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特別なことはしないけど、毎日をたのしむ。/おいしい食べ物が出てくる本
GWが始まりました。いつもより豪華に、あるいは、いつもより遠くへ。堂々と(?)休むことが許されているような、特別感が漂っています。
4月のカオスな毎日を駆け抜けて来たんだもの。GWで心を癒したい...!という願いを叶えるべく、今年の連休はいつもの休日とあまり変わらない日々を過ごしました。何回も訪れているお気に入りのお店で過ごした日々のきろくです。
DAY1 cafecottonでランチ
岐阜県瑞穂市にあるちいさなカフェ「cafecotton」。月ごとで変わるランチは、旬の野菜をたくさん使った体に優しいメニューがいただけます。
Instagramのストーリー投稿で席が空いていると知り、当日に予約。半個室のようなテーブル席が空いていました。
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・鯵の梅照り焼き
・わけぎと油揚げの酢味噌和え
・人参とセロリの塩麹バターきんぴら
・新ごぼうと筍と蒟蒻のおかか煮
・岐阜産にじのきらめきごはん
・新玉ねぎのすりながし
「新」がつく野菜が多くて、春らしさ満点。こんな素材の組み合わせがあるんだ、といつも発見があります。苦手意識があったセロリもおいしく感じる不思議…。
メインのアジもとってもおいしい。どうやったらこんなにふっくらと焼けるんだろう。きゅんと酸っぱい梅照り焼きは、ご飯との相性もぴったりでした。
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デザートも外せません。ざらっとした粒感も感じる、濃厚な苺のババロア。いつもは選ばないメニューにあえて挑戦できるのも、お気に入りのカフェだからこそ。
読んだ本/「桜の木が見守るキャフェ」標野凪
祖母・母から受け継いできた洋館で、季節の和菓子とお茶のキャフェを切り盛りしている主人公・緋桜(ひお)の物語。
自身も「お茶とお酒 茜夜」というお店をされている標野さんだからこそ、リアルなお店の情景や料理の描写が素敵です。
物語は、樹齢百年のヤマザクラの目線で綴られています。人生は良いこともあれば、上手くいかないこともある。そっと見守るヤマザクラのあたたかさに癒されます。
たくさん花の名前や季語が登場する本作には、心に留めておきたい言葉がたくさんありました。また違う季節に読み返したい物語です。
桜の花が美しいのは、満開の状態で散るからだ。枯れてから散るのではなく、美しいまま散る。年老いてボロボロになってから終わりを迎えるよりも、まだ花を咲かせる力があるうちに生涯を終えるのもまた、美しさ。それが意に反していたとしても。
DAY2 仕事終わりにブックカフェへ
仕事の日。ちょっと早起きしていつもの10倍くらい丁寧に朝ごはんを作りました。
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仕事終わりに「ヨジハン文庫」へ寄り道。
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静かな時間を過ごしたい、おひとり様のためのブックカフェです。訪れたのは夕食後の夜7時半すぎでしたが、店内は8割ほど埋まっていました。
家では何かと気が散ってしまいがちなので、周りの目があるだけで本の世界に集中できます。
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読んだ本/「ランチ酒」原田ひ香
主人公・犬守祥子の職業は「見守り屋」。夜から朝まで、とにかく頼まれたものを寝ずの番で朝まで見守る、という一風変わった仕事をしています。
祥子にとって、夜勤明けの「ランチ酒」が唯一の贅沢。東京で、時には出張先で、絶品ランチとお酒を楽しむ、おいしい物語です。
食欲をそそられる装丁に惹かれて購入。「孤独のグルメ」が好きな人にはきっと刺さるはず…!小説もドラマさながら、オムニバス形式で次々においしそうなメニューが登場します。
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ヨジハン文庫の近くにあるのが岐阜市中央図書館のある「メディアコスモス」。夜の図書館の雰囲気もいいですね。
DAY3 新緑の中で、とびきりおいしいブランチ
朝の8時からクオリティの高いコーヒーとパンが並ぶベーカリー兼コーヒーショップ。そしてフラッと寄れる気軽さも兼ね備えた、大好きなお店です。
もうひとつ、コミュニケーション能力の低いわたしがスタッフのお姉さんと世間話ができる、唯一のお店でもあります。
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こちらのクロワッサン オ シトロンを食べて、おいしすぎて笑ってしまう経験をしました。スコーンも、カルダモンロールもどれもお気に入り。
この日もメディアコスモスへ。ドリンクをタンブラーに入れてもらえば、保温・保冷しながら持ち運びができ、割引もあるので一石二鳥です。
夜は気付きませんでしたが、図書館横の「ナンジャモンジャ」が満開。
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公園の生け垣や道路脇など、至るところでツツジを見かけました。目が覚めるようなビビットな色が、初夏の花らしいですね。
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DAY4 スタバでおいしいエッセイを読む
おやつの時間、スタバで本を飲むことに。
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スタッフさんから「抹茶のスコーンは、今日のコーヒー豆(スマトラ)と相性ぴったりですよ!」と教えてもらいました。
読んだ本/「桃を煮るひと」くどうれいん
SNSで何度も見かけたくどうさんのエッセイ。フードエッセイスト・平野紗季子さんと交流があることを知って、きっとグルメな方なんだろうなと思っていました。94年生まれで同い年とは。希望の星です!
このあと、たらふくご馳走を食べたばかりだというのに、一刻も早くれいん飛脚便の瓶ウニが食べたい一心で米を炊き牛乳瓶からウニをゴポゴポかき出して、キッチンに突っ立ったままウニ丼をかっ食らいました深夜。めっちゃおいしかった。黄金の思い出ありがとう〜。 https://t.co/YZk6siRpM4
— Sakiko Hirano (@sakichoon) April 23, 2024
「迷ったら炒飯」の冒頭にいきなりグッと心が掴まれました。くどうさん本人曰く「美食家ではない」そうですが、食に対する並々ならぬ熱意をひしひしと感じます。
料理屋に行くと、ぶ厚い紅色のメニューを開いた途端我を失ってしまう。どのメニューもどうしたって魅力的で何を決め手に選んだらよいのかまったくわからなくなってしまうのだ。きょうは餃子が食べたいといくら意気込んでいても、麻婆麺、鶏の甘酢炒め、かた焼きそば、回鍋肉、パーコー麺、天津飯、とメニューを捲るうちにその決意はあっという間に吹き飛ぶ。どれもおいしそう。
軽やかだけど、ちょっと毒があるような。れいんさんにしか書けない文章が綴られておもしろかったです。
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エッセイや物語の中に、つい最近考えていたことが言語化されていると、なんだか嬉しくなります。
わたしの好きなものはこれ、と自信を持って言えるのかな?と、ごくたまにモヤモヤすることがあります。だけど、無理やり周りに合わせて、わたしの個性が消えてしまうのはさびしい。
特別さはなくても、日常の中で「なんかいいなあ」と思える時間を過ごすこと。自分のペースで、好きなことを貫き通していきたいと思えた休日でした。