ボードレールをポスト・コロニアルで読む
『鏡のなかのボードレール 』くぼたのぞみ(境界の文学)
ボードレールの愛人、ジャンヌ・デュヴァルは『悪の華』でも描かれておりボードレールのミューズ(詩神)として知られる娼婦である。彼女がカリブ海出身の奴隷(モーリシャスや南アフリカという説もある)。彼女が故郷喪失者であることが、ボードレールとの共通性を語っている。ボードレールの詩は『悪の華』のジャンヌ・デュヴァル詩篇。
19c のフランスによる植民化というジャンヌ・デュヴァルの出自。そんな彼女をミューズ(女神)としたボードレールを読んでいくポスト・コロニアルの試み。クッツェーの翻訳者だけにクッツェーがボードレールや19cの浪漫派詩人が影響(ワーズワースやバイロンのロマン派詩人)を受けたことへの作品の影響や、アンジェラ・カーター『ブラック・ヴィーナス』によるジャンヌの瞳に映る鏡としてのボードレールを読む試み。最後に『ブラック・ヴィーナス』の翻訳付き。
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