気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その13】復職後一カ月『うつの日内変動の原因と対策を考えてみた』
前回は、うつの気持ちのアップダウンの様子を書いた。今回はこれまでの様子を振り返り、日内変動の原因と対応策のヒントを探ってみたい。
🔹気持ちが下がる要因は何か?
(1)入院前~入院中のこと
①ステロイドの影響
全身が重くなったり、気持ちのアップダウンは、入院中にもあった。
退院後の生活は条件が複雑なので、何が原因なのかを推察しにくい。一方、条件が安定がしている病院でも、同じようなことが起きていた。
ステロイドパルスをやっている期間に、動く気力をなくしたり、急に涙が出たりした。気持ちの不安定さの要因は、ステロイドの影響だと考えるのが妥当だと思う。
②病状そのものによる倦怠感
発症から入院して治療が始まるまでの間に、とても強い倦怠感があった。いくら眠っても、疲れが取れなかった。仕事が休みの日は、20時間近く眠った。意識しなくても、体が疾病と常に闘い続けているのだから、体力は自然に消耗しているのかもしれない。
③不調で生活することでの緊張感や常に抱えている不安感
入院前に歩けなくなった頃は、常に転倒しないか気をつけていた。あらゆる場面で緊張していた。
そして、原因がわからずに体が動かなくなっていく恐怖や不安を持ち続けていた。
うつになってもおかしくない強いストレスに、常にさらされていた思う。
④情動ラベリング
普通は、「楽しい」「悲しい」等の感情は、当然理由があるものと考えるだろう。けれども、ステロイド・パルス療法中の感情の動きには、理由が見つからないものがあった。なんの前触れもなく、涙が出てくるようなことがある。
人の気持ちは不思議なもので、涙が出てくると、悲しい気持ちになったり、後付けでその理由を探したりしていた。でも、実際はただの薬の作用だったのかもしれない。
心理学に「情動ラベリング」という考え方があるそうだ。振幅(興奮のような感情の波)が情動の本体としてあって、そこにきっかけがあって「ラベル」が付くことで、「楽しい」や「悲しい」という感情になるという考え方だ。よく言われる「吊り橋効果」も同じことを表している。吊り橋という恐怖の状況(興奮の振幅状態)で異性と出会った時に、異性への魅力と錯誤して自覚してしまうと言われている。
ステロイドの副作用による情緒不安定は、これに似ている気がする。もしそうであれば、プラスのきっかけを入れれば、気持ちが上がることになる。
(2)退院後の生活の中での下がる要因
①仕事のストレス
休み明けの日の朝からのダウンは、久しぶりの職場への出勤と、抱えている大きな企画のストレスか。
②疲労と寝不足
前日に歩きすぎた疲れが残っているかもしれない。
寝不足も十分考えられる。睡眠の条件を整えないといけない。副作用の影響が出やすくなっているかもしれない。
🔹気持ちがアップするキーは何か?
(1)入院前~入院中のこと
①自転車マシン
入院中にアップに効果的だったのは、リハビリ、特に自転車のマシンだった。当時の私は、常に転倒の危険があるため、思いきり体が動かせない身体だった。そこで、理学療法士が考えた絶対に転ばない運動方法が、スポーツジムにあるような自転車こぎのマシンだった。
有酸素運動、運動の爽快感、前向きになれる取り組みを見つけた喜び等様々な理由が考えられるが、たった15分の運動の前後では、気持ちの持ちようがまったく違っていた。
②会話
入院中に効果があったのが、病院のベンチでの患者同士のバカ話だった。大笑いすると気持ちが180度変わった。あまりにもあっけなく好転するので、落ち込んでいるのが滑稽になる程だった。
会話はメンタルを覚醒させるような気がする。
(2)退院後の復職生活でのアップするキー
①仕事のめど
漠然とたくさんあった仕事にめどが立ち、抱えている仕事を手をつけたことで気持ちの整理が付いたか?
②調理
自炊でなぜアップするのかが不明。体を動かすことではあり、好きな構成的な作業だから?できることの満足感か?
それにしても仕事が終わって帰宅した後の、一番疲れる時間帯のように思う。いったいどうなっているのだろう。
🔹ストレスに対処する試み
日内変動(特に気持ちのダウンと倦怠感)の原因は、根本的には病気そのものにあるのだと思う。神経伝達物質の分泌異常や感覚器官の異常による不快感や、壊れた身体組織の修復が行われていたり。不具合がある器官を、全身が総動員して補って機能させていて、想像以上に疲労しているのだと思う。
ただ、これとは別に、生活の中にも気持ちをダウンさせている原因があると思う。今やっているのは、考えられる原因に対して、対策を立てようという試みだ。
対策の主な考え方は次のようにした。[上の図もご参照ください]
【対策1】ストレス軽減
直接的にはストレスが原因であろうから、ストレスそのものをなくしてしまえば良いと考えた。なくすのが難しければ軽減できればと思う。
ストレスは、気持ちだけではなく、体に負担が大きいことなども含むため、例えば外出を減らすことや、残業をしないなども、具体的な方法となる。
また、ストレスは必ずしもマイナスなものだけでなく、「成長のために必要な課題」の場合もある。だから、すべてを排除するのではなく、下記の【対策2】のような、上手な対処によりクリアしていくものもあるのだと思う。
【対策2】対処技能
同じストレスを受けても、ダメージを受ける人、受けない人の差が生じる。その差は、その人が身につけている「対処技能」(経験や学習で得た対処技術や方法)によるのではないかと考えた。
対処技能は、仕事や生活の課題を処理する技術だけでなく、物事の受け止め方、感じ方の等も含む。一つの出来事を、マイナスにとらえるのではなく、プラスに転化してとらえるだけでも、ダメージの受け方は変わってくると思う。
【対策3】新たな壁作り
これまで積み上げてきたもの、経験、その中で培ってきた考え方が、私を形作り、外のストレスから私を守ってきたのだと思う。
難病により、生活がバラバラに崩れてしまった。私生活も仕事も以前のようにはできなくなった。好きだった趣味などの多くも、体の条件が変わることで失ってしまった。
積み上げてきたものを一度に失うこと、当たり前にできていたことが当たり前でなくなることで、「私」は生まれ直したような危機にさらされているのだと思う。
だから、もう一度組み立て治す必要がある。新しい条件で生活を組み立て、新しい体でできることを積み上げる。また新たに好きなこと、やりたいこと、叶えたいことを探す。そうやって、積み上げ、それがストレスから自分を守る壁にもなっていく。
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膠原病によって、体の変化だけでなく、気持ちの変化という難題も引き受けることになりました。ヤレヤレです…。
気持ちのアップダウンの話は、ひとまず終わりにします。次はまた復職した頃のほかのエピソードを書きます。
いつも読んでいただきありがとうございます。
文・写真🄫2023 青海 陽
🌼 次回の更新は 2023年7月28日㈮です 🌼
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