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シェイクスピア『ヘンリー六世』を読む

『ヘンリー六世 第一部』

敵国からみたジャンヌ・ダルクは淫売な魔女だった。イギリスもオルレアンの戦いで負けたのはイギリス内部での仲間割れがあったから。王の力が絶対的ではなく各派閥に対立がある。その中でフランスの武将は寝返る(ジャンヌの誘惑)。負けも当然の結果。その中でタルボット親子の負け戦は『平家物語』のようで盛り上がたが他の戦いはいまいち盛り上がらない(負け戦だからか)。ジャンヌ処刑のあと、最後はフランスとの和解で王妃マーガレットがヘンリー王と政略(策略)結婚で終わる。ジャンヌのお転婆ぶりとマーガレットの従順さが対比されている。(2020/12/18)

参考映画:『ジャンヌ・ダルク』予告編

参考本:ミュシュレ『ジャンヌ・ダルク』

『ヘンリー六世 第二部』

存在感がないというか影が薄い「ヘンリー六世」王は「決められない」王だった。そもそも王権が世襲制だから王に成ったものの側近が親戚の叔父さん連中だから上手く対処できないのだった。そこにフランスから嫁に来たマーガレット。長男が誕生して権力に目覚める。子供を産むと「母は強し」になるんだな。従順だったマーガレットが王の主導権を握るようになるけどやっぱり親戚連中は侮れない。マーガレットの変化が読みどころ(演劇なら見どころか?)。マクベス夫人の前段階。マーガレットを演られれば女優賞も間違いない。(2020/12/19)

参考本:シェイクスピア『マクベス』

『ヘンリー六世 第三部』

結局、ヘンリー六世は王の器ではなかった。バラ戦争がモチーフなんだけど、むしろマーガレット王妃VS.悪の三兄弟という感じ。そして三兄弟の中でもリチャードがどんどんダークになっていく。黒バラというダースベーダー。

王妃「暴君というものは、外に強大な同盟国をもたぬかぎり、どうして内を無事に治めることができましょう?あの男が暴君である証拠は、ヘンリーがまだ生きているというだけで十分なはず、たとえ死んだとしても、ここにヘンリーの世継ぎ、王子エドワードがいるのです。」「おまえもおまえの子供たちも、この王子と同じ目に会うがいい!」
リチャード「だから、天がおれの肉体をこうねじ曲げて作った以上、今度は地獄がおれの心をそれに合うようにすればいい。おれには兄弟はいない、おれはどの兄弟にも似ていない、年寄りどもが神聖視する「愛」などということばは、似たもの同士の人間のあいだに住みつくがいい、おれのなかにおいてやらぬ、おれは一人ぼっちの身だ。

(2020/12/19)

参考本:シェイクスピア『リチャード三世』




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