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五行詩は短詩だけど俳句や短歌に比べて規則もないのでもっとも作りやすい詩かもしれない。目指せ五行詩の芭蕉? 五行詩だけでなく他の多行詩も加えました。
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#現代詩手帖

シン・現代詩レッスン133

シン・現代詩レッスン133

多和田葉子「階段状の冬」

今日の例題がなかなか決まらないのは言葉を読むのも嫌になってしまって、理由はわからないんだけど、読書しても言葉が上の空で入ってこない。そんなときに多和田葉子の詩を見て、文字の形から、こういうのはシンメトリー(カリグラム)というのだっけ。シュルレアリスムでも使われた方法で、カリグラムという方法は言葉の意味よりも視覚としてのイメージを形作っていく。

この詩が意味よりも目に飛

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消尽つくした詩

消尽つくした詩

『現代詩手帖2024年2月号』

宇野邦一 『光のまちがい、時間のめまい(下)』が掲載されていたので借りた。(上)は『現代詩手帖2024年1月号』に掲載されていたので、その続きが気になった。

この号には、伊藤比呂美『根』も掲載されていた。『現代詩手帖2024年1月号』には出てないので何かトラブったのかと思ったがそうではなかったのか?『現代詩手帖2025年1月号』も掲載されてないな。なにか事情があ

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最近の現代詩を読む

最近の現代詩を読む

『現代詩手帖2024年11月号』

新鋭詩集2024【作品特集】はあまり惹かれる詩はなかった。現代詩という中で近代詩からの影響を感じる詩はあるのだが、それが新しいかというとそうでもない。【特集】同じ屋根の下で――台湾同志詩の現在は、同性愛という創作の中で異性愛者が創作する文学が「当事者性」ということで問題化されたという。ステレオタイプ的な見方になるのでは?と。ただ台湾の文学賞でその作品が出版されな

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シン・現代詩レッスン113

シン・現代詩レッスン113

鯨向海 旅先の出逢い――ボルネオ島の記憶

『現代詩手帖2024年11月号』特集「同じ屋根の下で――台湾同志詩の現在」から「鯨向海 旅先の出逢い――ボルネオ島の記憶」。

鯨向海はかつて日本軍に占領されたボルネオ島が今ではリゾート地になり、そこのホテルは同性愛者のたまり場となっているという。その部屋の整えられたベッドでは同性愛者の行為が行われており、それはかつての日本軍が従軍慰安婦を求めたように各

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シン・現代詩レッスン112

シン・現代詩レッスン112

鄭聿 1980/1208

『現代詩手帖2024年11月号』特集「同じ屋根の下で――台湾同志詩の現在」から「鄭聿 1980/1208」。

台湾の文学界で、同性愛という創作の中で異性愛者が創作する文学が「当事者性」ということで問題化されたという。文学賞を取りながらそうした批評があり出版されなかったという。ステレオタイプ的な見方になるのでは?と。

売れ線を狙った部分はあるのかもしれない。ただ台湾の

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シン・現代詩レッスン110

シン・現代詩レッスン110

花水『夜景樹』

『現代詩手帖2024年11月号』特集「新鋭詩集2024 作品特集」から。
最初読んだときは世代間ギャップなのかと思ったが、「現代詩」というものにも疎かった。最果タヒ『夜空は最高密度の青色だ』が導入というとだけで彼女の詩を読んでみる。

タイトルの「夜景樹」というのはガス灯のことだ。小樽の情景を描いた抒情詩だろうか?小樽といえば左川ちかがいた。なんとなく影響を受けているような。そう

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シン・現代詩レッスン109

シン・現代詩レッスン109

最果タヒ『夜空は最高密度の青色だ』

『現代詩手帖2024年11月号』鵜飼耳「呼びかける詩の展開」から。
最果タヒを最初に知った詩集である。それまでそれほど詩には興味がなかったが話題だから買った。何が良かったのだろうか?積読になっていて感想を書いてなかった。多分少しは読んだのだが感想は書けなかったのかもしれない。あまりにも言葉(語彙)の違いについて。タイトルだけでも「最高密度の青色だ」である。夜空

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シン・現代詩レッスン108

シン・現代詩レッスン108

最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』

『現代詩手帖2024年11月号』鵜飼耳「呼びかける詩の展開」で最果タヒの人称についての考察が面白い。最初現代詩を書いていたのだが(『現代詩手帖』に投稿していた。ブログから始めたという。)そのときは一人称の「私」を中心に書いていたという。ブログによくわからないことを書いていたので、それが現代詩のように思われたらしい。やっぱ現代詩はよくわからないものでいいんだ。

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富岡多恵子の詩

富岡多恵子の詩

『現代詩手帖2023年9月号』

現代詩について本を図書館で物色していたがこれと言った本がないのでを『現代詩手帖』を読んでみようと思った。生憎、今年の『現代詩手帖』は借りられていたので去年の『現代詩手帖』から読んでみよと思った。特集で富岡多恵子だったのが良かった。詩人としての富岡多恵子よりも作家としての富岡多恵子に興味があった。最初に読んだのが『表現の風景』で驚愕したのは身体障害者用のダッチワイフ

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