詩人や批評家としてアラン・ポー
『アッシャー家の崩壊/黄金虫』(小川高義 訳)
新訳だからと言って読みやすいわけではなかった。ポーの短編は分析的描写が繊細すぎるのでイメージするのがけっこう大変なのだ。ただこの選集には詩も掲載されているのがポイント。
「大鴉」と「アナベル・リー」はポーの短編小説を理解するにも重要な作品だと思う。初恋の相手の死とアル中(麻薬)がポーの精神を蝕ばんでいく。
『アッシャー家の崩壊』よりも『ライジーア』の重要性を翻訳者は指摘する。どちらも詩の引用があり、ポーを語る上で詩は避けられないという。ポーの批評も載せたかったという訳者のあとがきは興味深い(ホーソンの批評について載っている。)。この本ではゴシック作家のポーだけではなく、批評家や詩人としてのポーの姿を伝えている。
『アッシャー家の崩壊』から『アナベル・リー』『ライージア』『大鴉』の繋がりにポーの精神世界を伝えているように思える。
「アナベル・リー」はジョーン・バエズの歌があることを知ったのだが、こっちの方が良かった。たぶんケルト的な感じかな?