July
7月。
「あー、あっつ…」
ジメジメとうんざりな梅雨を抜け出し、
最近は快晴ばかりの日々が続いている。
まだまだ暴力的な日差し、とまではいかないが
例年上がり続ける気温のおかげ「さま」で
7月の初めだってのに、
アスファルトではお肉が焼けそうだ。
卸したてのストライプシャツと、
お気に入りの黄色のスーツケース
大好きな物を身に纏ったわたしは、
夏の間お世話になる人の住む地へ旅立つ。
避暑地として有名だし、快適な夏を過ごせるかな!
食べ物違うみたいけど、お気に入り見つかるかしら。
どんな人たちがいるんだろう?…仲良くなれるかな?
━ううん大丈夫。あいつらは、向こうには居ない。
新しい地の期待と不安はわたしの心を半分に分ける。
向こうでも上手くいかなかったら。
あいつらみたいな人がいたら…
こんなに天気も気分も晴れやかなのに
あいつらの事を思い出したら、モヤモヤと心が曇る。
忘れよう。せめて夏の間だけでも。
あいつらとは、元々すごく仲が良かった。
中学からの知り合いで、高校で再会してからは
毎日のようにみんなで遊んで、おしゃべりをして、
ずっと関係が続くと思っていた。
きっかけはささいで、グループで一番可愛いあの子。
あの子の好きな人とわたしが仲良さげだったから
(幼馴染で、好き嫌いの関係じゃないんだけどね)
一緒に帰っている所を見られて、
敵対されて、ある事ないこと噂され
気付けば一人ってワケ。
楽しみにしてた夏休みの予定はぜーんぶ真っ白。
そんな時に母の知り合いから
夏の間のホームステイの話を貰い、
二つ返事でその話に飛び乗った。
今の現実から、苦しみから、逃れるためにも。
───
もうすぐ迎えの車が来る。
あの頃のわたしにとって
長いようで短い、忘れられない夏の始まり
その後の話は、また別の機会にね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?