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エッセイ

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#エッセイ

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【7月-その2】羊文学

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【7月-その2】羊文学

🔷羊文学

運転しながら、職場で流れているFMを聴きながら、歌が気持ちに触れる一瞬がある。
そんな時は曲名を憶えておいて、車を止めてすぐにスマホにメモする。メモできない時には、後で放送局のオンエア曲リストで探す。

そうやって書いた曲名リストが積み重なって、何十曲にもなっている。そのリストに何度も登場する名前、「羊文学」と「カネコアヤノ」。
気持ちにゴロっと感じる違和感があって、それは少し重くて

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私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【5月-その3】

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【5月-その3】

[トップ画像]高円寺にはこういう不思議な雑貨屋さんがあります。

🔷Total Feedback

🔴シューゲイザーというジャンル
高円寺HIGHは、私が今年から行き始めたライブハウスです。毎月最終日曜日に、Total Feedbackというライブイベントを開催しています。よくは知らなかったのですが、ロックの指向性に「シューゲイザー/ドリームポップ」というのがあるそうで、そのジャンルのバンドが

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私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【5月-その2】

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【5月-その2】

🔷大森靖子

大森靖子の「街」といえば、ファンは高円寺と新宿を思い浮かべるでしょう。それほどに、彼女は新宿に、何かと縁があります。
このライブは、4月14日にオープンした歌舞伎町タワーの中にできたライブハウスZepp Shinjukuの、こけら落としの意味を持つイベントでした。だから、歌舞伎町に縁の深い大森靖子が担うのは当然、最適任だと、私は思いました。

このライブは大規模なものでした。大森靖

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私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【4月-その4】

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【4月-その4】

🔷吉田美奈子

二十代の頃に聴いていた吉田美奈子のアルバム”EXTREME BEAUTY”に入っている”LIBERTY”を聞きたくて、何度も彼女のライブに足を運ぶことになった。今回は、昨年の10月に続き2回目だった。
何十年も経った今、こんなふうに過去の記憶をなぞって、何人かのミュージシャンのライブを訪れている。自分が歩けるうちに、彼女らが歌い続けているうちに、会っておきたい。自分の生きて来た時

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祈り|終戦記念日

祈り|終戦記念日

戦争を語る世代が少なくなっていると言われます。戦争の時に二十代だった人たちが、現在の日本の最高齢の世代となっています。

戦時中、大人はどんなことを思っていたのでしょう。多分、全員が「鬼畜米英!」と叫んでいたわけではないでしょう。戦争に賛成している者や、日本が最後まで勝つと信じていた者ばかりではなかったはず。むしろ口には出さないものの、戦争を疑い、憎んでいたのではないかと思うのです。

そんなこと

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気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その9】 復職後一カ月『聴けない歌』

気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その9】 復職後一カ月『聴けない歌』

その歌を、退院した後も今日まで、怖くて聴けずにいる。

 あの感覚を思い出すのが嫌だった。時間や体が半年前に戻ってしまうかもしれないという、漠然とした不安がある。聴いてみれば、何ということはないのかもしれない。でも、やはり怖かった。

それは、たまたまついていたテレビから流れた、青山テルマの「そばにいるね」だった。体が無意識に反応して、動悸がした。視野が急速に後ろに遠ざかっていくような感じがした。

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気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その8】 復職後一カ月『歩けていないのに走る練習を始めた』

気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その8】 復職後一カ月『歩けていないのに走る練習を始めた』

まだ安定して歩けていないけれど、走る練習を始めた。
医学的な裏付けは、ない。
三十代半ばの主治医に聞いたら、たぶん困った顔で「望ましいことではありませんね」と言うに違いない。
退院からちょうど一カ月、復職から二週間たった頃だった。

私の中にあった走る練習を始める根拠は、「骨振動等の代替の感覚で足の位置を脳が再学習するのであれば、骨や関節に伝わる振動は強い方がいいだろう」。それと、「足にどのくらい

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気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その3】 鬱の症状

気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その3】 鬱の症状

退院3日目、気分が落ちた。

朝6時に起きた。季節外れの台風が通過していた。激しい雨が吹き込むベランダに出て、ブラシで床をこすって、雨水で流した。

その後、頭がボーっとして、動く気力を失った。全身が重かった。
部屋の中に座り込んだまま、3時間近く動けずにいた。

すべてが無意味な気がした。

入院中に他の患者から聞いた、「ステロイドの鬱」だと思った。それは、想像していた「気分の落ち込み」などの心

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気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その2】 手がかりを探す日々

気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その2】 手がかりを探す日々

●退院直後からリハビリを始めた本当の理由
退院初日は、生活の中でリハビリができる公園を探しに行った。

これだけだと、真面目な自宅療養患者のように見える。でも実際は、私にはリハビリしか、気持ちのより所がなかったのかもしれない。リハビリをして、辛うじて自分を保っていた。
それくらいに、初めての病気を抱えて退院してきた私には、何の手掛かりもなかった。悪化させない、回復に向かうという方向性を、見失わない

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気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その1】 自宅療養はじまる

気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活【その1】 自宅療養はじまる

●自宅療養が始まった
生まれ変わって、新しい朝が来たみたいだった。「新しい体で新しい生活が始まるんだ」退院初日の朝は、そう思えた。何となくだけど、未来は明るく拓けている感じがした。
入院中には何度も、点滴でステロイドを血管に注入した。足には改善の兆しがあった。何よりも、存分にリハビリをしてきたことが、私の自信になっていたんだと思う。

そんな気持ちも、すぐに現実の前でしぼんでしまうことになるのだけ

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気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活 <まえがき>

気持ちのリハビリの記録|膠原病 退院後の生活 <まえがき>

🔹封印して見ないようにしてきた時期
私のnoteに退院後の日記がこれまでなかったのは、その時期を振り返るのを、気持ちが避けてきたから。たぶん、言葉では表せないほど辛かったのだ、と思う。

入院で病名は明らかになって、ステロイド・パルス療法で病気の進行を食い止めた。そんな状態で病院を出て、一般社会の中に戻って来た。治ったわけではない。
体はまだ自由に動かないし、症状悪化のリスクと、免疫抑制で感染症

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私がネット上で、難病の闘病日記を公開する理由⑤ noteをはじめた

私がネット上で、難病の闘病日記を公開する理由⑤ noteをはじめた

🔹Twitter体験によって得られたもの

私はそれまで、TwitterはじめとしたSNSには、マイナスの印象を持っていました。よく目にするSNSでの表面的な言葉のやり取りを、好ましく思っていませんでした。「草」「w」「乙」等が嘲笑のニュアンスも含むことが想像できました。ネット上でそういう「空気が読める」ような価値基準に合わせて行動するは面倒だし、それによって得られるものは何もないと思っていまし

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