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#読書感想:この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
こんにちは。Apisです。本日は著:夕雪*さんの「この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。」を拝読させていただいたので、勝手ながら感想をnoteにしたためたいと思います。
・本書について
ケータイ小説文庫:ブルーレーベル/スターツ出版株式会社から出版されている、小説投稿サイト「野いちご」に投稿されていた物語です。
ジャンルは恋愛のなかでも悲恋。本書は横書きなので、習慣的に読書をしない人も比較的読みやすいのではないでしょうか。十代女子が主なターゲットになると思います。ですが、安心して下さい。アラサーの男でもしっかりと楽しめました。野いちご内でも読めますが、個人的には紙で読んだ方が読みやすいです。
あらすじ
高校に入学した緋沙は、ある指輪をきっかけに生徒会長の優也先輩と仲よくなり、優しい先輩に恋をする。少しずつ距離が近づき、文化祭で緋沙は先輩にキスをされるけど、その日を境に先輩は学校を休むようになってしまう。そして、先輩が記憶を失っていく病気であると知り…。切なすぎる運命に翻弄されながらも懸命に生きる主人公を描いた、感動のラブストーリー!
引用:野いちご(https://www.no-ichigo.jp/bookstore/bluelabel/201710)
※感想を書いていくなかで、物語の内容に触れる部分があります。
ネタバレを絶対に避けたいという方は、ご注意下さい。
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・本書についての感想
あらすじでだいたいの内容は掴めると思います。そのなかで、私が感じたことを書いていきます。
悲恋の話ではあるが、王道の胸キュンが詰まってる!
どうしても悲恋系のものは登場人物が亡くなったり、その辛い境遇の過程に比重が重くなりがちですが、「この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。」は違いました。
みんなが憧れる生徒会長と主人公の秘密。自分のクラスまで生徒会長が呼びに来て、クラスメイトに羨望の目で見られる……なんて、誰もが妄想してときめくような場面がたくさん散りばめられています。
そして一番の胸きゅんポイントはやっぱり……文化祭です。いつもとは違うイベントのなかで、主人公は本当にシンデレラのように変身します。これも、女子のあこがれがびっちり詰まってるし、ポイントを掴んでいて良い作品だと思いました。そして胸キュンポイントだけじゃなく、「きゃー!」と赤面してしまうような展開も。
とにかく甘酸っぱいのよ。青春をずいぶん前に通り過ぎてしまった方も、思いを馳せることができると思います。
このように、本書は胸キュンの部分をおろそかにせずしっかりと書き込んでいます。そのことが後半になるにつれ、切なさ、悲しさを増大させる役割を担っているのです。
若年性アルツハイマーについて
しっかりと病気について調べて書いたのがよくわかりました。なぜよくわかるのかというと、私自身が介護福祉士であり、実務者研修の講師であり、若年性アルツハイマーの方のケアを担当していたこともあるからです。
ケータイ小説ではつい、病気のことについては曖昧に書きがちなイメージがあります。例えば「謎の病気で死ぬ」「急で謎の記憶喪失」などですね。
そこを曖昧にせず、若年性アルツハイマーという病気を選択した著者はすごいと思います。十代で発症することは本当に稀のなかの稀なので、その部分を書くことは大変努力が必要だったと思いますし。
ただ、病気をはっきりと書くことで「奇跡が起こってハッピーエンドになる」選択が無くなるという側面があるということに、今回この本を読んだことで実感しました。
おそらく、読者は読み進むにつれ奇跡を願うはずです。ふたりに幸せになってほしいと願うゆえに。しかし、現実は甘くはない。そのなかでも「そっか。これでいいんだ」というラストにしてくれていると私は思いました。
「大切な人を想える幸せ」というものもあると思います。
作者からのメッセージ
本書には作品を通して、作者が伝えたいことがしっかりと書かれていると思います。病気を通して、猫を通して、命について説いてくれているのです。そのことがよく伝わりました。恋愛のジャンルのなかで、作者の伝えたい想いがこれだけ乗せられている作品だからこそ、小説投稿サイトから書籍化できたのだと感じました。良い作品でしたし、私は好きでした。
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他には、イチョウの木を使って物語のなかの季節を上手に表現していたのも印象的でした。木を中心に舞台の姿が良く観えてきます。
あと、個人的には、田辺さんの気持ちを考えるとそれも切なくなります。田辺さんのサイドストーリー作れるんじゃないの?ってくらい彼女にも色々な辛さやそれを乗り越えた場面があったように思うのです。
なので、私のこの作品の「推し」を決めるとしたら田辺さんですねw
以上、長くなりましたが「この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。」を読んだ私の感想となります。
本書をこれから読みたいと思う方や、読んだ方と共有できたらいいなと思って書かせていただきました。
また、今更ではありますが作者の夕雪*さんとは創作を続けるなかで繋がっていただき、とても良くしていただいております。作品と同じく、夕雪*さんはとても素晴らしい人柄です。作品を読むなかで、よりそう思えました。今後ともよろしくお願いします。素晴らしい作品をありがとうございました。
ちなみにこの作品を読んでいる時に、うちの猫は私の膝に乗って寝ていました。めちゃくちゃ贅沢な時間でした。
それでは、今回はこれにて。読んでいただきありがとうございました!
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