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今さら人に聞けない「春闘」の話

若手医師の青0才です。ニュースの前提知識について投稿してます!30記事は絶対書きます。応援してくださる方はスキを押してくださると励みになります。フォローしていただけると大変大変励みになります!宜しくお願いします。

今回は、2021年の春闘(=春季労使交渉)
で電機大手会社の労働組合が賃上げを要求し、月額1000円以上の賃上げで妥結したというニュース。

#日経COMEMO #NIKKEI

恥ずかしながら、春闘が労働運動であることくらいの認識しかありません。そういう自分を変えるべく(参照:自分の意見がないのをどうにかしたい)、春闘について3つの疑問について調べたので記事にしました。

疑問点

1.春闘とは?
2.なぜ電機大手は賃上げできた?
3.春闘で労働者は得をする?

春闘とは?

12月までに労働組合の「連合」が基本方針を決定し、1月に各産業で細かい方針が決定されます。

(連合とは日本労働組合総連合会の略です。日本の多くの労働組合が所属する組織です。)

この方針を基に、2月から会社側に社員の労働時間の短縮や労働条件の改善や賃上げなどの要求を行い、3月頃に会社からそれに対する回答があります。(回答の山場を「集中回答日」と言います。)

この労働者側と会社側の交渉を春闘といいます。

この春闘はまず大企業から始まり、大企業の春闘が終わってから中小企業の春闘が始まります。中小企業は大企業の方針に追随することが多いようですが、賃上げは大企業より少ないようです。3月末には終わります。

ベア要求・ベアゼロとは?

特に賃金の基本給を引き上げることを「ベースアップ」といい、略して「ベア」といいます。またこの賃金の引上げ要求のことを「ベア要求」といいます。

闘牛(bullfight)のように下から上に突き上げるような大きなベア要求のことを「ブルなベア要求」といいます。

逆に熊(bear)が手を振り下ろすような弱いベア要求を「ベアなベア要求」などと表現します。また賃上げ要求が0円であることを「ベアゼロ」と表現します。

なぜ電機大手は賃上げできた?

2021年の春闘で電機大手は「月額1000円以上」のベアで妥結の見込みです。これが実現すれば8年連続ベア実施となります。

ただし自動車メーカーでは今春闘ではホンダ・マツダ・三菱自動車工業などベア要求を行いませんでした[1]。

これらは新型コロナウイルス感染症の影響をどのくらい受けたかによって違うようです。

電機メーカーは巣ごもり需要のため業績が好調であり[2]、今春闘でもベアの見通しになったと考えられます。

春闘で労働者は得をする?

大企業では賃上げが行われても、中小企業では賃上げが行われない場合があります。2020年に東京商工が実施したアンケートによれば、賃上げを実施した割合は大企業で65.9%、中小企業で55.9%でした[3]。

逆にプレッシャーから経営実態に見合わない賃上げを行った場合に倒産するなどで失業する可能性もあると考えました。

またトヨタでは定期昇給について一律での昇給ではなく個人の能力に応じた昇給を行うことにしており[4]、今回の春闘でも定期昇給を含めた賃上げを平均で月額9200円としましたが、ベアについては明らかにしませんでした。

この場合、定期昇給は正社員のみが受けられる恩恵となるので、非正規雇用の労働者はほとんど恩恵が受けられません。

大企業か中小企業か、正社員か非正規雇用かで賃金の格差が広がる可能性があるのではないかと思いました。

一方で、業績の良い企業に就職し、成績をバリバリ上げている社員にとっては一律の賃上げは面白くないでしょう。

底上げとしての賃上げ以外にも、企業の業績や成果に応じた賃上げがうまく配分されるような仕組みがあれば不公平感がなくなるのではないかと思いました。

結論
・毎年春に労働組合が会社側に賃上げなど労働条件の改善を交渉することを春闘という。
・電機大手企業は業績が好調のため賃上げの見込み。
・実際に春闘の恩恵を受けられるかは企業や個人によって違う

参考文献
[1] レスポンス(Response.jp), 「春闘2021…ホンダが回答指定1週間前に一時金5.3か月の満額回答」, https://response.jp/article/2021/03/10/343848.html, (参照 2021-03-16)
[2] ニュースイッチ, 「「巣ごもり」が電機大手の業績押し上げる、軒並み上方修正でコロナ前の成長路線へ」, 2021-02-17, https://newswitch.jp/p/25975, (参照 2021-03-16)
[3] TSR, 「2020年度「賃上げに関するアンケート」調査」, 2020-07-20, tsr-net.co.jp/news/analysis/20200720_02.html, (参照 2021-03-16)
[4] 日本経済新聞, 「トヨタ、一律の定昇廃止を決定 労組が受け入れ」, 2020-09-30, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64429590Q0A930C2TJ2000/, (参照 2021-03-17)





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