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お体交換日(ショートショート)

康太は時計を確認すると急いで、家を出た。
学校に遅刻しそうだからではなく、体が交換できる日の時間帯だからである。
「はぁはぁはぁ」
お体交換所の前で、息切れをして立ち尽くして、精一杯呼吸をして、整えた。
康太は呼吸を整えると、お体交換所の受付へと行った。
すると、男の人が受付の対応をしてくれた。
男「どうなさいましたか。」
康太「体を交換したいんです。」
男「なぜ交換したいんですか。」
康太「こんな体なんか嫌だからだ。」
男「何が嫌なんですか。そんな漠然とした理由で、体を交換できるわけないでしょ、悩んでる理由を教えてください」
康太「……」
男「そうですか。いじめっ子なんか追いかけたらいいのに」
康太「…うん」
男「わかりました望み通り、体を交換してあげましょう」
康太は、新しい体を手に入れることができた。
その後、学校に登校して、教室に入った。
教室に入り席に座ると、机にカバンが置かれており、戸惑っていると、「きゃー」と悲鳴をあげながら、女の子がカバンを取っていた。
この小芝居加減に康太は、ふっ…と吹き出しながら、席に座った。
康太は、自分に気にするな、気にしてリアクションを起こせば、面白がられて、エスカレートするだけだと心の中では言い聞かせていた。
すると、隣の席の女の子が、「今日はアトピーマシやなぁ」と声をかけてくれた。
康太は、「うん、ありがとう」と笑顔で言った。
授業が始まって、終わり休み時間になった。
友達なんていないから、トイレに行くか睡眠するかしていたら、トイレから帰って席に座ろうとすると、ガクッといって、転けてしまった。
「痛ぇ」
ぼそっと呟いて、席に座る。
席を引いた本人だけが、悲しい笑いで、笑っていることに、康太は冷たい視線を、送りつけて、何がなんでも、リアクションがみたい気持ち悪い人種に反吐が出た。
康太は大笑いしながら、「ふぅ、なるほど、そんなに俺が、どんなにリアクションをするのかみたいんか。ファンサービスしたらよかったかなぁ」と言ってやった。
予想外の出来事に、なんの対応もできないいじめっ子を、まじまじと眺めて、勝ち誇ったような顔を決めてやった。
体を交換したことで、少し明るくなったのかもしれないと思った。
康太は、いじめっ子に今までの分を返してもらう必要はないが、ただお前らにも危険が迫るかもしれないという恐怖を味合わせる必要があるため、感情がないような演技をした。
何をされても感情を出さず、口を少し上にあげて、笑い「やりたければ、やればいい」とぼそっと言う。
気がついたら、つまらないやつとなっていて、誰も触れようとしなかった。
頭をかいて、フケを出すようなことも無くなったし、最高の気分で生活をしていた。
そんな時に、お体交換所の男の人がやってきた。
康太の体が売れることがなかったので、新しい体を返してほしいと言うのだ。
お金はもちろん返してくれることにはなった。
康太は「嫌だ」と断ったが、売れるという条件付きだったので、渋々返すことになった。
康太は、元の体に戻って生活することになった。
夜になるとかゆくなり、体に掻いてはいけないと、壁を掻きむしった。
そして、ひどくなり、授業中に頭をかいて、白い粉を落とすことになった。
休み時間に、落とした粉の掃除をしていると、いじめっ子がやってきて、汚いと拒絶してきたので、腹を立てて、追いかけ回してやった。
「エキスをうつしてやろうか。」と言って追いかけた。
だんだんと、みんなも頭が賢いのかリアクションを取らなくなり、つまらなくなった……



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