何故か伴わなかったりする。難しいね。

「わかってほしい」愛
3つ目の文章。
私はとても反省した。

思いやりや親切は、相手の気持ちを考えることから始まるし、優しい人ほどそれを大切にしているけれど、でも、考えても考えても的外れになることが、あるってことを彼らはきっと誰よりも知らない。
わかってくれなくていい、というか、わかるわけがない。
わかるわけがないということが、別に遠ざかることでは無いということ、知って欲しかった。
それこそ、わかってほしかった。

最果タヒ「恋きみが死なない理由」

ごめんなさい。
同じようなことを散々旦那に言われてきました。
私は自分のことを優しい人だとは思っていないけれど、この文章の中に登場する優しい人はきっと私みたいな人だ。
分かりたい、君のことが好きだから分かりたいんだよ。
君のことを考えてるんだよ。
それは本当に私のエゴであって、受け取る側はこんなにウザったくて苦しんでしまうんだ。
全て分かりたかったのに、本当に分からないとダメだったことが分からなかった。
ごめんね。

「マイ・スイート・派手」
16こ目の文章。
自分の感情の起伏がはげしいことを「心が派手」と書いてある。
なんて素敵に自分を受け入れてあげているんだろう。
私の感情によって彩られる人生。
たしかにそうだ。
ただそれで迷惑な人も私には居るけど笑
ただ私も心が派手なだけだと言い張りたい。

「傷口」
20こ目の文章。

苦しくなることはなんの利益ももたらさない、その想像は誰かを救うわけでもない、しかし自分を救うために自分の想像を止めることができない、生きることが楽しくて幸せなことだけのわけがなく、それは開いた傷口みたいなまので、感情はそこから流れる血でしかない、だから苦しくなることや痛ましく思うことが、当然のように続いていく。

自分を救うために自分の想像を止めることができない。
この文章に私は包み込んでもらった。
ああ、ダメだ、ダメだ、助けてくれ。
自分のマイナスな想像が自分を苦しめるのに、その想像があるから本当に起きた時に身構えられる。
少しだけ自分を救っている。
いや、守っている。
自分の力ではどうしようもないことが、この世の中には多すぎる。
私は他人を洗脳させることは出来ないし、私は他人の人生にそこまで関与できる力はない。
きっとそれは夫婦だったとしても、力は無い。
それに悲しみを覚える自分を受け入れたい。
ちゃんと悲しめる自分を。

「主人公になれない人生」
39こ目の文章。

どんなに日常の理不尽さに苦しんでも、私は、結局、日常の中での幸福を願っていて、あがいているだけなんだろうか。

それでもなんだかんだ、現実の、今の自分の憂鬱を、投げ捨てたい訳でもないと、分かってしまうから。現実を恨んだふりをして、それでも何かを諦めきれない。

このふたつの文章に私の夫婦生活。
これまでの同棲生活を重ねた。
きっとこれが私らの真理なんだろう。
ずっと抗い続けている。
諦めきれないから。
エゴだね。

「感傷が嫌」
45個目の文章。

感情に振り回されている側だ、わたしは。
わたしは疲れているし疲れているのにより疲れるような気持ちになる。

こっちは、破裂する風船みたいなものを持っている心地です。

私は本当に感情に飲み込まれる。
歳を取ればとるほど。
経験を重ねれば重ねるほど。
ネガティブに飲み込まれ、破裂する。
ずっとずっと被害者みたいに。
だけど本当の被害者はそれをぶちまけられる方。
なのに私はそれを許せと言う。
本当に傲慢であるが、きっと私は孤独なんだと思う。



この人は「わからない」「わかりあえない」ことへの希望とか執着とかがあって、その中で紡ぐ誰にも分かられなくていい言葉(=詩)が出来上がっているんだなぁと思う。
それが私が彼女に惹かれる原因なんではないかな。

あとがきを読むと苦しくなる。
太宰治は「本を読まないということは、その人が孤独 でないといふ証拠である」と残した。
私もこの人も孤独なのは間違いないのだろう。
ただそれも肯定したいのだ。間違ってなんかないんだから。

抱きしめて、抱きしめられて生きていたい。
愛はずるいし、卑怯なものだからこそ、愛を求めたい。
孤独を埋めるのはきっと愛では無いのかもしれないけれど、こんな世の中だからこそ私は、人と向き合ってみたい。
自分が紡ぐ言葉を大切にしたい。

とてもとても素敵なエッセイでした。


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