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光源氏のニ面性

『源氏物語 37 横笛 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)

全54帖の第37帖「横笛」。時が過ぎても柏木の死を悲しむ人が多かった。夕霧は柏木が今際に遺した言葉を確かめたいが機会がない。夕霧は落葉の宮を見舞って想夫恋を合奏し、笛を貰って帰った。その晩柏木が夢枕に立ち、笛を伝えたい人は他にいるのだと告げる。夕霧は夢の話を源氏に仄めかすが、真実は聞き出せなかった。平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編古典小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。

Amazon紹介文

それでも孫が可愛い好々爺の一面と自分の過ちを認めない頑固オヤジの一面が見られる光源氏であった。

朱雀院は出家したのに光源氏と関われるのなら女三宮の側にいれば良かったのに。まあ出家したから健康的になったのかもしれないが(贅沢をしないで山のもの食べていた)。女二宮と女三宮が両方とも不幸になるとは、女一宮は幸せなんだろうか?でも三姉妹だったらなんとか助け合ってやっていけるだろうにと思うのが現代の思考なのだろうな。

夕霧が落葉の君の前で弾いた「想夫恋」とはどんな曲なのだろうか?

(夕霧)
ことに出て言はぬも言ふにまさるとは人に恥ぢたるけしきをぞ見る
(落葉の宮)
深き夜のあはればかりは聞きわけどことよりほかにえやは言ひける

岩崎宏美「思秋期」はどうだろう?

そして見舞いの返礼として、柏木の形見の笛を夕霧に渡すのであった。

(落葉の宮)
露しげきむぐらの宿にいにしへの秋にかはらぬ虫の声かな
(夕霧)
横笛の調べはことにかはらぬをむなしくなりし音(ね)こそ尽きせぬ

そして二人が出来ているという噂が女房の間でなされ雲居雁まで届くことになる。

そして夕霧の夢に柏木が現れたのは形見の笛を薫に渡すためだった。やっぱ笛も物の怪扱いされるのか?


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