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#0【村上春樹の本の世界へ】長編全作読んでみる

村上春樹が描く物語は癖になる。

高校生のときに『ノルウェイの森』を読んで以来、ずっと作品を追いかけている作家です。

フィクションと現実の間を行き来するような小説の世界観や、独特の言い回しは村上作品ならではの特徴。

今回はタイトルの通り、村上春樹の長編作品・15作に絞って、本が出された刊行順で読んでいこうと思う。

ちなみに、最新の長編作品『街とその不確かな壁』は分厚くて鈍器のような本ですが、一冊で672ページもあるらしい。

長編全部合わせたら一体何ページになるんだろう?何年かかかりそうな気はするけど、のんびり続けてみます。

全部読もうと思ったきっかけ

なんでいきなり、途方もない企画を思いついたかというと、むささびさんの「太宰治全部読む」という記事を目にして、同じようにやってみたくなったから。

私は本を読むのが好きだけど、読んだ内容はすぐに忘れてしまう。(何度読んでも楽しめてしまうのはいいことでもある)

高校生のときから、村上春樹の作品は10年ほど読んでいるので、長編は基本的に読破し、中には何度か繰り返し読んでいるものも。

なのに記憶が微かにしか残っていないのは少し寂しい。

そして、誰かに村上春樹のどこがいいの?と聞かれても答えに困ってしまう。具体的な話を覚えてないのに、本当に大好きな作家だと言えるのか、、?

そこで、長編を一気に読み直すことの目的は、
①胸を張って好きだと言えるくらいに本の内容を思い出すこと
②作品について新たな発見をすること


特に②については、一気に読むことで作品同士に共通する考えやテーマ性が見えやすくなってくるんじゃないかと密かに楽しみにしている。


『村上さんのところ』ー作品の主人公は村上春樹に似ているのか?

今回は長編一気読みの0回目ということで、村上春樹の本を一冊紹介します。

『村上さんのところ』とは、昔公開されていた村上春樹のウェブサイトに寄せられた世界中からの質問(3 万7465通)に対して、村上春樹自身の回答をまとめた本。

恋愛・人間関係・仕事・小説の書き方・音楽や映画など多岐にわたる質問に村上さんらしい文章で答えられていて結構楽しく読めます。ふとした時に開きたくなるような一冊。

数ある質問の中から、ここで一つ紹介したい。

今まで書いた作品のすべての「ボク」の内、どの主人公が最も村上さん自身に似ているか?という質問。

こういうの、小説を読んでいて誰もが一度は気になりません?

それに対する回答は、

僕の小説に出てくる一人称の僕は、僕に似ているところもありますが、似ていないところの方がずっと多いと思います。
そしてそれぞれの作品によって、似ているところ、似ていないところは少しずつ違ってくるような気がします。

村上春樹『村上さんのところ』p8


なるほど、作品に出てくる僕は泳ぐことやジャズを聴くことが好きだったり、村上春樹に重なるようなところがあるとついついそこに目がいってしまいがちだった。

村上さんによると、そこはあんまり考えすぎない方がいいらしい。

というか、それらの僕は「僕があるいはそうであったかもしれない可能性を持った僕」と考えてもらった方がいいかもしれません。英語で言う「仮定過去完了」ですね。
「The one I could have been, if……」ということです。そういう仮定法を試せるところが、小説を書くことの楽しみかもしれません。現実にはそんなことはできないから。

村上春樹『村上さんのところ』p8

この答えがなんとも村上春樹らしく、そしてこれから全作読んでいく上で大切になりそうだと思ったのでここでご紹介しておきました。

それでは、次回は一作目『風の歌を聴け』を読んで更新します。


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あおいなつ
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