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読書録📚複雑化の教育論

はるラジオに引用されていた書籍で、
成熟するとは複雑化すること
という話が沁みたので気になり読んでみました。

はるラジオでは、息子さんが以前好きだったトウモロコシを食べなくなってしまったエピソードから複雑化を説明しているのですが、この話がまた絶妙なので気になる方は聞いてみてください🌽

本書の著者は、物書き、教師、武道家、思想家であり、「話を複雑にする方がよい」と主張しているだけあって、次々と話題が変わっていって、なんの話をしていたんだか読みながら分からなくなってきます。
けど、全部読んでじわじわ沁みます。武道家ゆえの思想も入っているのかな?節々に書かれている在り方の描写がとても良い。
ここが好き↓

外側にいる他人の言葉を拒否する時に、人間はモノリスになります。均質的で、金属的な塊のようなものになって、他人の声を跳ね返そうとする。
でも、自分の身体の内側を覗き込んで、そこでざわめくものを聴き取ろうとしたら、モノリスではいられない。
もっと柔らかくて、多孔質で、自他の境界線の曖昧なものにならないと、自分の内側を観察することはできませんから。

機嫌のいい人は、内外の境界がぼんやりしていて、至る所に穴が開いていて、至る所に取り付く島があるということらしいのですが、自分はこんな人になれてるだろうかと我が身を振り返りました。
保育園の送り迎えのとき、他のお母さんと刹那的な雑談をするのが面倒で、話しかけないでオーラ出しちゃってるし、忙しいときも殺伐としたオーラ出しちゃってる…全然取り付く島なさそう🤨

本書の言葉を借りて、脳の摂取カロリーを減らした無念の状態でありたいなと思いました。霞にまぎれるような人に…多分とても楽な状態なんだろうな。そんな人になるのにあと50年くらいかかりそう←

そして一番気になった話

学校のブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)が生まれる理由について。

本書のタイトル「複雑化」ではなく、「単純化」することによりブルシットジョブが生まれるという説明がとても腑に落ちました。

複雑化しすぎて無駄が生まれるんでしょ。
とこれまで思っていたので、真反対の主張にどう話が展開していくのかドキドキしましたが、読んでみたら腹落ちしました。

簡単にまとめてはいけないのかもしれませんが要は、

  1. 無駄をなくそう=単純化しようとするとトップダウン方式になる

  2. トップダウン方式ではそのシステムが上意下達的にスムーズに機能する必要があるため、そこにブルシットジョブが生まれる

とざっくり理解しました。
上への説明資料とかまさにそうですよね。
顧客の方向を向かない仕事。効率主義の世界では、自律的に動くアクターはバグ認定されるそうです(ひどい😓)

けどそんなに物事は単純ではなく…

  • 部下に無意識に無駄な仕事をさせる権力者の心理

  • 農耕社会になった1万年前からブルシットジョブは増えるようにできている

一部腑に落ちていないのですが、
複雑なシステムは複雑なまま操作するのが一番コストがかからない
そうです。これ、ほんとにそうなのか日頃生活のなかで考え続けたい。

他にも

  • 思春期の複雑化とキャラ設定の呪い

  • 学校教育で身につく子どもの無意味耐性

  • 不登校になる子どもの直観は健全

  • 合意形成は持ち出し覚悟

  • 国民が非活動的であるほど政権安定する

個性的で、何度も読みたい本になりました。

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