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「不安でたまらない」全般不安症の改善法を解説

どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラーです。

今日は「全般不安症」について話してみようと思います。全般不安症(Generalized Anxiety Disorder, GAD)は、日常生活において過度な不安や心配が長期間続く状態のことを言います。

心配事が常に頭の中をぐるぐると回り、不安でたまらなくなることが特徴です。たとえば、ちょっとした予定変更や人間関係の問題でも、そのことが頭から離れなくなり、「どうしよう、うまくいかないかもしれない」「最悪なことが起こるんじゃないか」と不安が積み重なってしまいます。

よくある例として、仕事や学校のことで常に「うまくやれていないんじゃないか」と心配する人がいます。

たとえば、授業でちょっと先生に注意されたら、そのことがずっと気になってしまい、夜も眠れない。友達に何か軽く言われただけで、「あの言葉には何か裏があるんじゃないか」と深読みしてしまう。

そして、その不安がどんどん大きくなり、実際には大したことではないにもかかわらず、頭の中で何度も繰り返し心配してしまいます。

こうした不安があまりにも多く、長期間続くと、生活に支障をきたすことがあります。

心理学的に見ると、全般不安症の発症には、思考パターンが関係しています。

たとえば、何か失敗をすると、それを「自分は無能だ」と極端に考えたり、何か問題が起こるたびに「このまま人生もうまくいかなくなる」と最悪のシナリオを想像してしまいます。こうした考え方が、不安をさらに悪化させる原因となるんです。

さらに、全般不安症の特徴として「心配しすぎることで安心しようとする」という側面もあります。

たとえば、何か悪いことが起こるかもしれないと心配し続けることで、「あらかじめ準備しておけば何とかなる」という感覚を持つことがあります。

しかし、実際には過度な心配が問題解決にはつながらず、むしろ長い目で見ると不安を強化してしまうことが多いんです。

心配することで一時的に安心感を得ても、長期的には心配がやめられなくなってしまう、という悪循環に陥ることがよくあります。

では、全般不安症をどう改善するか?エビデンスベースの治療法として最も効果的なのが、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)です。

認知行動療法は、不安を引き起こす考え方のパターンや行動を見直し、現実的でより適応的な考え方を取り入れることを目指します。

具体的には、心配事が浮かんだときに、その心配がどれほど現実的か、実際にどのくらいの可能性で起こりうるのかを検討します。

たとえば、「明日のプレゼンが絶対に失敗する」と考えるなら、その根拠を冷静に見つめ直す訓練を行います。「本当に失敗する確率はどれくらいなのか?」「もし失敗しても、取り返しのつかないことになるのか?」と問いかけ、自分の考え方を柔軟にする練習をします。

また、行動面でも変化を促します。全般不安症の人は、心配を避けようとするために、あえてリスクを避け続けたり、不安を回避する行動を取りがちです。

たとえば、仕事のプレッシャーから逃げるために、締め切りギリギリまで先延ばしにしてしまうことがあります。

しかし、認知行動療法では、こうした回避行動に対処し、少しずつ不安を感じる場面に立ち向かう「行動実験」を行います。

たとえば、あえて苦手な状況に直面することで、思っていたほど恐ろしいことではないと実感できるようになります。こうした段階的なチャレンジが、徐々に不安を減らしていく効果があります。

認知行動療法以外にも、リラクセーション法やマインドフルネスなども効果的です。不安が高まったときに、呼吸を整えたり、今この瞬間に集中することで、心の落ち着きを取り戻すことができます。

全般不安症は、長期間にわたって人を悩ませることが多いですが、正しい方法で対処すれば改善していくことができます。

不安に押しつぶされそうなときこそ、少しずつ自分の考え方や行動を見直してみることが大切です。

それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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