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ショートショート

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1.ショートショートとは小説の中でも、特に短い文章量で、構成される作品のことです。 2.このマガジンは、葵拓真が書いたショートショートシリーズの総まとめ集である。 このマガジ…
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2021年2月の記事一覧

喋る動物と情(ショートショート)

放課後に、生物学の先生であるヘレン氏は科学研究クラブの顧問として、理科室を訪れた。
理科室の入り口が見えてきたあたりのところで、ガチャンという何かが割れる音が理科室から響いた。
ヘレン氏は生徒が実験中に怪我をしたのかもしれないと思い慌てて、走り、理科室のドアをあけて、中の様子を見た。
そこには、いつもの研究メンバーである3人がいて、薬品を入れていた瓶が割れて、床の上に破片が散らかっていた。
ヘレン

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運と幽霊(ショートショート)

私は心霊を弄ぶテレビ番組がきらいだ。
写真に迷い込んだ幽霊様をあたかも、馬鹿にするようにきこえるからである。
私は間違って写り込んだ幽霊は間抜けだと言うことなのかと思いちっと舌打ちをして、幽霊写真特集をやっている番組を、消した。
それから、幽霊について気にし始めて、色々な本を寄せ集めていたら、たまたま面白い話が書いてあった。
その話は、幽霊が運を吸っているというものだ。
私は馬鹿げた話だと思い大笑

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運命の計画(ショートショート)

私はある人に会うために、過去の世界へと康弘と一緒にやってきた。
ここがうんめいのひとがすんでいた場所か。
私はマンションを見上げて、そう思った時、すごくおおきなエンジン音をしたバイクが通り過ぎた。
ヴォオオオンブロォロォロォロォ
とってもうるさかったので、耳を塞ぎバイクの方に目をやった。
バイクの運転手は、タバコをスパスパとすいながら、運転していた。
私「ちぇ、迷惑だな、動画をアップして、YouT

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運命の相手を探して(ショートショート)

私は、すこし変わった変人の家に、遊びに行く。
友達というよりは、変人だからこそ興味がある。観察対象というべきだろうか。
私以外、誰もが、彼を怖がり、不思議がり、おかしなやつだと思って、相手にしない。
たしかに、気持ち悪いほど、おどおどしていて、本ばっかり読んでいる。
その読んでいる本のほとんどが、ショートショートと呼ばれるジャンルのSF小説だった。
そんな彼の家に、私はきている。
家にあがると、お

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贅沢だ吸い取るぞ(ショートショート)

工藤は書き物に目覚めてから、映画を見ていても、何をしていても、想像物の世界が邪魔して、集中できなくなった。
想像力が邪魔して、映画に集中できないと、ツイッターに呟くと、葵拓真とかいう奴から、ダイレクトメッセージがきた。
お前の呟きを読ませてもらった。贅沢な悩みを持ちやがって、吸い取ってやるから覚悟しとけ
工藤はメッセージを読むと変なやつだと思い葵拓真からのダイレクトメッセージを削除した。
数日後ピ

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お体交換日(ショートショート)

お体交換日(ショートショート)

康太は時計を確認すると急いで、家を出た。
学校に遅刻しそうだからではなく、体が交換できる日の時間帯だからである。
「はぁはぁはぁ」
お体交換所の前で、息切れをして立ち尽くして、精一杯呼吸をして、整えた。
康太は呼吸を整えると、お体交換所の受付へと行った。
すると、男の人が受付の対応をしてくれた。
男「どうなさいましたか。」
康太「体を交換したいんです。」
男「なぜ交換したいんですか。」
康太「こん

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物語の住人(ショートショート)

ある日、僕はこの物語の住人として生きることになった。
君らが本を閉じてる時、僕ら物語の住人はどんなことをしていると思う。
今日は現実世界のみんなに、教えてあげようと思っているよ。
その本の表紙に耳をつけてみて、きっと僕たちの声が聞こえるはずだから
「さっき読んでくれたんだけどさぁ、びっくりしたぜぇ、あの子が大きくなってたんだよ」
「へー、それは本当かぁ、僕らは歳を取らないからなぁ」
「ひぃやぁー怖

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失言警察(ショートショート)

失言警察とは、有名人は、必ず全国民の規範とあるべきであるという考えのもと、マナーやルールを逸脱した行為をした有名人を徹底的に打ちのめすために発足された機関である。
私、柿崎玲子はそんな機関に、属することになった。
東口先輩「これから、みんなの仲間になる柿崎くんだ。いろいろなことについて、教えてやってほしい」
柿崎玲子「柿崎玲子ですよろしくお願いします。」
東口先輩「早速なんだが、そこの壁に貼ってあ

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戦力外通告者(ショートショート)

1308は、食品に毒物を入れた疑いがあるとして、殺処分されることになった。
1308は、看守の2808と3095に連れられて、地下の処刑場へとむかう。
ガラガラガラガラ
処刑場へと向かう途中ガラガラという音ともに、車椅子に乗っている子供がどこかに連れられていくのをもくげきした。
1308「あの子供は」
2808「かわいそうになぁ、あの子は重度の障害を持ってて、労働者として適性がないと国から判断され

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夢の化身(ショートショート)

佐藤夢夫には、これといって、目指すべき夢がない。
普通20歳くらいの年齢になれば、やりたいことの二つや三つ出てくるものだが、出てこないのである。
実は夢夫は、高校の時に、父親が資格を武器に、今の職で働いていることを知っていたので、資格というものに憧れを抱いていた。
「なんか、資格を取りたい」
こんな、漠然とした動機と自分にはIT系は向いていないだろうという理由で、介護の道を選び、高校卒業と同時に初

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宇宙人スポーツリモート開催(ショートショート)

「宇宙人スポーツリモート、陸上部門短距離種目がいよいよ、始まりました。
各惑星の陸上連盟という組織によるリモート競技です。
採点基準は、フォームの綺麗さとタイムです。
ちゃんとした連盟の審査の元、結果が委員会に報告されることで、順位が発表されます。」と実況アナウンサーが言った後に、リモート画面へと切り替わり、この競技の審査をしてくれる総合審判さんの紹介が始まった。
その後、紹介を終えて、いよいよ競

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国が子孫を作る(ショートショート)

私の名前は、片栗玄弥、職業は、評論家で何度か本を出している。
そんな私の代表作は、子供を産まない選択という題の本である。
結婚すると幸せになるという嘘偽りを垂れ流すスローガンに嫌気を差し、結婚せずに子供も産まないという選択もいいのではないかという理論を世に発表してきた。
私の成果のおかげで、コンビニからエロ本はなくなり、テレビで性的な描写を制限したり、不倫を絶対に許してはいけないという空気感を出し

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